見出し画像

BANANAFISHと藤井風

ローソンでBAANA FISHが絶賛キャンペーン中だ。BANANA FISH懐かしいな~、当時リアタイで読んでいて、リヴァー・フェニックスファンだったから、最終回はめっちゃ泣いたなあ…と想いを馳せてみた。

作者の吉田秋生さんは、映像化された「海街diary」などでも有名だが、作品がどれも素晴らしい。勝手に、その目線の高さから「少女漫画界の中島みゆき」と呼んでいる。誰か同意してほしい、マジで。

個人的に、吉田さんの作品では「カリフォルニア物語」「吉祥天女」のストーリーが特に素晴らしいと思うけれど、でも、やっぱりアッシュを始めとするキャラクターの瑞々しさはBANANA FISHが一番だと思う。恐らく最終回は1994年だったと記憶しているが、約28年経過して、アニメ化したとはいえ、これだけ根強いファンがいて、新規のファンまで獲得できる漫画はそうそうないだろう。アニメ化は知っていたけど、後々調べたら関連グッズが続々出ていたので(しまむらコラボとか)たまげた。凄い漫画だ。

アッシュ達の魅力でこれだけ人気が出るのは頷けるし、少年漫画の大胆さと少女漫画の繊細さを併せ持つから支持されるんだろう。本当はもっと隅々作品の良さを語りたいけれど、一番言いたいことから逸れるので割愛する。

話は飛ぶが(最後は戻ります)、最近藤井風にハマってしまった。何だあの天才は。作詞作曲歌唱どれを取っても素晴らしく、ビジュアルや所作にも色気があって、「え?本当に20代ですよね?」と聞きたくなる。何だろう、本人そのものが魅力の塊のような人だ。

早速カラオケで歌いたくて「優しさ」をリピートして聴いている。深い。こんな深い歌詞を20代前半で書いちゃうのか、末恐ろしい。でも、実感として私の心に響いてこない。私は彼よりずっと年上なのに、まだこの感覚を知らないのだ。優しさで満たされる、暖かな感覚が。

優しいひとはたくさんいた。でも、心安らげるひとには未だ出会えていない。ただ愛し愛されるという感覚を、両親から私はもらえなかった。「帰ろう」という歌詞の一部に「与えられるものこそ与えられたもの」とあるが、正にその通りだと思う。愛し愛される感覚がないことが、ただ悲しい。(本当は愛してくれていたとか、愛し方が下手だったとか、受け取り方がおかしいとか、そういう話ではない)

「優しさ」の素晴らしさを、どうすれば噛みしめることができるのかと考えたら、BANANA FISHの世界が浮かんだ(戻りました)。そして、この作品がなぜ長きに渡り支持されているか、本質が見えた気がした。

BANANA FISHは「愛」のストーリーなのだ(今更かよだと思うのですが)。美しく気高いアッシュは私の憧れであり、隣にいる英二が羨ましいと思っていた時期もあった。でも本当は、私はアッシュになりたかったのだ。どんなことをしても、どんな自分でも愛し、傍にいてくれる英二のような存在をずっと求めていた。私の持つような潜在的な寂しさを、BANANA FISHが埋めてくれたという読者もきっと多いと思う。

「優しさ」の歌詞をもう一度読んでみた。ああ、これはアッシュから見た英二だ。学生時代に心が震えたあの感覚が呼び起こされた。

そうか、愛に触れるとはこういう感覚なのか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?