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わたしの身体

今日、わたしは文化人類学者である磯野真穂さんが書いた『ダイエット幻想』のオンライン読書会に参加した。現在のわたしはことさらに自分の体重を気にしているわけではないが、高校生や大学生の頃には確かに体重や外見のことに悩まされていた。だけど健康体重の範囲内にもかかわらず、「痩せなければいけない」と思っていた切迫感はどこから生まれていたのだろう。

わたしたちは、社会の規範を知らず知らずのうちに内面化していく。そのなかで、どこからが本来の欲求で、どこからが欲求が操作された結果なのだろうか。

例えばわたしは今年から歯の矯正治療を始めようとしているが、それだって現代の社会で「よい」とされる規範に自分の身体を変えていく工事のようなものだ。高いお金を払って、痛い思いまでして、わたしは持って生まれた身体を「よい」とされる方向に近づけようとしている。「歯並びをきれいにしたい」という自らの欲求というよりは、圧倒的に社会の是に答える行為だ。そう考えれば、矯正治療と「整形」の違いって、一体何なのだろうと考えてしまう。

とはいえ、社会で生きていくものとして、規範から完全に逃れることは難しい。だけど、それが時代や地域ごとに醸成された価値観(ある意味では幻想)だと少しでも自覚できていれば、盲目的に「こうしなければならない」と苦しむことはなさそうだ。

「文化人類学」とは、何か問題があった時にその人自身や家族構成などの周辺に原因を求めるのではなく、人間というものを「大きな世界との関わり合いのなかで生きている存在」と捉え直すアプローチだ。

ダイエットをはじめとして見えない規範を押しつけられる一方、「ありのままの自分で」「自分らしく」という言葉が氾濫する世の中で、どうすれば「自分らしさ」を保つことができるのか。

読書会は今後もまだ続くので、文化人類学という視点を少しでも取り入れて、「自分らしい」ということについて考えてみたい。

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