ずぼらのスープ活動
わたしは、どうしたってずぼら人間だ。きょうは早起きをしたが二度寝した。いまだって、出勤中の電車のなかでばたばたと文章を書いている。マスクで半分顔を隠していることをいいことに、眉だけ描いてあとはノーメイク。服を悩む時間もそこそこに家を出る。
そんないつもギリギリで丁寧な暮らしとは真逆の生活をしているわたしだが、最近スープ作りのブームが到来中だ。
スープ。まず語感がいいじゃないか。さわやかな清音の「す」に、のんびりした雰囲気の音引き「ー」、最後は半濁音の「ぷ」が愛嬌を持って締めくくる。
スープ。おかずでもごはんでもない特別な一品。自分だけの立ち位置を確立している。それでいてポタージュ、コンソメ、中華に和風とさまざまな顔を持っている。
もし学校に「スープさん」がいたら、どんなだろう。
もくもくと、いつもの妄想が膨らむ。
カレーと唐揚げは、クラスで人気のお調子者コンビかな。学校のマドンナ的存在は、華のあるサラダだろう。サッカー部でライバルなのは、ハンバーグとエビフライ。柔道部のシュウマイ主将。教室の隅で黙々と本を読む、無口ないなり寿司。学校をさぼってばかりの、冷やし中華。
じゃあスープは? スープはきっと教室の中心でも端っこでもない場所で、静かに座っているのだろう。だけど静かな彼女の奥には、彼女だけの世界がどこまでも広がっている。彼女はどんな人とも話を合わせることができる。かといって誰ともべたべたしない孤高の存在だ。
彼女が着ている服には、生来のセンスのよさが滲みでている。彼女がノートをひらけば、そこに何が書いてあるのだろうと気になってしまう。目立つタイプではないけれど、影ではこっそり注目を集める。それがスープ。
先日新しいブレンダーを購入し、ここ最近わたしは毎夜スープ作りに勤しんでいる。日曜は、じゃがいもとさつまいものポタージュ。月曜は、玉ねぎとトマトのポタージュ。そして昨日は、きのことベーコンの豆乳スープ。スープはいいよね。スープはすてき。スープの魅力にはまっています。
さあ、今夜のスープは何作ろう。
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