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陰謀論者がおちいる罠、そして世界の実相

私が初めて陰謀論に出会ったのは1997年、フナイ・オープン・ワールドRebirthというイベントで、中丸薫さんの講演を聴いた時だ。世界はごく一握りの人たちが支配し、彼らは表には出ないけど、各国政府も大企業も意のままに操っている・・・目指すはあらゆる独占、世界統一政府・統一通貨、そして人口削減。

そうか、だから世界からは戦争も貧困もなくならないんだ・・・。単に人が自然に集まるだけで、こんなに酷い社会になるはずがない。そう深く納得した。そして会場をでてしばらくすると、突然雷が鳴り出し、東京中が豪雨に見舞われた。きっと、あのイベントのせいだと直感したんだけど、後にその時の楽屋の様子を天外伺朗さんが伝えていた。アイヌとアメリカンネイティヴのシャーマンがハグした瞬間起こったのだ。
私は、雨宿りしながら誓った「世の中、変える!」
そしてまぁ、こんな人生になった。正直、ただ自分の根気に呆れるだけだ。(笑)そして、陰謀論を知ってもう四半世紀だ。

陰謀・・・そう、本当に世界を支配しようとしたら、焚きつけられた野心のままに、支配者然と人前にたったりしないだろう。人びとの恨みを正面から受けて、すぐに潰されるに決まっている。そして、社会が人のるつぼの自然現象だったら、こんな金太郎飴のように、世界一律に富と権力の集中が進むはずがない。ほんの一握りの人たちが陰で世界をコントロールしているに違いない。それは、間違いじゃない。陰謀論とレッテル貼りして葬ろうとするのは、自分はアタマが悪いと自白しているようなものだ。

2005年、小泉の郵政選挙に敗れてから友人の安部芳裕氏が働くカフェを訪ねた。その時、地域通貨の活動家だったはずの彼が、「こういう話知ってる?」と言って陰謀論を語り出した。しばらくしてから、出版の打ち合わせで、編集者と話す中で、たまたまサイモン・ヴィゼンタール・センターの話になってたので、私は安倍さんことを話題にした。編集者は、「実は注目していました」と応じ、結局、安倍さんの手持ちの原稿を緊急出版してベストセラーになったのが『金融の仕組みは全部ロスチャイルドが作った』だ。

この頃からインターネットの普及定着と相まって、陰謀論を知る人が飛躍的に増えたに違いない。ネットで誰でも手軽に陰謀論に触れられるようになり、いちいちマニアックな本を買う必要がなくなった。(笑)

そう、陰謀論は、ネット上でアクセスを集めるネタとしてはうってつけだ。世の中を牛耳っているのは誰か、どんな仕組みなのか?いろんな仮説ができる。なるほど、これで見事に辻褄が合うと思わず唸ってしまうようなストーリーも可能だ。

そして・・・

陰謀論を知ると、多くは、なるほど今の社会問題の根本の原因はここにあったとショックを受けつつ、腑に落ちる。そして、熱心に調べだす。・・・・でも、状況証拠は明らかでも、検証はできない。真の支配者たちは決して表には出ないから、おそらくは永遠に検証不能だ。

一方で、彼らの力はあまりに強大で、それに立ち向かっても、とても、勝てそうにない。なにせ、ほとんどの権力を陰で牛耳っている。途方もない無力感・・・。とにかく、まずはみんなが現実を知ることだ。だから一生懸命調べて伝える、でも、どうしてこうもみんな無関心なんだろう?

ソリューションは見出せない、無力感につつまれ、人びとの無関心に対する苛立ちが怒りになる・・・陰謀論者は、重度のミーンワールド症候群に陥って、抑うつ状態になる。怒りは私にまでとんでくる。「お前は何もわかっていない!」・・・でも、あんたも知ったの最近だろうに・・・。(笑)
結局ただ不毛な対立に巻き込まれるだけで、勝者はいない。支配者の思う壺だろう。

でもね、希望はあるんだよ。

アメリカの独立もフランス革命も秘密結社のフリーメーソンがやったとあちこちに書いている。ここまでオープンならきっと事実だろう。日本でも東京タワーのすぐ近くにフリーメーソンのロッジがあって、そのビルの定礎のプレートには西暦や日本の皇紀なんて目じゃないほど古い年号が書いてある。ほほう・・・。

そう、こんなグループが、今で言えばテロと言われる手段で暴力的に政治権力を奪う。特に、武器の殺傷能力がまだ低かった時代は、やる気さえあれば、それほど困難なことでもなかったろう。でも、奪った権力を正当化するには、言い訳がいる。俺たちは、圧政から自由・平等・博愛を求めてみんなのために立ち上がったんだと。

確かに、デモクラシーも建前で、奪った権力の正当化の方便だったと断言していいだろう。実際、アメリカはいまだに国民投票をやったことがないし、フランスも超エリート主義で中央集権だ。権力者は、本当は国民による政治なんて望んでいない。

でも、たとえ最初は方便でも、言葉は人びとの意識にインプットされて、それぞれが解釈して使いだし、多様に進化していく。特に普遍性のある概念はやがて取り消し不能になる。そういう単語は権力の正当化のために歴史にも載るから、より定着してすべての人の常識になる。気がつけば、デモクラシーという原則の社会では、国民の抗議の声を無視し続けることはできなくなっている。(日本はまだまだ困ったものだけど)

そう、まだまだ不条理ははびこっている。でも、絶えず世界は変わり続けている。そして確かに、歴史上、今が一番豊かで安全、戦争を含む暴力で死ぬ人も激減して、確率的には交通事故死と比べられる。それは、陰謀論者がなくしがちな視点だ。

一年ちょっと前、初めてフランクフルトを訪れた。ロスチャイルド家の発症であるゲットー跡地、そしてそこから徒歩10分のECB、欧州中銀をひとまわりした。人口わずか100万のフランクフルトに高層ビルがいくつも立っているが、そもそもあれは狭い土地に押し込められたユダヤ人のカルチャーだろう。

もちろん金融の仕組みを全部くつったのは19世紀に勃興したロスチャイルドなはずがない。本のタイトルは、編集者による売るための陰謀にすぎない。でも金融はもともとユダヤ人のシステムだというのは間違いじゃない。通貨のルーツは商業の民である彼らの個人的な貸借りだから、いまだにすべての通貨は誰かへの貸付として発行され、本当の公共財になってない。特に領主や王は戦争をするために彼らの遠隔の決済ネットワークが不可欠で、常に彼らを差別する一方で大いに利用した。もちろんヒトラー以前にも、キリスト教を背景にユダヤ人に対してひどい迫害や虐殺もなんどもやっている。そういう結末として今の世界があるとは言ってしまっていいだろう。陰謀くらい、あるだろう。

でも、陰で誰かがどんな陰謀を計画しようが、結局本当に力を持ってるのは大多数である私たちだ。マスメディアは特定の人たちのクソどうでもいいことだけを取り上げることで、本当に大事なことを見えなくしながら、一般の人たちは取るに足らない存在だと刷り込もうとするが、決してそれは事実じゃない。そういえば世界をロスチャイルドとロックフェラーの覇権争いだと描いている人もいて「そんなはずないだろ」と昔メールを送ったことがあった。権力争いが人間の本性だという間違いで、それはチンパンジーの本性だとブレグマン が詳しく説明してくれたのはとてもありがたい。いずれこういうのは消えるだろうが、読んだ人がそう勘違いするのは社会に悪影響を及ぼすから、注意しよう!

支配されることになれきっちゃって、世の中どうなるか?その中でどう立ちまわったら自分は得かばかり考えるのはそろそろやめよう。いい社会にならない。どうしたらいいかこそ、本当の課題だ。

私たちが望む世界を目標にして、合意すればいいだけだ。

だから、しっかり読んで、検討、判断してほしい。


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