アヒルと鴨のコインロッカー

あらすじ

主人公、椎名(濱田岳)は仙台で初めての一人暮らし。
大好きなボブ・ディランを口ずさみながら荷ほどきをしていると
同じくディラン好きの隣人「河崎」(瑛太)から声をかけられる
河崎から、ブータン人留学生に広辞苑をプレゼントするために
本屋を襲撃しないかと奇妙な提案をされるが…

感想とオチ

こちらも伊坂幸太郎の原作小説が元になった作品。
既読のはずだが記憶にない。忘れっぽい性格なのが悔やまれる。
(なので備忘録を取りだした経緯です…)
今回も主人公はどこか蚊帳の外から物語に巻き込まれていく役割で
伊坂幸太郎らしさなのだろうか。それが好きで読み漁ってた時期があったはずだがもう10年以上前。
新鮮な気持ちで映画を楽しむことができた。
椎名には二人の隣人がいた。101号室にはブータン人。挨拶をするもぶっきらぼうに返されてしまう。
103号室には河崎。彼はブータン人を心配していて広辞苑をプレゼントしたいのだという。
そのためになんで襲撃?という部分は映画内で語られているが法学部の椎名はもっと全力で拒否するべきだとは思う。この辺解説あったっけな…

この映画が映像化困難といわれる所以。
それはおそらく河崎(瑛太)がブータン人(ドルジ)で、実は101号室の住人は
なんの関係もない日本人。という設定部分だろう。
だが彫りの深さもあって、まだたどたどしい日本語を操っていた時期の
ドルジを演じても違和感がなかった。

ドルジが果たしたかったのは本屋の襲撃などではなく、
本屋の店長の息子への復讐だった。
まだドルジが日本にきたばかりのころ、琴美という大学生と出会い
恋におちる。
そして琴美の元恋人というのが、ドルジが椎名に名乗っていた河崎なのだった。
琴美はペットショップで働いているペット好きで、外国人であるドルジにも優しかった。そんな琴美とドルジはある晩、市内で頻発しているペット虐殺犯三人組を目撃してしまう。
そのことから犯人に目をつけられた琴美は拉致されかけたり、嫌がらせを受けたりといった被害を受けていた。
河崎の協力もあり、大きな被害はない状態だったが琴美も黙って被害を受けていられる性格ではなかった。
犯人の居場所を突き止め、逆に捕まえようとするがあと一歩のところで取り逃がし
逃げ去る犯人の車の前に立ちはだかるが、犯人によって轢かれてしまい命を落とす。
河崎もその後エイズで死亡してしまい残されたのはドルジだけに。
ただ、河崎って原作では自殺だったような…??原作も読み直したくなりました。

残されたドルジは犯人の居場所を突き止め、たまたま外から聞こえてきたディランに導かれ椎名を計画に誘うのでした。

「神様をロッカーに閉じ込めるんだ。神様には見て見ぬふりをしてもらおう」
アヒルと鴨、これはドルジが琴美にアヒルと鴨の違いについて聞いた際
「アヒルは外国から来てて、鴨は最初から日本にいた鳥」
「じゃあ琴美は鴨で僕はアヒルですね」
この二人に寄る犯人への報復。でも神様はゆるしてくれないのではないか。
じゃあボブ・ディランを、ギターの神様をロッカーにしまっちゃおう。
そしてその約束は、椎名とドルジに受け継がれる。
ドルジの罪に対し、椎名がとった行動が神様をコインロッカーに閉じ込める。
これがいいことではないのは明らかなのですが、おしゃれな言い回しですよね。

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