政策過程論ノート①

※このnoteは、政策研究大学院大学での飯尾潤教授の講義を受けて、僕自身がとったノートをもとに記載しています。専門の方からみて間違えなどあるかもしれませんが、ご指摘いただけると幸いです※

「政策過程論」とは?

政策過程論ときいてもなんのことを言っているかわからないと思います。
いくつか例を出してみます。(医療福祉関係の読者が比較的多いかと思うのでそのような例が中心となりますが…)

例えば、子宮頸がんワクチンの問題
医師らの中では「どうしてこんなに明確に科学が示していることが、政策として実施されないのか?」と考え、時に憤るひともいます。そして、ときに対立的な姿勢をとるひともいると思います。
これは子宮頸がんワクチンに限らず、コロナ禍の各問題などを思い浮かべてもらえれば、イメージできるかもしれません。それぞれの主張内容の妥当性ではなくて、その内容の「訴え方」についてイメージしてみてください。
法律の制定や政策の決定はどのように行われているのでしょうか?
そのときに政策決定という「作用点」に影響を与えるための「支点」や「力点」はどこなのでしょうか?

ほかの例を考えてみましょう。
例えば、どこかの先進地域で行われていたよい取組。
これを国がよい取組だから横展開しようと、制度化すると、
なぜかあまりよい政策になっていない、ということは珍しくありません。
逆に、政策を作った政府の人間は、高い志と熱意とちゃんとした目標があって作ったのに、
現場にその政策や枠組みがおりていく過程で、意図が伝わらず、うまく運用されず現場の負担感だけが増す、ということもあります。
もちろん横展開、ということ自体が、そもそも地域ごとの特性に合わず、どこまでを制度として一般化し、どこからは現場ごとの融通をきかせられる範囲にするか、という観点も必要です。

このようなことを考えるためには、政策の中身ではなく、
「どのようにして政策ができあがっていくのか?」といった観点での分析が必要で、
それを論じるのが政策過程論です。
特に、日本のようにすでに成熟した(しすぎた)社会はすでに政策や法案が飽和しており、新しい政策を実施するためには他の法律や政策との調整が必要になってきます。このような精緻なことを考える分析が必要です。

政策過程論のoverview

政策過程論では、政策課題が発見されて、それが終了していく循環をみていきます。
・そもそも政策とは?政治とは?
・政策や政策の成り立ちは類型化できるか?
・どのように課題を発見し、問題であると設定するか?
・政策立案とネットワークの関係
・政策立案に必要な知識
・合理的な政策決定と漸変的な決定
・いくつかの政策決定のモデル
・政策の実施と組織
・政策の評価と変更や終了
などが含まれています。
はじめに述べたように、この分野はあまり医療関係者/一般には知られていない一方で、大事な示唆を与えてくれる内容と思うので、少しずつ書いていきたいと思います。

おまけ:政策過程論の利用の仕方

・ある政策を分析・評価をするために過程を追跡する
・政策過程の在り方を類型化してモデルをつくる
・その過程から問題点や改善点を発見する
・政策過程の蓄積から新規政策のアイデアを得る
・政策過程の在り方から体制の特徴などを析出させる



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