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ごまあえとごまよごし

仕事やプライベートで欧米に行くと日本やアジアの家庭料理の中での野菜のバリエーションを改めて感心する。レストランへ行くとサラダバーは多いけれど、他は肉の横に付け合わせとしてちょこんとそしてくったりしている野菜たち。しかもたいていそれは芋かコーン。

茹でてお浸し、お肉や魚介と一緒に炒めたり、煮たり、色々なあえ衣と一緒になったり・・・そういうお野菜がとても恋しくなります。

特に和食では、胡麻和え!は考えた人天才だと思う。全世界に流行らせたい!(笑)ごまをすり鉢で丹念にすりつぶすと油分は出てくるにしても、ドレッシングのように油を中心に作られているわけでもないのでヘルシー。合える野菜のバリエーションも広い。砂糖は入っているけれど、調整可能。私はかなり控えめにして作ります。

ちなみに、砂糖の量といえば、亡くなった父方の祖母の胡麻和え作りを手伝ったことがあります。祖母が作る料理には何にしろ、砂糖は多めだったように感じる。若いころは北海道で苦労をして、砂糖は貴重品でお客さんや誰かをもてなす時にはいつもよりも更に砂糖が入ったのかもしれない。祖母にすり鉢を押さえてもらいながら、もう何年使っているのだろうという擂粉木でごまを擂りつぶすところまでは良かったのだけれど、その後砂糖を入れるところでひと悶着。当時すでに社会人となっていた私は通年というか常にダイエット中。祖母が砂糖壷から2杯、3杯とすり鉢に放り込むのを見て、「ねぇ、もうそろそろ砂糖はいいんじゃない?」と意見してみたけれど、祖母は「砂糖が少ないと胡麻和えは美味しくないんだよ。」と一言。「もう甘すぎるよ!」という私の言葉でやっと手を止めたものの、ちょっと横を向いたすきにしれっともう一匙、砂糖を放り込んだ。今思うとあのベタっとした甘さの胡麻和えも懐かしい。

上京し、ランチの時間に同期の子が「母が昨日ごまよごしを作って」という話をしたとき、初めて「胡麻よごし」という料理を知った。胡麻和えのことなのだろうとは思ったが、新鮮な響きだった。改めてネットで胡麻和えと胡麻よごしの違いを調べてみると、胡麻よごしは関東地方の方言として使われることがあり、多くは黒ごまを使った胡麻和えの時に使われるそうです。胡麻で汚すとは、日本語は面白い。

実家で母の作る胡麻和えはいつも黒ゴマだったように記憶しています。今、自分で胡麻和えを作るときは自宅に常備しているのが白ごまのことが多いので圧倒的に白胡麻和えになる。栗原はるみさんがご自身の季刊誌で、お母さまの胡麻和えの作り方を回想し、胡麻をあたる(擂る)時には、もういいかなと思う、その先の先の先くらいまで擂るようにしているとおっしゃっていた。それを読んでから私もほぼペースト状になるまで良く擂るようにしている。ちなみに、はるみさんのお母様のレシピでは砂糖ではなく白蜜を入れるそうです。

そんなことを考えていたらまた胡麻和えを食べたくなって、ナチュラルローソンで3種の野菜の胡麻和えなるお惣菜を買ってみた。ほうれん草にブロッコリーにいんげんに胡麻がよく絡んで美味しい。そしてローソン風だと胡麻の形は結構残っている。

海外の友人にお土産を買うとしたら、一生野菜を食べるのに困らないよと伝えて小ぶりのすり鉢と擂粉木をプレゼントしたい。




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