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#40 親子の距離

15年ですか、娘が産まれてからずっと写真を撮ってきました。
初めて撮ったのは病院でまだ触れることもできないガラスの向こう側にいました。今でも覚えてます。片目は瞑り、片目はしっかりとこちらを見ていました。
あれから何万回もシャッターボタンを押しました。写真を見るとそのときの記憶が鮮やかに蘇ります。カメラを持った自分の記憶ではなく、カメラを向けた家族との記憶です。

もうすぐ高校受験です。早い。早すぎる。
ずいぶん前に中学生の子供をもつ親から「子供が写真を撮らせてくれなくなるよ」と言われて、何言ってんだろと思っていた。
今ならわかる。保育園のときと同じように撮っているからだ。
アルバムを開くと娘が赤ちゃんのときは顔のアップがほとんど。目を離せない、近くにいなきゃ、そして何よりかわいいから。目に入れても痛くない距離で撮っている。自然と。
手を繋いで歩くころは隣の距離。
三輪車でブイブイいわせてる距離。
公園で走ったり高いとこに登る距離。
学校の友達と話をしている距離。
だんだんと親の手を離れていくわけだね。
親離れ、子離れする歳でアップに寄ろうとするとどう思うか、15歳がよく知っている。

僕も妻も学習塾に通ったことがない。勉強せず大人になったことをちょっと後悔している。勉強にはやり方があるからいざ始めようとするとなかなか苦労する。やり方がわからんのだ。
夏、娘は学習塾に行ってみたいと言い出した。いいね。親が経験したことないことだ。親の知らないものを子供がやるのはいい。知らない親のめんどくせえ口出しはいちいちめんどくせえしひどく臭え。
夏、「塾終わりの家までの自転車、夜の風が気持ちよかった」と娘が言っていた。

距離が離れていくのが手に取るようにわかる。手に取ったらダメなんだけど。

娘はこれといってやりたいことが今はないらしい。だから高校を選ぶときにどう絞るか難しかった。
中学校に伝える期限の最後に「遠いところがいい」という理由で1つに決めた。
最高だ。
僕も妻も高校を自分で選んだと思えてない。「あなたの頭ならここ」と、半ば決められた感がある。そして2人とも3年間おもしろくなかったと振り返る。
娘が自分で決めたことは大きい。いくつかオープンキャンパスへ行き、スマホでたくさんの学校HPを調べていたようだ。
親は家からとても近い学校を勧めてみたが、「ほどよく」遠いところに決めた。
自分の考えを親にぶつけてくることが嬉しい。


写真は昨年末。最後の学習塾へ行く娘。
この写真が大好きだ。
試験、大丈夫かな。

おかげさまで、生きていけます。