第七章 新たな日々 #03不穏な空気
あれから、次いつ会えるかと連絡しても、「忙しいから」となかなか会ってもらえなかった。まぁでも、漫画の仕事が順調ってことだったら邪魔しちゃ悪いしなぁと、そこまで心配はしていなかった。ただ、早く会いたいなぁとは思っていたので、やっと会えることになった時は嬉しかった。
デートはいつも通り彼の家で。
会った瞬間、何か様子が違うなとは思った。何か言いたそうな、でもそれはいい事ではないなと直感的に分かった。「まぁ、座りなよ。」と言われ、いつものテーブル横に座った。「あのさ。」と彼が言った。聞きたくないけど、聞かないといけない。「俺たち少し距離を置こう。」「それって、別れようってこと?」私の声は震えていた。「今、仕事も頑張らないと行けない時で、その時に会いたい会いたいって言われると正直きつい。お互いにとって良くないと思う。」そう言われて正直納得いかなかった。だって、会いたいなんてホワイトデーの手紙に初めて書いたくらいで今までそんなに言ったことなかったのに!つまりもう好きじゃないってことなの?その言い訳なのかな?そんなことを考えてたら悲しくなってきた。「仕事が忙しいなら無理して会わなくてもいいし、会いたいって言われるのがキツいならもう言わない。私は別れたくない、、」何とか言葉を搾り出して言った。けど、期待していた言葉が返ってくることはなかった。「ごめん、別れよう。」きっと何度抵抗しても、彼は決めたことはもう変えないだろうと分かった。だから「分かった。」と言うしかなくって。でも、涙は止まらなくて。少しでも彼と一緒にいたくて、「最後、河原散歩したい。」とお願いした。河原散歩も、私たちのお決まりデートだった。帰りながら、河原を歩きながらずっと涙が止まらなかった。泣いてることすら悔しかった。「そんなに泣かないでよ。」と言われたけど、泣かしてるのおまえだろ!と思いながらもまだ彼のことが好きだった。一生懸命嫌いにならなきゃって思っても、全然無理だった。ほんとにほんとに最後って時、名残惜しすぎたけど、嫌だけど、「じゃあね。」「じゃあね。」そう言って別れた。最後に一回振り返ってみた。けど、彼は振り返ることなく遠ざかっていった。