第六章 物語の始まり #03お決まりの
あれから私たちのデートは決まって、公園か彼の家だった。私は学生、彼はアルバイトでお金がないのもあったけど、別に不満はなかった。
お気に入りは、井の頭公園。入り口近くにある焼き鳥屋さんで焼き鳥、コンビニでお酒を買って公園のベンチでゆっくりおしゃべり。それだけでもう楽しかった。彼の家では、DVDを借りてきて観たり、彼の描いた漫画を読ませてもらったり、彼がご飯を作ってくれたり。こんな幸せなことがあっていいのかな、と思うくらい毎回楽しかった。相変わらず私は受験生だし、彼も夢を追ってバイトに明け暮れる日々。頻繁には会えなかったけど、それくらいがちょうどよかったのかもしれない。
受験生にとっては、いよいよ追い込みの夏。さて、勉強により一層力を入れよう。