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10. 通信、個室生活

 妻はそろそろ高齢者の仲間入りなので、当然のようにスマホが苦手だ。ご多分に漏れず耳が遠く、電話をなかなか取れない。話したことが伝わりにくい。それでも、コロナで面会できない状況に対応しようと頑張った。耳の遠いことをなんとかしたくてイヤホンマイクを勧めたが機能しない。おかしい! Bluetooth以前の問題なのでイヤホンジャック式だ。すったもんだあって、聞こえない、マイクが入らない。
 理由は、しっかり奥まで挿されていなかった事だった。指や手の力も衰えてくるものだ。これはなかなか健常者にはわからない事だ。なんとかイヤホンマイクが通じるようになり、格段に会話内容が向上した。LINE能力も向上し、日に何度かやり取りできるようになった。更にLINEや電話アプリから、顔を見て話せるようになった。
 大変な進歩である。いざとなればいろいろできるものだ。

 病院には無料WiFiがあり、時間帯で品質が変わるものの有り難かった。僕は、Pixel4aと共に、回線を終了させた iPhoneSEを持ち込んで、SEの方はほぼ常時WiFiに接続し、主にNHKのネットラジオや辛坊さんのYoutube、聖書、電子書籍、音楽プレーヤー替わりにしていた。TVはTVカードで、イヤホン必須だった。最近は入院にiPadを持ち込む人も多いようだ。もうパソコンを持ち込もうとは思わない。それでも4人部屋は何かと制限がある。個室対応に移ったおかげで、TVはイヤホンなしで、小さめなら音を出して良い。電話の話も、し放題。夜中眠れなくても寝なくて良い。有料個室の枠ならテレビカード不用だ。洗面台もついているものの顔を見ようと思ったら暗くて髭も見えない。残念。鏡のあるところ照明必須ですよお。

 始めの個室使用では、体調不良で、療養することで精一杯どころか、全身に不快症状が出て寝ておられず、堪らずベットに座ったり立ったり、点滴スタンドを引き連れて室内をウロウロしたり唸っていたり大変だった。経管栄養後の浣腸も大変だったが、抗がん剤副作用で皮膚症状が全身に拡がった。痛みのコントロールも必要だった。また、口から摂取しない事が長くなるにつれ歯磨きだけでは乾燥する為、看護師さんと相談して、下の売店でも手に入る適当な洗口液を調達したが、結構高かった。食べない人も口腔ケアは、大事よね。自分でできるは人は自分でしなきゃならないけれど。口から物を食べていなかったが、食欲が不思議なくらいなく、せっかくグルメも眺めていたが苦にならなかった。不思議な感じである。

 個室の良さをある程度体験した所で、病院のパンフを見てみると、個室は、安いところで一日 5500円。1ヶ月30日とすると、それだけで165000円となる。保険不適応で、別に食事代もかかるというかこの時期は保険適用かな。医療は限度額があるので請求が読めるが、個室代は大きいなと感じた。それでも生保の入院補償一日14000円があったので妻も了承して、なんとかなるだろうと個室を希望することにした。

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