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【心境】焚き火が消え、うっすらと煙が漂う中、寒くも寂しくもなく、ただその燃え滓をぼんやりと見詰めているような。

 長期の休暇を経てなのか、死への不安が和らいだ故か。あるいはスピノザが自分自身の心の動きを見つめ、自分だけの完全性を目指せと説いているのにあてられたのかもしれない。ともかく、心が落ち着いてきて、今歩いている人生に対する思いが失われてしまった。
 やはり私は焦燥感や義務感で走る人間だったのだろう。今となっては虚仮……もとい苔しか胸の内には残っていない。これは燃え尽き症候群だろうか? そういう虚しさがないのだ。むしろ穏やかな心境。

 焚き火が消え、うっすらと煙が漂う中、寒くも寂しくもなく、ただその燃え滓をぼんやりと見詰めている。そんな自分の後ろ姿を眺めている。火を見るのに少し飽きていたのかもしれない。ああ、火が消えたな。それしか考えていなさそうだ。もう少ししたら寝袋に潜って眠ってしまうだろう。では朝になったら……? また火を灯し言葉を焼べるのか、さっさと片付けて立ち去るのか、あるいは目覚めないのか。その私を眺める私はどうするだろうか。良いペンを買いに行く。

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