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少年マンガと商業BLを比較してみた


私は久しぶりに少年マンガ原作のアニメを見ました。
『炎炎ノ消防隊』です。

普段、商業BLばかり読んでいる私がBLと少年マンガ(主に炎炎ノ消防隊)を比較して感じたことを書きます。


※炎炎ノ消防隊の登場人物でBLを考えるわけではありません
※極力ネタバレしないようにしていますが、作品に触れていますので注意。



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まず、ストーリーが長い!

少年マンガ原作のアニメを見てると、次から次へと謎が明らかになる一方、それと同時に新しい謎も増えていくなと感じた。
イメージとしては、渦巻き状にストーリーが展開していく感じ。
1巻から何十巻までが1つのストーリーとなっている。
このストーリー展開の場合、最後まで読まなければ、スッキリしない。
「1つの謎が解けたから、もういっか~」とはなりにくい。


炎炎ノ消防隊で言えば、
「新宿近辺で人為的に焔ビトを作っていた犯人は〇〇だったか!」と犯人が分かってスッキリしたかと思ったら、「じゃあ、何のために?」新たな疑問がすぐさまわいてくる。そういう構造になっている。

そして、最初は消防隊組織の中の問題だと思っていたら、外部組織の存在が明らかになり、世界自体の秘密にも迫る……というようにスケールもどんどん拡大していく。
もう私の中の選択肢は「最後まで見る」しか残っていない。


このように、少年マンガは第1回から最終回まで1本の長い線でつながっている。


対して、商業BLは1巻完結ものが多い。
シリーズになっているものでも、1巻ごとにストーリーの区切りが一旦ついている。
言うなれば、ストーリー展開は同心円状である。
1巻で読むことをやめても、ストーリー自体の着地はできているので、モヤモヤすることはないと思う。
1巻はカップルとなる2人を中心に話が進み、2巻以降に2人の周囲にいる人や環境(職場など)が明らかになることが多い。

そもそも、最初から1巻表記している作品は少なく、2巻から急に巻番号がふられる。
これは読者数の少なさという世知辛い事情がある。


商業BLは近年、市場が拡大してきたとはいえ、まだマイナーなジャンルだ。
少年マンガの読者数と商業BLの読者数には雲泥の差がある。
ジャンルとしての読者数の違いで、人気に火が付いたときに売れる部数も当然違う。
ジャンルの読者数が多ければ、ジャンル内の人気が普通でも採算を取れるが、読者数が少ない場合、ジャンル内で大人気にならなければ、採算が取れない。
商業である以上、目標は多く売ることだ。
だから、商業BLは大半が1巻完結もの。人気が出たら、続編を制作することができる。
そのため、「結果的に数巻ものになった」「タイトルは違うが続編」というパターンが多い。





次に、スケールが大きい!

少年マンガはマクロ、商業BLはミクロなスケールの話であることが多い。
これは、主人公たちの最終目的のスケール差が関係していると思う。

イメージだが、少年マンガは世界平和、商業BLは好きな人と恋人になることが最終目的だと思う。
(とても大雑把に括っています。すべての作品に当てはまることは絶対にありません。

少年マンガの場合、最初から世界平和を謳わなくとも、主人公の目的を果たすためには世界平和が必須条件になっている。
世界が壊れてしまえば、元も子もないので当然かもしれないが、主人公はただどうすることもできない人ではなく、どうにかできるかもしれない人であるので、最終的に世界の命運まで握るようになっている。


対して、商業BLは恋人関係の構築を目指す。
人対人の関係構築は世界平和とは違うベクトルで大変だ。
小さい世界かもしれないが、ピンポイントで狙いを定めなければならない。
たった1人。そこにヒットしなければいけない。


世界を救うことと好きな人と結ばれることはどちらも奇跡だと思う。




最後に、主人公の必然性が強い!

少年マンガの主人公は必然、商業BLの主人公は偶然決まったように思える。

少年マンガの主人公は先天性にせよ、後天性にせよ何かが他の人より秀でている。だから、特別。
そして、ストーリーのキーマンであり続ける。
歴史の教科書を作ったら、必ず太字で書かれる感じだ。
その人がいないと、その時代の歴史は語れないから。
主人公が主人公然としている。


対して、商業BLの主人公は主人公にならなければいけない人ではない。
どこにでもいそう。街中ですれ違っていそう。
特別感がある人もいるが、人類的に特別な人は少ない気がする。
「街中でたまたま声をかけた人がドラマティックなストーリーを持っていた」という感じ。

ただし、誰かにとって特別であることに変わりはない。
特別になっていく過程を見るのが楽しい。



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少年マンガと商業BLの違いを書いてみましたが、どっちがいいとかはありません。
どっちも面白いです!







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