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おばあちゃんメディア化計画

私の82歳になるおばあちゃんは中々の苦労人だ。
そして苦労人にもれなく付随する「優しい人」であり、その多くの人と同様に「名もなき一般人」である。

母を10代の頃に亡くしているいる私は昔からおばあちゃん子であり、
おばあちゃんの無償の愛を33年間、現在進行形で受け続けている。

普通よりちょっとだけ濃い、祖母と孫の関係は死をもって遅からず終わりを迎えるであろう。
という思いはずっと片隅にあったが、現実的に実感しはじめたのは祖母がパーキンソン病になった2年前からだろうか。
そこに大きな悲しみや寂しさは実はない。

祖母の死を私はきっとちゃんと受け止められる。
その日が明日だって大丈夫だ。
お葬式だってちゃんと采配するだろうし、これまでの溢れんばかりの思い出を糧に私は生きていくだろう。もちろん折々に涙しながら。

こんなことを私は結構頻繁に考えている。
どうかと思うけど・・・

だからこそ私は「おばあちゃん」というその人を、いずれ目の前からいなくなるこの人を言葉として残したかった。
というよりしなくてはいけなかった。
これは確実におばあちゃんのためではなく、私のため。
取り乱すことなく、おばあちゃんロスを受け入れる私は、私自身が気付かぬほど奥の奥のほうできっととても悲しむし、普通に暮らしながらも長い間寂しさを抱えるであろう。

そんな未来の私にできることとして、おばあちゃんを少し外に出してみることにした。言い換えるなら、私のおばあちゃんを見ず知らずの人と共有したいと思ったのだ。


「おばあちゃんメディア化計画」

人知れず開始されたこの計画は、主に一般人を取材対象とする各種メディアへの情報提供で、何でもいいのでおばあちゃんを取り上げてもらい、データとして残すことを目的とした。

といっても、おばあちゃんは本当にどこにでもいる一般人。
これといった経歴があるわけでも特技があるわけでもない。
悲しいことに?なのかは分からないけれど、おばあちゃんというパーソナルをメディアにアピールしようと考えたときにキーワードとなるのは、その「苦労」でしかなかった。


しかし、神様はこんなときはちゃんと引かせてくれるものだ。
見事一発目で朝日新聞デジタルの連載「東京の台所」で取材してもらえることになった。

朝日新聞デジタル「東京の台所」
【23歳で嫁いで58年。台所は喜びと別れとともに】
https://www.asahi.com/and_w/20190327/398707/

願っていた通り、おばあちゃんの人生をギュッとまとめた文章をプロに書いてもらうことができた。
内容的に反響もあったようで、勝手にだけど多くの人とおばあちゃんを共有することにも成功したし、おばあちゃんもまさかここにきて、自分の人生がこんなフューチャーのされ方をするとは考えなかったようでとても喜んでもらえた。

おばあちゃん亡き後の癒しグッズ(データ)を手に入れルンルンの私だったが、おばあちゃんの奇跡はここで終わらなかった。
なんと、CLASKAというインテリアショップのwebサイト「OIL MAGAZINE」の連載でも取材が決まったのだ。

しかも今回は私も登場。
半年に一回、おばあちゃんと私の今を半永久的に取材し続けていくという未来に続くストーリー。
一生分の運を使った気がするけど、ここで使ってもいいだろう。

OIL MAGAZINE「令和の家族」
【誰も入れぬ固いもので結ばれた、孫と祖母の物語】
https://www.oil-magazine.com/family/5106/

文章に加え、ここではプロのカメラマンに写真を撮ってもらうこともできた。まさか画像まで!ありがたい!!


死んでしまった人との思い出は多いほうがいい。
死を本当の意味で受け入れ、乗り越えることを前提とするならば、思い出は目に見える形で、映像で、物で、詳細な言葉で、彩り豊かにある方がいい。

親子より一世代分お別れが近い関係だからこそ、常に意識的にいろんなものの力を借りてその時まで思い出を積み重ねていきたいと思う。

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