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『銀の匙』で泣く

大学生時代、私は何度も泣いた。いや、泣かされた。

その本が『銀の匙』だ。

作者の実録のような小説。つまり私小説と言っていい。

このお話には、作者の少年時代から青年期までの疼くような恋心が描かれている。

子供時代を、こんなにも瑞々しくもときめくように描いた作品が他にあるだろうか。

中学校の国語教科書から漱石作品なくなったそうだが、その代りに『銀の匙』を掲載してほしいものだ。

異性を愛するということが、かつてどういうことだったか。それを現在の中学生に感じて欲しい。


子供時代の夢、子供のときめきが、どんなに美しいものか、インターネットの時代だからこそ、その世界にとっぷりと浸って欲しい。

再読する度に、私は泣くだろう。


泣きたい人に、この『銀の匙』をお勧めしたい。推しの一冊。

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