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ノストラジック記憶

大学生時代の記憶をノスタルジックに思い出している。初めて借りたアパートの大家に、菓子折りを持っていったこと。菓子折りを贈ってから、大家の愛想がよくなったことを思い出す。そのアパートは2階で北窓が一つしかなかった。冬、北窓の干し紐に洗濯物を吊るす。しばらくすると、その洗濯物はシバレて凍った。

アパートにピアノがやってきた日、私はベートーヴェンの「喜びの歌」を練習した。必死で楽譜を読み、指を動かした。その時の努力の記憶が蘇ってくる。

私の後輩が、私のアパートを訪ねきた。アップルパイを持って。その後輩の後ろに女の人が隠れていた。「僕の姉です」と紹介されて、私はドキドキした。

T大学の卒業式の2日前に風疹にかかり、高熱を出した。熱はなかなか下がらない。医師からは、卒業式には行かないように、と釘を刺された。卒業式に出られなかった。そのかわり、学友がお見舞いに来てくれた。

風疹が寛解して、学務課に卒業証書を取りに行った。

同時並行して、A大学の3年次学士編入手続をしに表参道まで赴いた。

A大学入試の論文問題を記述する時の鉛筆の色が目に浮かぶ。手に汗を握っていた。12本あった鉛筆のうち、殆ど使ったような記憶がある。

嬉しかった記憶、悔しかった記憶、勉強した記憶、ピアノが届いた時の感動、アップルパイを食べながら後輩のお姉さんをチラチラ見たドキドキ感、学士編入試験の合格番号を見つけた時の湧き上がる喜び。

これらノスタルジックな記憶を忘れない。とりわけ10代、20代の記憶は鮮やかに蘇るものだ。


そう言えば、reminiscence bumb という記憶のコブ期間があったなあ。10代、20代の記憶がしばしば蘇るのは、何か理由がありそうだ。

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