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泊まれる演劇「藍色飯店」があまりにもすごかった。

11月16日、「藍色飯店」といういわゆる体験型演劇に参加したのだが、これがもう、すごかった。自分の人生における観劇体験の中でダントツだった。

上演は12月8日までだが、なんとまだ多少チケットが余っているらしい。

あれだけ面白かったのだから僕が何もしなくても完売は確実だが、一人でも多くの人にこの面白さを知ってほしい。

まずは是非ホームページを見てほしい。その時点で行きたくなったら、即予約だ。

まだピンとこなかったら、この文章も読んでほしい。
なんとかネタバレを避けて魅力を書いたつもりだ。

「面白そう!」と思った人は、どうにか時間をこじ開けて参加してほしい。このためだけに大阪に来る価値も間違いなくある。

もし売り切れていたら、次回の作品の先行抽選に一緒に応募しよう。

本当に、最高の体験だった。
(記事内の写真はホームページまたは公式Twitterからお借りしています)

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イマーシブシアターと言う衝撃

「イマーシブシアター」という言葉を知ったのは初めてだった。
日本語では「没入型演劇」とも呼ばれる。

イマーシブシアターでは通常の演劇では当たり前に存在する客席、舞台がない。
つまり、ゲストと演者を分断するものが存在しない。
目の前で演劇が繰り広げられ、時には演者との対話すらも行われる。
一つ一つが従来の観劇体験の常識を覆す。

USJの「ホテル・アルバート」が有名どころだ。

そして、泊まれる演劇もホテルが企画運営するイマーシブシアターとして人気を集めている。

日下は今回初めて存在を知ったが、界隈では非常に有名だ。

泊まれる演劇の最新作である藍色飯店は、「以前潰れたはずの『あるホテル』に、招待状を受け取ったゲストが招かれる」という設定。会場は大阪の「Hotel She」になる。

我々ゲストはホテルの中を自由に彷徨い歩き、演者との対話を通して物語の全容を徐々に知っていく。

日下はあまりの面白さに途中ぴょんぴょん跳ねていた。

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藍色飯店のここが凄い! 1.世界観

いや、いうてホテルよ?

「そんな世界観作れるの?」って思うじゃないですか。それが、もう、物凄い。

今回自分が体験してる最中、「ここがホテルだ」と認識したことは一度もなかった。

ホテルの入り口を潜った瞬間から、「藍色飯店」に迷い込んだ。

ホテルという限られた空間を逆手に取り、世界観を最大限に作り込んでいた。舞台美術がマジですごい。

また、時間がわかるものは全て預ける必要がある。
普段時間を気にしながら生きる我々にとって、まさに「時を忘れた旅」。

「もう10時だから寝る準備しないと……」なんて考えは、藍色飯店の中では捨てていいのだ。

体験後に時計を見て、体感時間の短さに衝撃を受けたのは言うまでもない。

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2.ストーリー

これは何も語るまい。

少なくともファンタジーが好きな人には120%おすすめできる内容になっている。

よくこれを脚本に、そして体験型演劇の形に落とし込めたなと思う。すぎょい。。。

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3.アドリブ力

演者の皆様のアドリブ力が凄い。

イマーシブシアターと呼ばれる演劇の中でも、この藍色飯店(あるいは泊まれる演劇)のアドリブ力はトップクラスだと思う。

以前参加したUSJの「ホテル・アルバート」では演者とゲストの会話はほぼ無かった……というか今調べたら私語禁止だった。セリフがゲストに聞こえないとまずいので、むしろこれが自然な気がする。

一方藍色店飯は、演者とゲストとの会話が前提に設計されている。
この時点でもう凄い。

その上でキャラ設定、口調も一歳崩さない。
もはや、旅の中で出会った「一人の人間」に思えてくるのだ。また皆に会いたい。

わざわざ外乱を起こしにゲストに話しかけてくることすらある。

大きく物語が進行しているタイミングで、演者さんが「ん?何か話したいことある?(意訳)」と言いながら、まあまあの距離を詰めてきた時は驚いた。

単に「次に一体何が起きるのか…」と身構えていただけなのだが「なんか喋りたそうな顔してたから」とのこと。いや友達か。

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4.自由度

たびたび引き合いに出して恐縮だが、ホテルを舞台にしたイマーシブシアターといえば、「ホテルアルバート」を思い浮かべる人も多いと思う。

こちらも同様にホテルの中を歩き回る形式だが、観客にそこまでの自由はなかった。ゲストの導線はある程度決まっているし、10人程度で固まって行動することが大半だ。

かなりの人数が同時に体験するのでやむを得ない。

一方、藍色飯店は全員が自由に行動できる。
その結果、一人一人が、別の体験をしている

誰一人、全く同じ体験はしていない。

レストランでのんびりご飯を食べてもOKだし、もはや旅に出ずに部屋でのんびり過ごしてもいい(そんな人いないと思うけど)。

この自由度を実現するのが、参加人数の少なさだ。ゲストの数は20名弱に絞られ、一人一人が自由に行動できる余白を残している。

なのでお値段はやや高くなる…と思いきやおよそ1人20,000円。一泊付きであの体験ができると思えば大真面目に安い。

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5.ホテルだからこそ

通常の演劇を見終わった後、皆はどうするだろうか。

会場を出て、余韻に浸りながら駅へと向かう。あるいは友人とカフェへ向かうなどだろうか。

藍色飯店は全く違う。ここは「泊まれる演劇」だ。

参加者は全員一泊する。
ロビーには藍色飯店の世界にぴったりなレストラン。お酒も飲める。

感想戦の始まりだ。

一人一人が違う体験をしているのだ。

皆で語り合い、物語の隙間を埋めていくことで、物語の全容が明らかになっていく。

恥ずかしがらずにゲストの皆をご飯に誘おう。
そして、自分が見た物語を語ろう。
藍色飯店、第二幕の始まりだ。


さあ、チケットも残り少なくなってきた。
行くなら今だ。行く友達がいなくても大丈夫。
むしろ一人でいったほうが楽しいかも知れない(公式Twitterにも書いてあるが、一緒に行った人とは別行動推奨だ)。

あなたも、是非「時を忘れた旅」へ迷い込もう。


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ぱしゃり。

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