真実のような顔をして
僕の脳内に現実が流れ込む
僕の2mmほどの皮膚はフィルターと化し
少しばかり現実の解像度を下げて
僕が傷つかないように
ささやかに気を遣う
僕の脳内から妄想が溢れ出す
じわじわと滲み出すように
解像度の高い妄想が
にじりにじりと現実を
侵食していく
僕は脳内で全てをないまぜにする
攪拌し
攪拌し
攪拌し
酢と油のように
混じるはずのない現実と妄想が
僕を介して乳化され
いつの間にかドロドロに混じり合う
僕は知らず知らずに
乳化された現実と妄想を
喉の奥にべっとりと張り付いたフィルターで濾す
濾された現実と妄想は
僕の外を一人歩きしている
真実のような顔をして
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