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超歌舞伎2022《永遠花誉功》現地鑑賞の感想②

前回の記事はこちらです。↓
超歌舞伎2022《永遠花誉功》現地鑑賞の感想①|猿丸|note

【金輪五郎は藤原鎌足の家臣であったが、鎌足を見限って、入鹿に主人を変えたことを明かした上で、入鹿が太宰家の息女苧環姫を妻にと所望していることを伝える。……その時、奥に控えていた苧環姫がやって来て、金輪五郎に自らの素性に関してのある秘密を明かす】場から、後半一気に振り返ってまいります。
  
◆ミクさん苧環姫の母御定高(蝶紫丈)が優美にセクシー:
表情なんかほとんど変わらない(というか 「"変えない" ことを美徳にしてらっしゃる文化圏の御方」であることが伝わってくる)のだが そのぶん "驚いた" 表現が、芯からの動揺だと感じられる。その気高さと…随所で洩れ出る人間みのギャップがお可愛らしく…あの…めちゃめちゃ…セクシーでした……。
 
お公家さん顔の獅一丈と この貞淑らしい後家さん蝶紫丈の、白塗りお二方をずぅっと目で追ってしまったね……
 
◆千次郎丈&いてう丈コンビの安心感:
入鹿家臣・宮越玄蕃役の片岡千次郎丈と、同じく家臣・荒巻弥藤次役の中村いてう丈。赤白ニコイチでワッショイワッショイと盛り上げてくださる役回り。
なんかこう…大掴みに、むっちりしっかりした体型が似ていらして、高校の教室でいつもつるんでて「おめーら親戚みてーだな」って仲間内でよく言われるような……
《パイレーツ・オブ・カリビアン》のラゲッティ&ピンテルみたいな、コメディリリーフをしっかりと勤め上げていらっしゃる……
今まで毎回コンビ組んでらしたんでしょう?ってくらい仲の良さげな、なんか非番の日でも一緒に碁を打ったり酒組み交わしたりしてそうじゃないですか宮越と荒巻……
やっぱりどちらかというと いてう丈が殊にがんばってらっしゃる雰囲気があって、そのがんばりを千次郎丈がふわっと包みつつご自分の熱も乗っけて客席に向けて流してくれた感じがあった。すてきなコンビでした!
あのパワフルパフォーマンスを、衰えないどころか終盤に向けてますますどんどん全力でなさり続ける歌舞伎役者さんの体力スゲ~~~…と心底思いました

あと ニカーッ!て笑んだときに見える千次郎丈の歯並みの良さね!!キレイ!!粒揃いで美しい!!歯医者さんのCMにお出になれそう!!
  
◆龍チームの決めポーズ 照明含めて名画のような完成度:
龍の頭部のデカさ…!!《ネバーエンディング・ストーリー》のファルコンを思い出しました… デカい!!デカいのイイ!!! 迫力!!
あの大きさになると現代劇になるなぁって感があった。でも胴体をつくるフォーメーションは歌舞伎座で観た《大蛇退治 振袖始》の古典的な動きと通じていて、舞台芸術の融合性たっけ~~~…
そしてライティングがまた素晴らしかった。悪役サイドの入鹿陣のチームカラーが青で(※歌舞伎の伝統的悪役色ですね)、龍のキメポーズのときの強い照明で生まれる影が冴えざえとした冷たい青で、劇的さでいえばカラヴァッジォの、冷たさでいえばブロンズィーノの絵画のようにキマりきってた。なんであのブロマイド無いんだ。額で飾るべき光景でしたよ。
 
◆相撲シーンのぐるんぐるん回る効果!
肉襦袢着た金輪五郎と入鹿が舞台中央の土俵上でがっぷり組み打ちするんですけどね!?そのとき、投影された光の線で表現されてる方屋と支えの柱が、二人を中心に独楽状にぐるんぐるん回るんすよすんごいスピードで!竜巻みたいに!
映画のカメラワークだったら人物の周りをカメラが回るのに、舞台演劇で カメラ=観客の視点が固定されてるから逆に対象のほうを回しちゃおうっていう、いや実際に演者は回ってないんだけど、むしろ組み合ってるから派手な立ち回りと違って動きがストップしてしまう闘いの非派手さを、土俵の屋根柱をブン回すことで目を驚かせ、迫力とスピード感を演出して動きの無さをカバーする!デジタル光学の勝利~~~!!
またこの柱や屋根が、ミクさんみたいなリアルな造形だって出来ようものを、あえてシンプルに白い線描で浮き上がらせるに留めることで、白木のようなスッと清らかな、宗教的・精神的な結界であるという性格の表しにもなっていてスッテキ~~~と思いました。
これも現地で観られてよかった……仰向いて吞み込まれるような迫力だった…

圧倒の金吹雪
獅一丈とジュニ屋!!(尊…)

たいへん楽しませていただきました。

退場際に花びらと金テープをいくつか拾って持ち帰りました

会場をあとにする際、周りじゅうの方々がニッコニコして「楽しかった~!」「また来たい…」「次は私自分のお金で来る(※十代の学生さんらしかった)」等々ポジティブでエネルギッシュな感想を洩らしてらして、空気がすごくホットで心地よかった…

よい思いをさせていただきました。ありがとうございました!!!

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