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コンサルタントは何を売っているのか

最近Youtubeを見ているとやたらとコンサルへの転職をお勧めする転職エージェントの広告が出てくる。コンサルという響きには未だ魅力的なイメージがあるのか、脂ののった20~30代の転職希望者は多いと思う。ただ、イメージが先行しており、その仕事内容が見えにくい部分もあると覆う。

今回はコンサルタントとして仕事をしてきた経験から、独断と偏見でコンサル業務と、その提供価値について考えてみたいと思う。


 まずはコンサル業務を僕の認識でざっくり分けてみる。様々な機能を持った総合系のコンサル会社も多いため、会社単位ではなく業務単位で分けていることに注意である。ざっくり分類は①戦略系、②業務系、③専門知識系である。(ちなみに、僕は②業務系に分類される業務についている)

 実態としては①~③はそれぞれの境界が曖昧になっていると思うが、わかりやすさ重視であえて分けてみる。

①戦略系は、いわゆる大前研一さんの世界だと思っている。昔のBCGやマッキンゼーのイメージで、市場分析~課題明確化~企業戦略への落とし込みといったキラキラコンサルである。
 僕はキラキラコンサルが描いた絵の実現を目標としつつも、悠然と広がる理想と現実のギャップを埋めていく側である。そのため、青写真からキラキラコンサルの残り香は嗅ぐことがある程度なのである。。。

②業務系は、今の主流はシステム導入/切り替えとそれに伴う業務整理だと思っている。この領域でよく言われるのは”高級派遣”である。なぜそう呼ばれるかというと、システム導入の性質に関係していると思われる。基本的に基幹システム導入/切り替えは、プロジェクトものであり、一時的に人的負荷が高まるのである。もし、そのプロジェクトのために人を雇っていたら、プロジェクト終了後には余剰人員を抱えることになってしまうのである。そのため、多少単価が高くても、プロジェクトの経験豊富なコンサルを派遣してもらってプロジェクトを完了させることになる。これが高級派遣呼ばれる所以だと思う。(もちろんシステム導入以外にも高級派遣と言われるようなコンサルの案件はある。ただ、SAPの2027年問題等々、システム導入/切り替え系がよく話題にはなっているので、取り上げてみた。)

一応③専門知識系は、会計・人事・財務等のコンサルである。(この領域は全く関わりが無いので、語れることが無く割愛。。。)

一旦今回のテーマに戻ってみて、①②の業務内容からを"何を売っているのか"比較をしてみると、同じコンサルでも全く別物であることがわかってもらえるかと思う。
 ①戦略系は、課題発見~分析~企業戦略までの青写真を売り、②業務系は、効率的なプロジェクト運営と人員不足に対する補充要員を売っているのである。

読者の方のコンサルのイメージはどれかに当てはまるだろうか?
もし、コンサル=①戦略系のイメージだったという方が入れば、ぜひ下段の余談も読んでいただきたい。②業務系のコンサルの僕が、①戦略系コンサルのイメージに苦しめられた体験談である。

~余談~
ここから先は、売り物が違うのに、同じ”コンサル”という表現をされること
はツライという話です。

ツライかった話:
(1)なんだかんだ言って未だにコンサル=①戦略系のイメージがある
 ①戦略系のコンサルは、経営陣に向けた鋭い洞察から導かれる、説得力のある企業戦略を提供しているのだが、②業務系の仕事対してもそのような期待値があること。
 ②業務系のコンサルからすると、明らかな物理的な制約や切迫した納期、目の前の人間関係的問題がある中で、鋭い洞察などは二の次。というか、今更、鋭い洞察が出てきて、変更とか言われても困るのである。悲しいかな効率化(=ある程度パッケージ化)された仕事をガンガン回していくことが、我々の至上命題なのである。

(2)「当たり前のことしか言わないね」という評価
 (1)の影響もあり、クライアントから「なんか普通ですね。せっかくコンサルに頼んでいるんだから、ウルトラCは無いんですか?」的なことを言われることがある。
 口が裂けても言えないが、当たり前のことができていないから、当たり前のことをやりましょうと言っているのである。地道だけど精緻な作業を工数かけて代替することにお金を払っているんだから、凡事徹底はあるべき姿ではなかろうかと思うこの頃。。。
 中江兆民「三酔人経綸問答」にも書いてあったように、大計は奇抜ではなく、平凡(=中庸)に進めて行くしかないのである。

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