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睡眠はどうして大切か、脳との関係から考える

ゆるふわ日記にようこそ、サルタックの真衣です。夏休みの季節となり、子どもの生活リズムが気になっています。やっぱり、早寝早起きした方が…と思うものの、お休み気分の子どもたちには、「早く寝ないと大きくなれないよ!」と言っても、なかなかその必要性が伝わりません。自分自身もあまり睡眠のメカニズムをよく知らないので説得力がないのかな、と思って、少し調べてみることにしました。

すると、睡眠は、なにも子供の成長にとって必要なだけではなく、人間にとって、特に脳の機能にとって重要な時間であるということが分かりました。ので、ここでシェアしたいと思います。皆さんのご参考になれば幸いです!

1.睡眠は何のため?

睡眠は、“体を休める時間”、と考えている方が多いのではないでしょうか。少なくとも、私はそうでした。そして、子どもは背が伸びる時間。でもそれだけではないようです。

確かに、眠っている間に骨格形成などを促す成長ホルモンが分泌されるため、身長が伸びるために必要な時間だといえます。また、成長ホルモンだけでなく、複数のホルモンが分泌されるタイミングでもあり、ホルモンバランスの調整に睡眠は欠かせないようです。

一方で、寝ないと記憶が定着しない、といった話を聞いたことがあるでしょうか。なんとなく聞いたことがあったのですが、これは、睡眠中に、脳の中にある神経細胞のシナプス(情報伝達のために発達した構造)の樹状突起について、日中新たにできた突起のうち、不要な部分を刈り込むためだそうです。つまり、日中得た情報を整理し、不要な情報を捨てているのです。これにより、残しておくべき情報伝達経路が強化されて記憶として定着するのだそうです。こうした情報整理によって、「眠ることで学んだことがしっかり記憶される」ということになるのだそうです。

さらに、睡眠中にニューロンの働きを阻害する老廃物を取り除くことから、脳の作業効率が回復するそうです。なお、老廃物に含まれるアミロイドβなどはアルツハイマー型認知症との関連性が指摘されているとか!この脳の老廃物除去の時間として、睡眠は重要そうです。

2.睡眠の種類

レム睡眠・ノンレム睡眠、という単語をご存じの方も多いと思います。睡眠時に現れる眠りのタイプで、上記の脳の働きとも関係しているようです。

確認しておくと、レム睡眠の「レム」とは、急速眼球運動(rapid eye movement, REM)のことで、REMを伴う睡眠がレム睡眠、伴わない睡眠がノンレム睡眠と呼ばれています。

レム睡眠・ノンレム睡眠の違いは、さまざまに観測できるそうで、中でも、それぞれの睡眠時における脳の働きの違いが興味深いと思いました。ざっくりいうと、ノンレム睡眠は疲労回復と成長、レム睡眠は脳の機能回復、と大別できると思います。

まず、眠りにつくと現れるのがノンレム睡眠で、夢も見ない深い眠りといわれるものです。これは、脳が休息しているからで、この他、成長ホルモンなどの分泌がなされます。ちなみに、成長ホルモンが分泌されるのは子どもだけではなく、大人においても成長ホルモンは分泌され新陳代謝を促すなど大切な機能を担っているそうで、大人にとっても睡眠が重要なことが分かります。

それに加え、ノンレム睡眠では運動や楽器演奏など、習得した運動動作や技術を体で記憶する役割もあるそうです。このため、スポーツ選手や演奏家を目指す子どもには特に、質の良いノンレム睡眠を十分に確保できるかが気になるところとなりそうです。

一方で、レム睡眠は、体を休ませつつも、脳は活動し、上述の情報整理を行っているそうです。脳における情報整理すなわち脳内の老廃物の除去は日中も行われているそうですが、レム睡眠中はこの働きが日中の4から10倍程度にもなるそうです。このため、脳の不要物を取り除き認知症などのリスクを低減させるためにも、レム睡眠の確保が重要となりそうです。
ちなみに、レム睡眠時には脳は活発に活動しているために夢などを見るそうですが、脳幹と呼ばれる神経細胞が集まった部位から筋肉などをリラックスさせるシグナルを送るために、夢を見ていても体は動かないのだそうです。

3.いつ、どのように睡眠をとるのが効果的か

眠り初めに深いノンレム睡眠が表れやすく、ノンレム睡眠・レム睡眠のサイクルは90分~120分の感覚で発生するそうです。早寝早起きの習慣が身につくと体内時計が整い、目覚めがよくなり寝付きやすくなるそうです。というのも、人間の体内時計の周期は個人差はあるものの24時間より少し長いことが分かっており、そのままではずれが生じてしまうので、朝に日光を浴びて体内時計をリセットする必要があるのだとか。

このため、早寝早起きにより生活のリズムを整え質の良い眠りを眠り始めから確保することは、成長や疲労回復に非常に重要だということです。また、眠りのサイクルが進むにつれ、レム睡眠の出現割合が高くなるそうです。おおむね、レム睡眠の総睡眠時間に占める割合は20%といわれているため、脳のリフレッシュに重要なレム睡眠を十分に確保するには一定時間以上の睡眠時間を確保する必要があるそうです。

では、実際に子供たちにどうやって睡眠の重要性を伝えるのが効果的なのでしょうか。。。と思っていたら、文部科学省のWebサイトでは「早寝早起き朝ごはん」のリーフレット(小学生用中学生用)が公開されていました。このリーフレットでは、クイズ形式で睡眠についての知識が紹介されていたり、早寝早起きのヒントが分かりやすくまとめられていたり、生活リズムを見直すシートが入っていたりと、役に立ちそうです。

実践へのヒントとして面白かったことを一つご紹介すると、「早寝」ではなく、「早起き」からスタートするのが成功への近道かもしれません。早く起きれば、早く眠くなる…というのも、眠気を誘うメラトニンは、日光などを浴びて昼間に活発に分泌されるセロトニンを材料に作られ、目覚めてから14~16時間ほど経つと、脳内からメラトニン生成の指令がでるそうです。つまり、早起きすれば、メラトニンが生成される時間が早まり、早寝ができる、というわけです。なお、このメラトニンは、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促すなどの効果もあるそうなので、しっかり昼間活動し、メラトニンの生成環境を整えておくことも重要となります。

おわりに

以上、ざっくりと、脳との関係から、睡眠についてまとめてみました。

睡眠には、身体的な成長だけでなく、代謝を促す働きに加え、脳の老廃物の除去やリフレッシュ機能があり、大人にとっても重要な時間だということが示されていました。

余談ですが…毎日朝の光でリセットされる、というのは古代エジプトの毎朝再生する太陽神を彷彿とさせる気がします。一方で、定期的に不要物を取り除きメモリを掃除する必要があるというのは、パソコンのディスククリーンアップを連想させます。古代から続くメカニズムが今も共通しているようで、興味深く感じました。

また、「脳は科可塑性がある」ということも、嬉しい発見でした。つまり、いくつになっても成長させることが可能なのだそうです。これを機に、子どもたちの寝かしつけに合わせて、自分も少し早寝早起きを実践したいなと思いました。皆さんも、脳に十分なリフレッシュ時間、休息時間を与えて脳の活性化に気を配ってみてはいかがでしょうか。


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