コロナ禍での転校体験

こんにちは!サルタック「ゆるふわ日記」第6号は、香港からサルタックAdmin担当の真衣がお届けします。前回はあおてつさんが、視点を変えてということで「国内での国際協力」について書いてくれましたが、みなさまきっとお気づきの通り、ネパールの教育を何とかしたいという思いで繋がっているサルタックながら、サルタック理事の面々は各地に散らばりがちで、このブログもミシガンからだったり、ケニアからだったり、オックスフォードからだったり、。。。そこで(?)今回はまた場所を変えて、昨年夏に日本から香港に引っ越したことで経験できた(子どもが経験せざるを得なくなった)「コロナ禍での転校体験」について書き留めておきたいと思います。

ネパールを始め、各地で子どもが学校に行けない状況、学校に行けても制約がある状況が続いていて、子どもも保護者も、ストレスを感じることが少なくないと思います。
小学生2人がいる我が家も例外でなく、コロナ渦中の引越しで、やっと転校先の学校が決まってもなかなか登校できなかったり、学校行事がことごとく中止になっていたり、本当だったら今年は/今頃は…と子供も親も残念に感じることも少なくありません。一方で、よくよく考えてみると、ネガティブなことばかりではないはず、ということで、(幸い、家族や学校関係者に感染した人もいないために言えていることですが…)このタイミングで逆に助かったのかも、と思うことを敢えて探してみたいと思います。少しでもポジティブな気持ちになってもらえたら幸いです。

1.転校のハードルが低い

まず、新しいクラスに転校生として入っていくことへの抵抗が少なく、「新しい学校に行きたくない」というようなことはありませんでした。
転校当初の香港では、政府のコロナ対応方針により対面での授業はできず、転校先の学校もオンラインでのスタートでした。(つまり、学校に行けなかったので、行きたくないという事態にはそもそもならなかったのです…)転校前に学校見学には行けたものの、担任の先生と会うのも、クラスメイトとの対面も、オンラインが初めてです。このため、新しいクラスに馴染むのに時間がかかるかな、と思いましたが、意外にも嫌がることなくスムーズに授業に参加していました。
知らない子どもばかりの教室に入って一身に視線を浴びる、というのが転校生の典型的なイメージだと思いますが、オンラインの場合、身の回りの環境はそのままで、パソコンを通じて繋がるだけなので、心理的なハードルは随分小さかったようでした。
加えて、コロナ禍では、通常ではない状況(特別対応のオンライン授業)をみんなが経験している中に入っていくので、周りからも特別視される度合いが小さく、転校生という異質性が緩和されているのかなとも感じました。

2.学校外の様子が垣間見える

次に、クラスメイトや先生の学校外の様子を垣間見ることができる、という点もオンラインのメリット(?)です。
オンライン授業では基本的には児童は自宅から参加するため、部屋の様子から趣味や好みが垣間見られたり、飼っているペットが映ったり、(特に体育の時間などには)兄弟姉妹が乱入することがあったり、クラスメイトについてより知ることができます。ハリポタの本があるからこの子も好きなのかな、サッカーボールがあったから一緒にサッカーできるかな、等々。
特に転校したばかりの場合は、こういったところで情報を得られると、趣味が同じっぽい等、友達になるきっかけが掴みやすかったようです。
また、コロナ禍では児童ばかりではなく先生も自宅から授業を行うことがあり、先生の人となりを理解する一助となりました。
こうして、コロナの状況が改善し登校が可能になって実際に先生やクラスメイトに会える頃には、クラスメイトの名前と顔が一致していただけでなく、先生の話し方が既に馴染みあるものになっていたり、趣味の合いそうな友達の見当がついていたりしました。コロナ禍×オンラインでは、放課後に遊べるような友達がなかなかできませんが、こういった面では、友達づくりのきっかけを得られたようです。

3.学校に行けることを喜べる

何より、学校に「行ける」ことが特別なこと、嬉しいことになりました。
我が家の場合、引越前の日本では3月から5月にかけての休校も経験し、その間はオンラインのクラスもほぼなく、ドリルや作文などの宿題が出るのみでした。このため、「学校に行ける」=「友達に会える」=「嬉しい!」となりました。
今通っている香港の学校では、転校して1か月弱で半日登校が可能となり、その後一時期通常登校となりましたが、数週間後に再び休校となり、年明けから徐々に、半日登校が可能な日が週0.5回→週3回と戻ってきたところです。このため、先生たちも、学校に来られる日に実験をしたり、音楽や体育の授業を入れたり、特別授業として外で遊んだり…と時間割を調整するため、学校に行ける日は楽しい授業が盛りだくさんになり、結果、「学校は楽しい」という思いをますます強くしています。休み時間などにみんなで遊べるのも楽しいようで、休み時間にはクラス全員でのおにごっこが流行っているそうです。
勉強の方は大丈夫なんだろうか…と少し気になる点はさておき、とにかく学校に行けることをシンプルに喜んでいる様子を見ると、子どもにとって他の子どもたちと一緒に学ぶ場・過ごす場としての学校があることは大事なんだなと思います。
同時に、親としても、子どもが学校に行ける、子どもの教育を一定程度任せることができるということの有難さを再認識するきっかけになりました。特に働く親にとっては死活問題ですし。。。コロナ前は、学用品の準備が大変、PTAの役員をどうするか、各種イベントに参加しないと…等々、更にコロナ禍では、宿題がない、オンライン授業の日の自習時間が長い…等々、ともすれば不満な思いが出てしまいがちですが、前提として「子どもが学校に行ける」というのは、安心なものです。


以上が、コロナ禍での転校を経た小さな発見です。
サルタックとして質の高い教育をネパールに届けるべく活動していますが、学校に行けることが子どもにとって/親にとってどういう意味があるのか、と改めて考えるきっかけに個人的にはなりました。学校で何をどう学んでいるか、ということは一旦置いておいても、学ぶ場にいることを楽しめること、一緒に楽しみながら学べること、そういう経験はその後貴重なものになるような気がします。

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