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「カレーとシンセサイザーの店」突然の開業

 自発的に進めたことだが「青天の霹靂」みたいなことが起こっている。

 組織での職を辞して、低いとも言えない年俸を捨てて20年ぶりに帰京し「カレーとシンセサイザーの店」というエッジの利いた(=ほとんどビョーキな)店を出そうと画策し始めて、もう17ヶ月が経つ。
 本当は今春に開店したかったのだが、こういう状況ではそうもいかず、日々ブラブラと、言うなれば「つげ義春みたいな生活」をしていた。

 今流行っている「間借り営業(昼だけ営業)」ってのも考えたが、私の考えるお店にシンセサイザーは必須のものであって、それなしでは他のカレー屋と差別化が図れないし、面白くもなんともない。かといってシンセサイザーを常時置かせてもらえる or 預かってもらえる、そんな都合の良い「間借り店舗」なんてないはずだ。

 だいいち、誤解を恐れずに言うと「私はカレーに『情熱』みたいなものを持っていない」のだ。一年中カレーのことを考えて、日々最高の味を求めて精進する、みたいな事はしない。ごくマイナーな変更はするだろうけど。
 悪く言えば「努力しない」良く言えば「味を守る」ということで、後者の方が聞こえがいいので、そう自称しようと思う。

 誤解して欲しくないのは「まずいカレーを出そう」とか「原価を抑えてとにかく儲けよう」とか、そんなことはこれっぽっちも思っていない、ということで、カレーは「そこそこ」に旨いです。
 こだわっている点といえば「化学調味料、砂糖、豚肉」を使わない、という事と「食塩相当量」を出来る限り2.5g以下に抑えるってことくらいです。

 食品業界の常識として「化学調味料、塩、砂糖」ここら辺は、極端に言えば「増やせば増やすほど大衆受けする」のですよ。
 しかし安易にそれに乗っかると、今のラーメン業界で言う「煮干粉を入れれば入れるだけ行列ができる」みたいな、直線的で「イカニモ資本主義」なスパイラルにはまってしまう。
 とにかく売って儲けるために「適量」という節度を無視しだすと、それは「食文化の破壊」につながるわけです。
 だから私が目指すのは「そこそこのカレー」です。過剰でなく、かといって不足もないカレー、節度を持ったカレー(ただ、皆さんにとっては薄味かも知れません ※1)を、普通に出したい。

 三木聡監督の映画「亀は意外と速く泳ぐ」中、ラーメン屋のシーンにおける、蒼井優と上野樹里の対話
蒼(ラーメンを一口食べて)「なんだこれ、『そこそこラーメン』。うまくもなければまずくもない」
上「そうかなあ。わたしは好きよ」
蒼「でた!『そこそこ好き』!好きな数字は?」
上「6!」
蒼「好きな寿司ネタは?」
上「ハマチ!」
蒼「『そこそこ』だなあ……」

 「サルタナ」が目指すのは、言うなればそういうモノです。

 講釈が長くなりすぎた。

 ある日、飲食関係で縁あって知り合った友人と話していて、突然思い付いた。「間借りじゃなくて、一定期間、継続して借りられる店はないか?」と。これ完全に盲点だった「間借り」という流行のワードの陰に隠れていて、全く見失っていた。
 「あ!」あすこのお店、貸してくれないだろうか?

 門前仲町のバー「BIGHORN」宮仕えしていた頃から20年程、お世話になっている店だ。コロナ下での禁酒令によって目下、全面休業中。
 マスターが音楽好きだし、私の人となりも理解してもらっているだろうし、東京駅からも近いし、その他の要素を考えても、ここは結構というか相当いいロケーション、いい物件だと気付いた。
 (つーか気付くの遅すぎ!!)

 というわけで、つい先日、マスターに相談に行った。「夜8時までの営業および酒類提供の制限が終わるまで、お店を貸していただけないだろうか?」と。
 結果的に、マスターの厚意で借りることができた。酒類提供宣言が解除されるまでの、一時的な「仮店舗」である。しかし、私にとって初めての「自分の自由が利く店舗」になった。

 深く考えず「じゃあ来週からお借りできますか?」みたいな話になって、今週は「機材搬入地獄」
 毎日、バカみたいに重い荷物を持って東京の端っこ(杉並)から端っこ(江東)を何度も往復している。
 金曜日にはなんとか店舗内の設営が出来て、土曜から営業する。まさに「強行軍を敢行@水曜どうでしょう・香港」である。

 というわけで、この「常識外れのカレー屋」を、よろしくお願いします。色々なシンセサイザーを置いていますが、その多くは「マニュアルがなくても、ツマミをいじってるだけで楽しい、簡単なおもちゃ」です。
 シンセサイザーに全く触ったことがない人から、マニアまで対応できるお店ですので、怖がらずにおいでください!(※2)

※1:濃い味がお好きな方には「リーペリンソース」をご用意してございます(ウスターソースの原型となった英国製のソース。当然ながら化学調味料無添加です)
※2:マニアでも入店するのが怖い「Five-〇」と比べると、256倍は入りやすい店だと思います。

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場所はここです。
東京都江東区富岡1-7-4 3F
https://goo.gl/maps/7v13UhEDXWknX8qm6
お知らせ(お休みの日)等は、Twitterのトップ(固定されたツイート)に掲出しております。
https://twitter.com/sartana_synth

本来のお店「BIGHORN」
https://r.gnavi.co.jp/gau7300/
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131303/13121013/

【重要】自粛要請期間限定のお店なので、興味を持っていただいた方は、A.S.A.P.で御来店ください!!!

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