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「もったいない」から生まれる小さなポーチや巾着

サリクラフトでは、オリジナルの品を作ったり、他社からの依頼で商品を輸入したり制作する業務も請け負っています。

服やバッグ、ポーチなど様々な布アイテムを作りますが、生地はどうしても100%すべてを使い切ることが難しい。ロスを少なくするべく、取り都合を考えて型紙や型入れを調整しますが、端やカーブの部分など布が余ってしまうことがあります。

様々な色柄、サイズ、厚みetc…の綿や麻生地等の端切れがたまっていきます

この時余った生地は、大きな工場ほど処分されてしまうことが多いのではないかと思います。
残反や残布を利用する会社に渡したり、ウェス(雑巾)として機械工場等に引き取ってもらえれば良いですが、刺繍や柄の入った愛らしい自然素材の布がそれではかわいそうに思えることも。

サリクラフトはとても小さな会社。でもだからこそ何かできることがあるのではないか?
元々何でもこまめに保管するA型やAB型が多いチーム(笑)
端布や端切れは取っておいて、時間のある時に、ミニ巾着やポーチなどに加工してもらっています。

ミニきんちゃく
スマホケースなどのミニポーチ

なんとかトコトン最後まで使い切りたい。そして、それがお客さまのお手元で愛され、お役に立てるアイテムであれば、小さな布達の命も最後まで生きるかもしれない。

もちろん端布や端切れなので、どの色柄がいつ出るかはその時の出会い次第。
出来た順に店頭に並べていますので、こまめに見にいらしてくださいね。

小さな会社、小さな店のほんの小さなアクションですが、かれこれ十数年、気づけば数千個がお客さまのお手元に旅立ちました。

これからも出来る限りコツコツと続けていけたらいいな、と思っている取り組みの一つです。

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実はこのポーチや巾着、思いがけず加工に時間がかかります。
小さな布なので、他の無地等と接ぎ合わせなければいけないことも。
様々な大きさや厚みの小さな布をロスの少ないように、でも可愛らしく色合わせする。そして裁断から縫製、紐に小さなタブを手縫いするまで… みなさまだと一枚を何分で作り上げることができますでしょうか?
たとえば時給が1,200円だとしたら… この品は工賃+材料費+販売費でいくらになりますか?
ちなみに、のんびりタイプの私がミニ巾着を作った場合、生地の色柄選びから裁断・縫製、最後のタブの手縫いまで1時間くらい掛かってしまいます。

このような品の価格設定はとても難しいです。
目的は、残布の有効活用をし、かつお客さまに便利に長く楽しんで使っていただくこと。
そうすると、実際にかかる費用で販売しては、高すぎて購入する方が少なくなってしまう。
生地を無駄にせず適切に消化し、かつ気軽に手に取っていただくには、ある程度「お手頃」と思っていただく価格である必要があります。
でも制作や販売をする人件費はもちろん、生地以外に紐や糸などの副資材も必要。
ミニマムのラインをどこに引くかは悩めるところです。ボランティアの部分も出てきます。

どの色とどの柄を合わせるか?

そして価格だけではなく、たかが小さなアイテムでも、色合わせが可愛らしくなかったら、お客さまの手元で愛されないかもしれない。
どれとどれを組み合わせたら素敵になるかな?その小さな生地をパッチワークのように縫い合わせていくことが意外と時間がかかります。
おそらく同じデザインを工場で大量生産する時の10倍以上の時間が掛かっているのではないかと思います。

たとえそうだとしても… 手間暇かけて心を込めて作った品からは、じんわりと温かみを感じていてだけることがあるような気がする。そしてそれを感じてくださった方には、大切に使って頂けるような気がする。
サリクラフトが手仕事の工程の入った品にこだわって扱い始めてから二十数年。
続けて行く中で、データや数値には出ない部分でじんわり感じていることでもあります。

ビジネスとは別の部分で、常日頃お世話になっている布に感謝する気持ち。このようなトコトン最後まで資材を使った小さなアイテムも店に置きたいと思うのです。

ひものタブにも猫の顔があったら楽しいかな?と考えたり…

そして願わくば…
「たかが端切れだからちゃちなもの」ではなく、このような端材に手間暇かけた品こそ、いつか「量産品より価値のある品」として思って頂ける日が来るといいな。そんなことをちょっとだけ真面目に思っていたりします。
地球環境や資源を考え、かつお客さまのお手元で活躍し、長く大切に愛される品。

今まで様々な会社やブランドの企画デザイン・パターン、工場での生産管理、輸出入等の物流管理、そして卸売から小売販売まで…。知名度・規模問わず、大量生産から手仕事の品まで、長く国内外のアパレル&インテリアの糸へん業界で、主に黒子的立場として携わってきた者として…
世の中がそのようなバランスの良い日に近づくまで、これからも出来るだけ様々な現場からエンドユーザーのお客さまに近い所まで、可能な限り幅広い視野を持って見届けていけたらいいな。
ビジネスの大小やボランティアかどうか問わず、今この時間に出来ることがあれば、裏方の黒子としてコツコツと手を動かしていけたらいいな。
そして、SDGsやエシカルな品とお伝えせずとも、お客さまが「これが好き♪」と思ってサリクラフトの品を使ってくださったら、自動的に地球環境に優しいことにつながる… そのようなことに陰ながら携われたらいいな、などと思い続けています。

小ちゃなポーチや巾着のことなのに… 溢れる思いが多すぎて(笑) これでもかなり絞ったんですけどね。
長い間、特に発信することなくきたので… お伝えしたいことがたくさんありすぎました。反省。最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。長くなってすみませんでした。

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