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「きのう何食べた?」から学ぶ大切なこと

別居以前から、一人の時間、NetflixやAmazon prime videoにどっぷりハマる時がある。

大好きなドラマの一つ。内容はざっくり言うと、40すぎの中年のオジさん二人の同棲物語なんだけど、主人公の二人、シロさん(西島秀俊)、ケンジ(内野聖陽)のやりとりがたまらなく良い。

シュッとしてるシロさん、料理上手で倹約家、ノンケのフリして弁護士の仕事をしっかりこなす。稼ぎはそこそこ良いはずなのに、一回の料理に鶏もも肉1枚使うのを怒る。(私、使っちゃうけど)

ヒゲ面で男臭い感じのケンジは、見た目からは想像できないほど中身は乙女な美容師。ゲイであることを隠していない。両手を口に当ててきゃーと喜んだり感動したりする仕草は女子より女子力高くて可愛すぎる。

この二人の1番の魅力は、なんといっても素直なところ。意地を張っていても結局素直になれるところ。
「愛している」だの「好き」だののセリフはないにしても、お互いがお互いを想って暮らしていること、生活の中やお互いの人生に、ちゃんとお互いがキャスティングされている関係性は、異性同士の普通の婚姻関係にも欠けている部分かもしれない。(特に我が夫婦には完全に欠けていた)

ありがとう
ごめんね
気をつけてね
大丈夫?
美味しい
似合う
素敵
嬉しい

ちゃんと言えるようになりなさいって、子どもに教えるこれらの大切な言葉を、大人になっても言える二人(特にケンジ)

喜怒哀楽や感謝はもちろんのこと、嫉妬心すらも、全身でアピールする。時々見せる、ケンジの号泣はかなり露骨に男が出てて、これがまたギャップ萌え。

個人的には第11話のクリスマスディナーの夜、シロさんが自身のゲイを両親がどう思ったか、そしてケンジヘの熱い特別な想いを、涙を堪えながら、声を詰まらせながら語るところが大好き。胸が熱くなる。

全体を通して、同性愛だからなのか、異性の夫婦にありがちな、男女の役割の明確化、男女のこうあるべき姿っていうのが全くない。頼れる、あるいは頼られるという関係はあるんだろうけど、基本的にはフラットな関係。

だからこそ、お互いの得意分野が、自然と役割分担されていて、お互いがお互いを尊重するからこそ、理想的な関係性が生まれている。(なんで私ばっかり、なんで俺ばっかり、とかが一切ない

亭主関白モラハラ夫を持つ私にはたいそう憧れる部分である。無い物ねだりな感覚で魅了されたからこそ、どっぷりハマったドラマである。

ドラマの中ではお互いの家族の悩みなんかも一緒に共有する。お互いに、深く言及したり、意見したりはしないんだけど、常に『傾聴』できる姿勢を持っているところなんかは見習うべき姿。

劇中、「一緒にご飯を食べられてるだけでありがたい」っていうセリフがある。

そうだね。同じ屋根の下に暮らすなかでは、夫婦一緒に寝るベッドよりも、ともに向き合って一番長い時間を過ごす場所、それが食卓。箸の進み方や、表情や声色で、相手のコンディションや感情、全てが垣間見えてしまう部分。

料理を作る側は、朝も、昼のお弁当も、夜も、いつでも美味しいって思ってもらえるものを作り続けようと努力する。喜んでもらえるものは何かなーって考える時間さえも幸せなひと時。

一緒に食卓を囲んでいる時、これ美味しいね、これのこんなところが好きー、この間のあれも良かったよねーっ、今度はあれ食べたーい、なんて話し合えるのとか最高に憧れる。

シロさんとケンジはそんな完璧な食卓をしっかりと作り上げている。(我が家にはなかったなー)

あーあ、私もそんな幸せな食卓を作りたかったなー。(ドラマだよ)
いやーでも憧れる。夫と他愛のない話をしたかったなー。

話さないとわからない。
言葉にしないと伝わらない。

表情にしないとわからない。
リアクションしないと伝わらない。

嫌だと思ったことも、幸せだって思ったことも、嬉しいって思ったことも、悲しいって思ったことも、きちんと表さないといけないんだよね。

言わなくてもわかるだろう・・・じゃないんだよね。

何年一緒にいたって、結局の所、相手は自分とは違う人間なんだから、ちゃんと「伝える」ってことをしないといけなかったんだよね。

伝えあい、分かち合うことで、喜びも楽しみも倍に倍に、無限に増えていく。
伝えあい、分かち合うことで、苦しみや悲しさは半分に。相手が受け止めてくれることで少しずつ軽くなっていく、気持ちが軽くなっていく。

考えればわかる当たり前のこと。

でも、できそうでできないこと。(我が家はできていなかったこと)

これを思い出させてくれる、素敵なドラマである。

やり直しがきかないかもしれない私たち夫婦の別居生活中の週末に、再びオススメに上がってきたNetflixにモヤモヤしながら観てしまい、今夜のnoteをしたためる。

★余談★
シロさんがほとんどの料理を作るんだけど、どれも再現性高めな主婦の味方になるレシピ。個人的には第1話の「ごぼうとまいたけ、鮭の炊き込みご飯」、第2話の「コールスロー」、第11話の「明太子ディップ」が好き。
ケンジが第5話で作るサッポロ一番味噌ラーメンがたまらなく美味しそうで、食べずにはいられなくなる。深夜に見るのはオススメしない。(これまでサッポロ一番といえば塩一択だったが、この影響で、人生で初めて味噌味のサッポロ一番を購入した)





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