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鶏ハムらしさが、見えてこない

カノジョが作る鶏ハムは、なかなか良いおつまみになる。

そんなこと言うと、「お酒飲むために作っんじゃないからぁ!」とどすどす怒られそうではあるが、美味いのだ。

作り方は簡単で、
鶏のモモ肉だか、ムネ肉を買って来て、包丁を入れ、塩などで下味をつける。

脂が無い方がしっとり、且つ、さっぱり食えるだろうから、ムネ肉が私はイイと思う。

塩麹や醤油麹などの発酵調味料で味付けすると肉の繊維もほぐれなお美味い。

カノジョの家には、醤油麹も塩麹もある。けれども液体しょうゆが無いので大変不便である。
その辺、ちゃんとしてもらいたい。

さて、下味付けたなら、鶏をラップで巻いていく。

スーパーなどで見かける小型のボンレスハムのようにクルっと巻き、もう一巻きクルっとする。

この時、肉が決して離れないようにせねばならない。一枚のムネ肉をクルっと密着させることで、隙のない美味い鶏ハムになる。

沸騰させたお湯に、これでもか、とラップで巻かれ、ツルッとした鶏を入れる。

10分も煮たなら、火を止め、アルミホイルで蓋をして余熱でヤルのが、貧乏一人暮らしのカノジョ流である。

鶏ハムの食い方はまさに自由そのものであるが、私は薄くスライスした鶏ハムに、
刻みに刻んだパセリ、塩、レモン汁、オリーブオイルを混ぜたソースで食うのが最も美味であると思っている。

ぎゅっと旨みが増した鶏に、香るオリーブオイルと、レモンの酸味、パセリのオトナな渋みが、口に広がり、白ワインなんかで、この鶏野郎と、やってやりたくなる。

美味い美味いと食っていればいいのだけど、
へ理屈エッセイストの私は、
「さて、鶏ハムとはなんであるか。」と気にしなければ、気が済まない。

そもそも、ハムってなんだ。

まったくもって塩漬けされていないハムを、
私はハムなどと呼んでいいものか。

蒸し鶏とは違うのか。煮鶏ではあるまいか。

食えば食うほど、私にはちっとも、
鶏ハムらしさが見えてこない。

それともあれか、カノジョの鶏ハムが、
鶏ハムではないのかもしれない。

ただ、まぁそんなこと言うと、
「もう食べないで。」とか、「もう来ないで。」となりかねないから、私はだまーって鶏ハムを、食う。

美味い美味いと食う。

ただ、やはり、鶏ハムらしさは一向に分からない。

鶏ハムを定義づけすることは、
女子大生を見分けることと同様に、
至極難しいことで、ただ食っていればいいのだ。

女子大生は、ただ見ていれば、それで良いのである。


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