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リーマンショックで起きたSESの闇(給料7割/自宅待機/無意味研修)の話

はじめましてこんにちは、サラワン@元SES現メーカ勤務投資家です!

コロナショックの影響が想像を絶しており、リーマンショックの再来が予見されます。当時を振り返る意味でもリーマンショックの時にSESの方々がどんな扱われ方をしていたのかを記事にまとめました。

これからIT業界に就職しようとする人には是非読んでみて欲しい記事であります。
特にSES(System Engenering Service)の道へ進もうとしている方々に対する注意喚起に近いかもしれません。

今回の話は現在も上場している企業の過去の話となります。
リーマンショック時は上場している企業でさえこのレベルです。

私個人の所感ですが、今、SESの道に進むのはあまりお勧め出来ないかなと感じております。特に若くキャリアが薄い人は人生の浪費になる可能性もあります。

■SES(System Engenering Service)とは

最初にSESについて解説したいと思います。
SESとはクライアントに技術者を派遣することで、クライアントが抱えている問題を解決することで収入を得るビジネスモデルを指します。

SESになると様々なプロジェクトを渡り歩けるため、多岐に渡る技術や開発プロセスを取得することができます。正にIT業界で腕一本で生きて行きたい人にはうってつけな職業です。

そんな素敵そうなSESですが結構大きな闇を抱えています(汗
理由は一昔前にあった特定派遣と実質変わらないからです。

SESは派遣という単語を消し去り、耳障りの良い横文字にしたイヤらしい名称なのです(汗

以降、SES ⇄ 特定派遣として読み替えていただければと思います。

■リーマンショック時のSESの待遇

そんなSESですがリーマンショックの時は苦しい状況が続いたようです。
①給与が7割にカットされる
②自宅待機というキャリアに空く穴
③何の役にも立たない会社研修
④最悪は退職勧告

空白期間は自分で能動的に学習し資格などを取れる気概があれば良いですが、中々そうもいかず、加えて「資格 < 実務経験」色が強いIT業界ではキャリアに穴が空くのは非常に痛いです。
→ もちろん、飛び抜けて能力があるのであれば別です。

最悪なのは退職勧告ですね。
社会と会社の都合で人生が振り回されるのは非常に悲しいことです…。

少し細かくみていきましょう。

■①給与が7割にカットされる

これ、結構えぐいです。
手取りだと「145,000円」ぐらいになっちゃいます。

大抵、SESの給与体系は以下で構成されています。

総給与(250,000円) = 基本給 + 常駐手当 + 残業代 + その他手当て

募集要項などですと上記をまるっと含めて、250,000円ぐらいが提示されると思います。
紐解きますと以下の感じになります。

総給与(250,000円) = 基本給(175,000円) + 常駐手当(25,000円) + 残業代(35,000円) + その他手当て(15,000円)

これが平常の給与です。
リーマンショックの時は「常駐手当」、「残業代」、「その他手当て」が削られますので、「175,000円」(=250,000 ✖️ 0.7)となります。
常駐先からお断りされると「常駐手当」も出なくなりますし「残業代」も無くなってしまいます。

正社員で「250,000円」の給与の会社に入社出来たと思ったら、ガッカリしちゃいますよね。

あ、大事なことを忘れていました。
お国が健康保険と年金を約「30,000円」ぐらい持っていきます。

手取り給与(145,000円) = 基本給(175,000円) - 保険,年金(30,000円)

アフターコロナをSESとして生き残るには景気が回復するまで「145,000円」で生活しなければなりません。

ちょっと脅かし過ぎちゃいましたね。
全ての人が当てはまるという訳では無いのでそこまで心配しないでください。

■②自宅待機というキャリアに空く穴

SESの所属する会社は会社の建物自体は物理的にそこまで大きくありません。
平常であれば常駐先に出払うのが前提だからです。
地方なんかではビルの一室とかを営業所としてるぐらいです。

そんな状況でリーマンショックの時に何が起きたかというと、
大量の出戻りSESが自宅で自主学習という名の業務を強いられました。
だって会社が狭いんですもの、部屋に入り切れないのです。

自宅で自分を律して真面目に学習出来る人はあまりいません。
やってるフリしてれば寝てても給与が入ってくる状態です。

そんなことをやってる間に、他の企業に就職した同年代は仕事を覚えていきます。キャリアとしてみた場合差がつくのは当たり前ですよね。

■③何の役にも立たない会社研修

とは言っても、会社側も何もフォローしない訳ではありません。
何グループかに分かれて、交代で狭い会社に出社して研修を受けます。

なぜ、こんなことをするかというとお国から「雇用調整助成金」をもらうためです。この助成金が無かったら「常駐出戻り = 即解雇」になってると思います。
お国もそれをやって欲しく無いから助成金を出しています。

「雇用調整助成金」を受け取るには会社はSESに研修を受けさせる必要があります。その研修内容はきちんとまとめた上で、お国に提出し承認を得る必要があります。

実際どうなったか?
まぁ、急ごしらえで作った研修内容なんてペラペラです。お国もそれっぽいこと書いてあれば技術的なことわからないですし。
しかも遊ばせないためにするためだけの研修なので最後まで課題が終わらなくても良いのです。
1日8hの半分を寝て4h分の進捗でもOKもらえちゃうのですよ。

■④最悪は退職勧告

そんな会社、自宅、会社…を繰り返して景気の回復を待つのですが、中々上向きになりません。ここで会社が動き始めます。

そう、自宅待機しているSESに退職勧告をし始めます。

お国から助成金も出ているし損していないから別に雇っていても良いのでは?と思われるかもしれませんが、株主総会あることについて突かれます。

それは「稼働率」です。

SESを雇っている上場会社は株主に対して「うちは大丈夫です!経営順調です!」と説明しなければなりません。それを手っ取り早く説明する指標が「稼働率」となります。単純に「稼働率」が高ければ会社に利益出る状態となります。

稼働率 = 常駐SESの数 / 会社所属の全SESの数

で、稼働率を手っ取り早く改善したい場合、分母の「会社所属の全SESの数」を減らしにかかります。つまり、常駐していない研修SESに対してちょっと偉い人が退職勧告をする訳です。
「早く次の道を探した方が君のためだ」、「転職準備の期間2ヶ月を君のために用意するから」などなど。全て会社のためなんですよね。

流石に当時は社会情勢もあり会社都合での退職になったみたいです。

■コロナショックで繰り返されるSESの劣悪環境

直近の数年は好景気もあり劣悪な環境も過去のものと忘れてられる程になりました。
しかし、この状況がコロナショックにより同じ状況が引き起こされる可能性が急激に高まっております。

2020年度は不景気の予兆を察した各社が予算をガシガシ削ってきます。
従って、仕事のパイも小さくなりSESの方々で奪い合いになること必須です。

上手く仕事にありつければ良いですが、ベテラン/優秀なSES方々と渡り合って行くにはそれなりの知識や経験が必要になります。

■まとめ

今年はどの業界/会社様も厳しい状況+守りの姿勢になるかと思います。
IT業界も例に漏れず大きな悪影響を受けることでしょう。
そうなった場合、SESという選択肢はその人の人生を振り回す大きな要因になります。

以下、’20年度以降に就職活動をする方向けです。

今年は同様にIT業界も就活/転職が厳しくなるかと思います。
そんな中でSESの元請けは案外簡単に内定をくれたりします。
否定の連続の就活において、内定の2文字ほど甘い言葉はありません。
ですが、最後まで諦めず就活を続けてください!

本記事が一人でも多くの方々の役立っていただければ幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回以上となります!

▼リーマンショック時の新卒SESさんの悲劇

基礎研修後に1年近く自宅研修させられた挙句、その後、退職勧告されました(泣

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