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初めてのおつかい

れもん家では、健康の為に酢を飲むことになっている。

きっかけはほんの些細なことだ。
わたしの実家から送られてきた「ざくろ酢」を飲んだところ、私も旦那も疲労回復していることに気づいたからだ。

ざくろ酢がなくなると、自分たちではれもん酢を買った。
りんご酢よりも酸味があり、ざくろ酢よりも値段が安かったからである。
原液を買い、5倍程度薄めて氷を入れ、風呂上がりに飲む。
それが我が家のルーティンとなっていた。

しかし、つい二、三日前に酢を飲みきってしまった。
これは由々しき事態だと思った旦那が、今日、早速酢を買ってきてくれた。
「今日休みだったから買ってきたよ!」
と笑顔で紙パックを差し出す。
その時点で随分と大きいパックだな、と私は違和感を覚えていたが、仕事終わりで疲れており、深く考える余裕もない。旦那が作ってくれた酢を意気込んで一口飲んでみた。

「…あれ?薄くね??」
「…あれ?」

よく見ると紙パックには「れもん酢、ストレート」の文字が…。
そう、旦那が買ってきてくれた酢は原液ではなく、そのまま飲めるストレート酢だったのだ。

「ごめんね…自分で割った方が美味しいね」
「いや、やたら大きいパックだと思ったんだよね…もしかして大きくて安いから買った?」
「うん」
ときっぱり言い切り、男気全開でその薄いれもん酢を一気飲みした。
そんな旦那が面白くて私は吹き出してしまった。

酢のストレートは安くてパックが大きい。対して原液は高くてパックが小さい。何も知らなかった旦那は、安くて大きいものを買ってきてくれたのである。

家計への優しさを考えてくれた旦那。
ごめんねと謝り、一気に薄いれもん酢を飲んだ旦那。
そんな旦那が愛しくて、失敗のリスクを負ってでも、またわたしはおつかいを頼んでしまうのだろう。
今度はどんな一面を見せてくれるのかな。
いつもありがとうね。

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