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台湾の犬

台湾では犬の姿をよく見かける。

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小型犬や台湾犬だけでなく、日本の柴犬も人気のようでかなり遭遇率が高い。

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飼い主と一緒だったり、暑さにうんざりしてタイル敷の床の上にだらりと横になっていたり、時には首輪はついているものの、ひとり……いや一匹で街中を闊歩しているものもいる。
そしてその殆どが、とても自由で幸せそうに見える。

周囲の人たちも必要以上に気に掛ける様子もなく、かといって邪険にするわけでもなく、彼らはそこにいて当たり前というように街の中に溶け込んでいる。

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飼い主がテイクアウトの注文している間に店の中に入ってきても、店内の客は微笑んで見ているだけで誰も咎めたりはしない。

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夜市の近くでおこぼれを待っていても追い払われることもない。

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麻薬探知犬が空港の職員さんと一緒に、到着ロビーにある銀行にやってきたりもする。

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話しかけてきた優しそうな小姐の魅力に抗えずデレてしまい、あとで怒られてはいたけれど。

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市場の周囲も犬が多い。市場内の店主が連れてきているのか、それともやはりおこぼれを期待して集まってくるのか。

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人間からの悪意を感じることが少ないのだろうか、出会う犬たちはみな人懐こく優しい目をしている。

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6月の台南は梅雨シーズン真っただ中だ。けれども日本のようにジトジトと1日中降り続く日は少なく、ザッと勢いよく降ってすっと止むスコールのような雨が多い。

そんな台南でその突然の大雨に見舞われ、公園南路の軒下に逃げ込んだ事がある。私の後ろから一匹の犬が同じように逃げ込んできた。彼は私を追い抜いて特等席を確保し、悠々と身繕いを始める。その姿を眺めながら私もしばらく一緒に雨宿りさせてもらった。


その半年後、同じ場所でまた彼と出会った。
前回とは全く逆の、青空が眩しいくらいに気持ちよく晴れた午後の陽射しの中、彼は「これ以上の幸せはあるか」というような顔でぐっすりと眠っていた。

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台湾は2017年、アジアで2番目に犬猫の殺処分を廃止している。その1年程前にとある悲しい出来事があり、その件が法の施行を早めたとも言われているらしい。

犬に限らず台湾では猫も、日本より伸び伸びと街中で過ごしているように見える。少なくとも、街の人々の彼ら犬猫に対する目は日本のそれよりも優しいと感じる。

殺処分廃止の法が人々の意識を変えたのか、それとも台湾の人たちの元々の気質なのか、それはまだ台湾を知らなすぎる私にはわからないけれど、日本の犬や猫もあんなふうにもっと幸せそうに暮らせたらいいのになと、台湾に行く度に思ってしまうのである。



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