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【MTG】子どもが生まれたPWの話


私はかつて、プレインズウォーカーだった。
毎週末大会に参加し、GPやPT、大型大会があれば場所を問わず全国を駆け回った。
不規則な時間に開催されるオンラインの大会でもお構いなしに、夜を徹して戦いに臨んだ。
そんな私の戦いにも終わりが訪れた。
待望の第一子の誕生である。
よく笑い、よく泣き、よく食べるかわいい男の子だ。
子育てに強くやりがいを感じる一方で、PWとしての活動を継続することは困難になった。
しかし、決して灯を捨てることはなくいつかマジックの戦場に戻ることを夢見て、家庭内の戦いに臨むことを決意した。


はじめに


前書きが長くなりましたが、改めて皆さんこんにちは。ムナカタと申します。
5年前にマジックを始めて以来その魅力に取りつかれ、気づけば休日のほとんどをそれに捧げる生活を送ってきました。
しかし、子どもの誕生を機に大会への参加はお休みし、適度な距離感でマジックとかかわることにしました。
本記事ではその様子について、いくつかの項目に分けて記述したいと思います。
自分の周囲にはいわゆる結婚適齢期のプレイヤーが多く、「結婚して子供がいたらこんな感じだよ」と参考になれば幸いです。

自己紹介

・29歳男性、20代妻、8か月息子、結婚2年目、社会人5年目
・マジック歴5年、主にスタンダード、パイオニア、モダン、リミテッド
・実績:プレイヤーズツアー参加、ラストサン入賞、神決定戦入賞、スタンダード、モダン提督(晴れる屋横浜店タイトル)など
さらみ(@MtgMuna)さん / Twitter

これまで、子育てとマジックのかかわりについては、自分が知る限りでは以下のような論調が主流でした。
「育児に積極的に参加したうえで妻との時間を適切に配分し、限られた時間の中で目標を絞って、効率良く練習することで高い成果を出す。」
こうした内容の中で、私が特に参考としている二つの記事を紹介させていただきます。

どちらのプレイヤーも子育てと両立する中で非常に高い成績を残されており、尊敬しております。
私も子供が生まれる前は、いずれこうした形でマジックに取り組みたいと考えていました。
しかし、実際に子供が生まれてみるとそれは困難なものとなりました。
その理由は、共働きの妻との休日のズレです。
私が土日休み、妻が水木休みの仕事をしています。
産育休明けは土日休みの部署に移れたらいいな、と妻が話していたらその夢はあっけなく崩れました。
こうして土日は私と子どもの1on1の日々が始まり、マジックとは距離を取ることとなりました。
その中で競技にこだわらない形での、私のマジックとのかかわりについて記載します。


時間の話

一番問題になるのはこの部分です。休日は常に息子といるため大会に参加することができません。一時的に実家に預けることはできますが、仮にSEに残っても夕方以降遊ぶことはできません。
こうした状況でマジックを継続するために以下の3つの方法を考えました。
①MO、アリーナ
②自宅に友人を呼ぶ
③対戦の見学
それぞれについて記述します。

①MO、アリーナ

主にマジックを遊ぶ手段はこれです。
とはいえ、息子が起きている時間は困難で、妻子が寝静まった深夜が主にプレイする時間帯となります。

とある休日のタイムスケジュールです。
大体息子にご飯をあげるか、寝かしつけをしています。
その中で妻が寝た23時以降に、約4時間MOの時間を確保しています。これで大体1リーグ回せる算段です。平日は取れる時間が短いので2日で1リーグくらいのペースで、月に約20リーグを回しています。飽きないように様々なデッキを触っていますが、幸いManaTradersにかけている費用よりはチケットを貯めることができています。
MOチャレンジ等の長時間の大会に出ることは困難です。そのため目標はのリーグの5-0にしていて、5月は連休もあり4回、6月は2回でした。
0時ごろの息子の起床時間も正確には読めず、かつては対戦中に泣く泣くconcedeボタンをクリックしていました。しかし、7か月頃から自分で哺乳瓶を持てるようになったため現在は部屋を暗くして膝の上に乗せながらプレイを続けています。

②自宅に友人を呼ぶ

妻と休日がずれていることの最大のメリットです。
子どもに理解のある友人を家に呼び、りみてっどの対戦をしています。
大人が三人いるときは一人が子どもと遊び、残りの二人が対戦をしています。もちろん途中でミルクやおむつ交換、離乳食、ぐずりの対応や寝かしつけ等を挟みますが、温かい目で見守ってくれる友人のためまったりと遊ぶことができています。
最近は息子が友人たちに懐いてきており、友人たちも楽しそうに息子と遊んでくれるので本当に感謝しています。

とある日の対戦風景
これは指輪が入っている味、とのコメント
生後4か月で初心者体験会
真剣にテキストを読みながら堅実な盤面を作る腕前

③対戦の見学

所属しているコミュニティの練習会や、店舗大会の見学にも出向いています。長く滞在することはできませんが、そこで友人と話すだけでも楽しいので続けていきたいです。

練習会の見学
この時息子が目を付けたデッキ「緑信心」が
翌週CCFを制することは語るまでもない事実
自宅での英才教育
息子「ノーン+トルシミールはトークン生成と格闘がそれぞれ2回誘発するってことね、理解」

体力の話

時間を確保しても問題になるのはこの点です。子育ては1に体力2に体力、34が無くて5が体力。体験してみてひしひしと実感しました。
毎晩の夜泣きによる慢性的な寝不足、お世話での体力消耗、そして保育園からもらってくる謎の風邪たちと、どれだけ体力があっても足りません。ベースで常時寝不足、常時風邪気味で最近は暑くなってきて何をするにも一層体力を消耗するようになりました。
こうした観点で言うと深夜に時間を割いてMOをすることは好ましくないのですが、コンディションを見極めつつ遊んでいます。
もし結婚して子育てを考えている方がいたら、なるべく若いうちにすることを推奨します。

大体こんな感じ、子育て日和

お金の話

我が家では収入を一度共有の口座に入れ、そこから必要経費を引き落とす形式をとっています。そのうえで、お小遣いは月5万円に設定しました。かつてのように遠征を繰り返し、メタが変わるごとに新しいデッキを組むようではとても足りないですが、オンライン中心で細々と遊んでいくには十分な金額です。もともと飲まない吸わない、おしゃれにも興味がなく、好きなことはマジックとアウトドアだけという生活だったので、むしろほぼお金を使うことがなくなりました。たまにやるリミテや、外出時の費用くらいです。
そのため、この点はあまり心配しなくて良いように思えます。
詳細は控えますが、二人の収入から分譲マンションのローンを払い、車を維持し、月7万円近い保育料を払ったうえで10万円ほど貯金ができているので、共働きは偉大だなと感じます。
子育てに際しての個人的な出費としては、出産前に免許を取って中古車を買いました。それまでは自動車不要派でしたが、いざ郊外での子育てが始まってみると車が無ければ立ち行かないことに気づかされました。
また、誕生に際しては所属コミュニティの方からおむつやミルク等の多大なご支援をいただきました。ありがとうございました。

気持ちの話

子育てや家庭を何より大事にしていますが、マジックから遠ざかることについて葛藤が無かったかと言われれば嘘になります。
特に強く感じたのはThe Last Sun 2022です。前年の入賞実績から参加権利が付与されており、もし叶うのであれば参加したいと思っていました。しかし、子育てが始まってみれば余裕は一切なく、年末に妻がコロナに感染するアクシデントもあり慣れないワンオペ育児に年末年始のすべてを捧げました。そんな中で優勝を掴み取ったのは、同じコミュニティに在籍するプレイヤーでした。思い上がりですが、「もしかしたらそこに立っていたのは自分かもしれない」と考えると何ともやりきれない気持ちになったことを覚えています。
しかし、時間が経つとともにこの気持ちも薄れてきました。自分は自分、他人には他人の戦いと楽しみがあると感じるようになり、最近では純粋に他のプレイヤーの勝利を祝うことができています。むしろ、同じコミュニティのメンバーが気になっているデッキを、配信しながら回す活動にも喜びを感じるようになりました。

2022年末、爆睡の息子を膝に乗せてMO生活

おわりに

長文をお読みいただきありがとうございました。
子育ては辛いことばかりのように書きましたが、楽しみも大いにあり、日々成長していく息子の姿には強く喜びを感じています。
寝ているだけだった息子が寝がえりするようになり、お座りができるようになり、直近では自分の膝につかまり立ちをして甘えた声で呼びかけてきます。人生の中でこれ以上に喜びを感じられることはそう多くはないように思っています。
現在の夢は、いつか息子と一緒にマジックをすることです。3歳ぐらいになったらポケモンカードから始め、いずれは20歳で世界選手権を制するプレイヤーになるでしょう。その過程で、少しでも長く息子と一緒にマジックを遊べる時間があったら良いな、と思っています。
また、この記事が少しでも子育てに臨むマジックプレイヤーの参考になれば幸いです。

参考文献

・シミチン、「仕事と育児を両立させながらMTGを頑張る工夫」、2018年

https://note.com/princeofsimic/n/na3c11a9144d2

・ポリス、「グランプリ名古屋2020 TOP8入賞 ~家庭とマジックの両立~」、2020年
https://note.com/police0902/n/n6b8954579195

・Mark Rosewater、「子育て その1」、2012年
子育て その1|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト (mtg-jp.com

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お時間ありましたらチラ見して頂けますと嬉しいです。

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