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2021年、デザイナーとして転職をする

2年前、2019年春、商学部5年生の私は人生で最も大切な決断のうちのひとつをした。
いくつか企業から内定をもらった中で、戦略コンサルタントでも、エンタメプロデューサーでも、デジタルマーケターでもなく、「デザイナー」として就職することである。

大学2年生から独学でイラレを学び、小さな声で「あの…わたし一応デザインできます…」とつぶやいてはバイトでグラフィックやWeb制作の小さな仕事をいただいて、「ふうつのデザイナーならどうするのだろう」という不安いっぱいの中アウトプットをしていた。

就職後はビジネスデザイナーとして社内の新規事業プロジェクトを担当した。事業サイドと伴走しながら、ビジネスの知識を活かしつつデザイナーの立場で新しいアイデアを生み出す機会を与えてくれた会社にとても感謝している。学生時代にかじったデザイン思考を実際に仕事にできた喜びとやりがいに溢れる日々だったと思う。

一方で、私はいわゆる「上流工程のデザイン」をしながら「思考」だけの限界を感じ始めた。目の前で実装と検証が起こる現場で思考しながら実際に手を動かして検証サイクルを回さなくては、デザインの力は証明できないと思った。

そうして転職活動を続けていく中で、ある成長中のSaaS系の会社からUIUXデザイナーとしてオファーをいただいた。デザイナーを名乗ることに怯えていた自分が、ほぼ未経験の領域に飛び込み、デザイナーとして転職活動を果たすなんてなんとまあ感慨深い。

1社目を通して体感したのは、デザイナーはデザイン以外の業務が9割ということ。時にコンサルタントでもあり、プロデューサーでもあり、マーケターと何ら変わりのない考え方や知識を要する仕事だったということだ。

もしかしたら、デザイナーと名乗るのは自分のエゴで、結局どんな名前でも同じような仕事ができたのではないかと思ったこともあった。

私がそれでもデザイナーでありつづけたいのは、デザイナーという席から見える世界、発する言葉、人との関係性が好きだから。

人の言葉や気持ち、行動に共感することで、美しく気持ちの良い体験を設計する人。

今の私はデザイナーをそのように捉えている。
デザイナーにあこがれていたときは、失礼なことにビジュアルの専門家だと思っていた。

デザイナーという存在がようやく自分っぽいものになってきたように思う。



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