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狂気の王の夢の跡。シギリヤ・ロック| アーユーボーワン!光輝く島、スリランカ #3

「アーユーボーワン!光輝く島、スリランカ」では、スリランカのお国柄ー文化や習慣、観光などのスリランカ情報を自称・広報大使サライラサイがお届けします。

今日は、ここを紹介せずにはいられない。王道の「シギリヤ・ロック」です。

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スリランカ随一の観光スポット

密林に忽然と浮かぶ巨大な岩石、これが「シギリヤ・ロック」スリランカ随一の観光スポットで、世界遺産でもあります。

火道内のマグマが硬化してできた岩頸で、全方位が切り立った崖(絶壁)の一枚岩です。なんと高さ約200mもある岩山ですが、ただの岩ではありません。1500年もの昔、この頂上に王宮が築かれ王朝文化花開く時代があったのです。

基本情報

スリランカのほぼ中央に位置するシギリヤエリアにあり、コロンボや国際空港に近いニゴンボからは車でおよそ4時間かかります。ツアー旅行に申し込むとほぼ行程に組み込まれる名所ですが、ドライバー付きの車かバスで行くしかありません。もっとも、スリランカは交通インフラがまだ発達していないので、シギリヤ・ロックに限らず、観光の”足”には苦労します。

頂上でどれくらいの時間を過ごすかにもよりますが、登って降りての全行程、2時間はかかるとみた方が良いでしょう。1200段もの階段がありますから、行かれる際はサンダルではなくスニーカーを強くお勧めします。

入場料は30ドルと高め。しかし、その価値はあります。
補足:スリランカでは観光資源での財政増を図っており、シギリヤロックに限らずサファリなどもスリランカ国民は無料もしくは無料に近い金額で入場できますが、観光客は高く設定されています。

シンハラ王朝の都

シギリヤ・ロックは古代から仏教僧の修験場でしたが、5世紀後半シンハラ王朝の王カッサパ1世がこの地を統治します。そして岩山の麓に都を、頂上に自らの宮殿を築きました。まさに天空の宮殿。王都「シギリヤ」では多くの人びとが暮らし、当時の貯水池や噴水の遺構や、頂上では王宮、兵舎、住居、ダンスステージ、貯水池のプールなどの跡が見られます。

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狂気の王の、夢の跡

もう少し詳しい歴史解説はこちらを。

西暦477年、シンハラ王朝では、ダートゥセーナ王の統治下にありました。その息子カッサパが家臣に命じて父親を殺害させクーデターで政権を奪い、旧勢力の影響を断ち切るためアヌラーダプラからシギリヤへと遷都します。カッサパの治世下でシギリヤは王都としての建設が進められ、484年にはシギリヤ・ロックの頂上に王宮が完成しました。
しかし495年、カッサパの弟で、兄の弾圧を逃れて南インドに亡命していたモッガラーナが軍勢を率いてシギリヤを攻略。カッサパは自害し、王位についたモッガラーナは都をアヌラーダプラに戻し、シギリヤは仏教僧に寄進しました。その後、シギリヤは13世紀から14世紀頃まで修道院として存続したものの、次第に衰退していきました。

この史実からもうかがえるように、シギリヤ・ロックは狂気の王が建立した都とも言われています。ジャングルの中の切り立った岩山の頂上に宮殿を建立するなど、確かに正気の沙汰とは思えません。弟・モッガラーナの復讐を恐れ、何より父を殺害させた後悔と苦しみから逃れるため、取り憑かれたように王宮作りを命じていたのでしょう。わずか11年間の王座でした。

1400年の時を経て目覚めた天女

シギリヤ・ロックの発見は、ひょんなことから。イギリスの統治下にあった1875年、この岩山を望遠鏡で眺めていたイギリス人が目に飛び込んできた色彩に驚きます。これが「シギリヤ・レディ」(天女)。岩肌に描かれた壁画で、ここから史跡の発見につながりました。

1400年の時を経て目覚めた18人(現存する数)の美女たちはどんな気持ちだったでしょうか。余談ですがわたしはシギリヤ・レディを観るたび、奈良県明日香村の高松塚古墳の壁画(国宝)を思い出します。

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シギリヤ・レディの壁画は撮影禁止ですが、これは麓にあるシギリヤ博物館のレプリカを撮影。シギリヤ博物館は2009年に日本のJICAの援助で建てられました。

目指せ、頂上!

それでは、頂上目指していざ出発。

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麓から見上げるシギリヤ・ロック

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ピークの時期には観光客が鈴なりと聞いていましたが、わたしが訪れた時は人も少なく。ラッキーでした!

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このように岩壁に据えられた階段をひたすら登っていきます。

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何を隠そう、高所恐怖症のわたし。来たことを若干後悔します。

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階段をぐんぐん登ると、ライオンの爪の形をした宮殿の入り口に出ます。ちょっとした広場になっていて休憩ポイント。

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ようやく頂上です。標高370mで360度の展望が楽しめます。聞こえるのは風の音だけ。息を整え、風の涼やかさと静寂を味わいます。

さて、登ったからには降りねばならぬ。高所恐怖症のため、恐る恐る手すりにつかまりながら降ります。最後は、人懐っこいスリランカン女の子に手を繋いでもらいながら(笑)。それも素敵な思い出です。

スリランカに行かれた際は、ぜひ絶景の天空宮殿で風を感じてください。


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