愛とペルソナ|優れた創作は恒久的に語り継がれる
最近、聞き手:確井広義氏・倉本聰氏の「脚本力」という本を読みました。
おそらく、平成前の生まれの方ならだれもが見たであろう「北の国から」というドラマ。
「泥のついた一万円」
「子どもがまだ食ってる途中でしょうが」
「笠松のじいさん」
などなどドラマについて語り出したら一斉に話し始めるほど
夢中になれるシーンがてんこ盛りでした。
収益結果からみても面白いデータがあります。
他のブログにも「テレビを一切見ないおばあちゃんが、この時間帯には黙って座り、テレビのスイッチを押す」なんてエピソードがありました。
なぜ、このドラマは共感され、ロングセラーになったのか。その秘密について、著書にはたくさん書かれています。ご興味のある方はぜひ手に取ってみてください✨
ドラマのファンだった私は一気に読みましたが、深い話が多すぎるので読み返したいと思います。
で、いまの状況で個人的に総括すると
倉本聰氏の脚本は「絶大なマーケティング力、とくにペルソナに力をいれている」という感想を持ちました。
倉本聰氏は、ドラマを創る前から「キャラクターの履歴書」を書くことで有名です。ですが、まだその先もあったことを知りました。
黒板五郎が暮らしていた東京の街(新大久保)に、「どこにどんな人が暮らしていたか」などといった地図をつくり、その人たちのキャラクターや背景までも念入りに決めていた。と書いてあります。
実はこれ、よくマーケティング手法に使われる「ペルソナ」です。
ペルソナはご存じの方も多いかと思いますが、商品開発やwebサービスについてビジネスを考える際に使われる手法です。
ターゲットの、年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、家族構成、趣味、特技、価値観、ライフスタイルなどを細かく想定し、実際に実在しているかのようにリアリティのある仮想の顧客プロフィールを作ります。
そして、そのペルソナに対して「どう売れば興味を示すか」を考えてコンテンツを作っていくという奴です。
対象の洞察力が欠けるとペルソナは作れない
マーケティングのペルソナで失敗する理由は「仕事だから」なんだと思います。つまり興味がないから。なんとなく薄っぺらい考えでペルソナ設定をしても、やはり売れなくなるそうです。
創作においても同じで、例えば主人公を「少年A、15歳」とだけにしてスタートさせ、その肉付けを適当に進めたとします。
すると、やはり書けなくなってくるというか矛盾が生じてくるというか。どこか嘘くさい世界になってくる。だから読まれない。そういうことなんだろうなと思います。
読者がいる限り、創作は「共感」できる部分が必要です。なのでペルソナ設定はかなり重要なんだという事をあらためて理解できました。
創作には「愛」が必要
もうひとつのポイントで興味をひいたのが「感動」と「快感」の違い。倉本聰氏は最近のドラマは「快感」が多いけれど「感動」が少ないと言っています。
個人的には恥ずかしながら「愛」というものがイマイチぴんときません。
ネットで検索すると。
親子・兄弟などがいつくしみ合う気持ち。また、生あるものをかわいがり大事にする気持ちとありました。
世間体を大事にするあまりでしょうか。心の底に封印されてしまっている感情がたくさんある気がします。
ただ「よい創作」を観たり聴いたりすることで「愛」を思い出せることがあります。
生活でもペットや身内が弱ったり、誰かが喜ぶ表情でこっちも嬉しくなったりと、思いもよらぬ感情が押しよせてきますね。これが愛なのだろうかとふと思ったりする。それほどまでに、病的に「愛」という感情を忘れてしまっています。
おそらく何かを観たり聴いたりして隠そうとしても抑えきれない湧きだす感情がでてきたら、その創作作品には「愛」があります。その愛の重要性に気がつける数少ないドラマが、この「北の国から」なんだろうとも思います。
ペルソナを設定し、創作することとは、つまり「愛を知ること」。
創作に必要なのは「愛」。
まだまだ未知な部分がありますが、丁寧なペルソナを設定することで、思いがけない創作ができるかもしれないと感じた本の感想でした♪
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