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人のからだは複雑系 弐 〜自律神経

「神経」とは神氣(全身を巡る見えない力)の経脈(けいみゃく)

といったのは江戸時代の蘭方医、杉田玄白(1733~1817)。経脈とは東洋医学の十二経脈のことですが、ここで杉田がいうのはそれとは違う、目に見える不思議な脈のことです。「神経」は杉田が作った造語です。近代科学、哲学用語は造語が多く、漢字文化圏での共通語になっているのも多数。

経絡(けいらく)とは体を縦に走る経脈と、横に走る絡脈(らくみゃく)のこと、で十二経脈とは肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経、肝経の総称。


神経は体内の情報伝達手段のひとつ、もうひとつはホルモン(内分泌系)です。どちらが速く作用するか、直感でわかりますよね。そう、神経は伝達が速くてホルモンはゆっくりなんです。 

情報伝達の神秘

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鍼灸学校時代にお世話になった『イラスト解剖学』より情報伝達について

1、散歩中のネコがサイフを見る=目(感覚器)が情報を受け取る

2、サイフを見た視覚情報が感覚神経を介して脳(中枢)に送られる

3、情報が処理、統合されてサイフを拾う決定がなされる

4、脳からの指令が運動神経を介して運動器に伝達される

5、筋肉(運動器)が働いてサイフを拾う

著者の説明をわかりやすくしてみました。イラストも著者によるもので、この解剖学のバイブル(私が勝手にそう呼んでいる)のおかげでどれほどの学生が救われていることか😭😭😭

神経の働きがよくわかりますよね。脳を中心とした神経網はまるで緻密に細部まで統御された軍隊組織のようです。


そしてこの感覚神経、運動神経とは別に自律神経が存在します。

自律神経は内臓、血管、気管を調整するもの。無意識の領域

運動神経、感覚神経は意識の領域

無意識を統御する自律神経こそ偉い!自律神経を制するものが・・・なんて思っていました。

ところが『イラスト解剖学』全720p中、自律神経はわずか8p・・・😱

いやいや解剖学は膨大だから 名著といえども仕方なったんでは🤔

と、以前なら納得できなかったことですが、今はね、今は・・・人の体は複雑系だと身に染みているので、そうかもしれないなあと実感しています。たとえば全身を覆う一枚皮の皮膚、全身が感覚の塊なんですよね。『皮膚は考える』という著書もあるほど。また、腸は第二の脳とかいうでしょ。

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私にいわせれば、「手足の指は語る」、「気管支はこんなときじわる」とかいろいろ浮かぶ。結局のところ、体のどの部分をとっても素晴らしく存在感があるのです。

なので自律神経8pも・・納得しよう。でもそれでも私が自律神経の働きを重視するのは変わらないのだから🙁


以下、自律神経について、またまたイラスト解剖学からの引用です。

交感神経、副交感神経の働きは(ほぼ)真逆

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これすごくないですか?

交感神経=戦う神経 その時の体はこうだよねってショート解説、素晴らしい!いちいち頑張って覚えなくてもイメージすれば頭に入って来る!だから名著なんです!

「交感神経系は闘争(逃走)すなわちエネルギー消費状態をもたらす
副交感神経系は安静、エネルギー補充の状態をもたらす
闘争(逃走)状態では筋や心臓の働きは促進され、エネルギー消費が起こる。これが交感神経興奮状態である。一方、安静状態では胃腸運動などが促進され、エネルギー確保が起こる。これが副交感神経優位の状態であり、次の闘争(逃走)の準備に他ならない。」

エネルギー消費の行動はほぼ昼間のことが多く、エネルギー補充は安静時、ほぼ夜間のことが多く、これは概日リズムにかかわります。

概日リズムとは体内時計とも呼ばれる24時間の生体サイクルのこと。明暗、食事、睡眠などに左右される。

簡単に言うと昼間は交感神経が働き、夜は副交感神経が働くことで概日リズムを整えているとも言えます。

概日リズムを整えることは体内環境を一定に保つ(恒常性=ホメオスタシス)ことに直結します。

つまり自律神経系は外界の激しい環境変化に対して、体内の概日リズム、恒常性を一定に保つべく昼夜を問わず活動しているのです。

ちなみに目は光刺激に激しく反応して交感神経を興奮させます。夜間にスマホをいじっていると眠れないのはこういう理由。


また、性別を持ち出すと男性は交感神経優位、女性は副交感神経優位と言われますが、最近はどうもそうとも言えない気がします。デスクワークが原因かな?運動不足が副交感を優位にしていると思います。男性でも低血圧の方増えているようですし。

子どもは体の成長のため、第一に栄養分の消化吸収を優先しなければならないので副交感神経優位になります。(消化吸収する胃や小腸は副交感神経で働く。食べると活動が制限されて眠くなるでしょ。消化吸収を優先させるため。)夜泣きとか疳の虫とか、夜になると熱が出るとか、子どもの症状が夜出やすいのは子ども自体が副交感優位の存在だからだと思います。



次回は交感神経興奮状態、副交感神経興奮状態が長引くとどんな症状となって出てくるのかについてお話ししたいと思います。


専門用語がありすぎて読むの大変だったのではないでしょうか?😅(Mjr元帥は偉大だ。難解なことも誰にでも分かるように伝えてくれる。なかなかできないことです。)



ここまで読んでいただきありがとうございました。





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