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1on1を1年間やって見つけた"深堀りどころ"キーワード

はじめに

この記事は ハンズラボ AdventCalendar2021 13日目の記事です。

想定読者

割と最近1on1のメンター役をやり始めた、けどなんかうまくいってないひと

  • 色々不満を話してもらってはいるけどそのあとどう話をすればいいかわからない

  • 相手から「特に話したいことがない」と言われてしまう

  • 1on1の意義がいまいち感じられない

これらの悩みはもしかすると、相手の話に一歩踏み込む「深堀り」のタイミングを掴みかねていることから生まれるのではないでしょうか。
そんなときに意識すると良さそうなキーワードについて書きたいと思います。

1on1とは

ネットで調べると色々定義が出てくるので
ここでは

  • 評価や管理のための人事面談とは性質の異なる1対1のミーティング

  • 話し手の経験学習をサポートする時間

という意味で書いていきたいと思います。
場の主体は1on1のメンティ役であり、あくまでメンター役は聞き手になります。

筆者の1on1メンター役経験について

1on1の説明について、よく「上司と部下で行う1対1のミーティング」というものがありますが、1on1は "評価や管理のための人事面談とは異なる" ものです。
したがって上司と部下という関係性に限らず、実施して効果を発揮できるものと考えています。
むしろ、直接の上司以外だからこそ話せることもあるはずと考え、社内で個人的に 「組織横断1on1」 というものを1年間やりました。

  • 対象者

    • チームや役職に関係なく有志

    • 後輩にあたるひともいれば上位の役職のひとも

    • 依頼をもらったり、こちらから声をかけて実施させてもらったり

    • 「〇〇さんとやってほしい」という推薦(?)もたまに

  • 期間

    • 2019/10〜2020/11

    • 産休をきっかけに休止(産休の話はこちら

    • 2021/12より再開

  • 人数

    • 合計12人

    • 定期的に実施していたのはそのうちの4人(月1で実施)

直接的に解決したり作業する場ではなく、
「本当にやりたいことは何か?」
「やりたいことを実行するにあたって妨げとなる問題はあるか?」
「問題解決、あるいは自己実現のために何をするか?」 ということを一緒に話す場として行いました。

"深堀りどころ"キーワードたち

そんな取り組みの中で見つけた3つのキーワードが
「べき」「ない」「むずかしい」です。

Keyword1: べき

「こうすべきなのに!」の「べき」の背景にはそのひとの価値観が隠れています。
価値観はひとそれぞれあるものなので、「べき!」と思っていたものが、あくまでひとつの価値観であるとメタ認知できるようになると、だんだん他のひとの価値観にも目が行くようになります。
そうすると自分の「べき」が、実は絶対的なものではないと感じられるようになり、それだけで気持ちが少し楽になるケースもあります。
そうでなくても怒りや悲しみの感情から一歩外に出て、他のひとの価値観を踏まえたうえで、自分の理想を実現するための具体的なアプローチを考えるステップにつなげやすくなります。

「べき」が出てきたら、客観的な形で認識できるように「○○であるべきと思ってるんですね」などと言葉を返したり、ホワイトボードや会話メモに書いてみます。
そして、どうしてそう思うのか、どんなことを重要視しているからそう考えるのか、改めて一緒に考えてみます。

いち価値観として認識ができたら、聞き手はその価値観を意識的に承認したいところです。
「自分の『べき』が絶対的なものではない」というのは「他のひとの価値観を優先しなさい」ということではなく、「あなたの価値観が大事なように他のひとにとっても自分の価値観は重要だよね」ということだからです。
自分の価値観が尊重されていると感じられなければ相手の価値観の尊重をする気になれなくなることもあると思います。
聞き手はまず話し手の価値観を確実に尊重する一人でありたいものです。

そして少し気持ちの整理がついたら、今度は「べき」が実現されていないことによって具体的に困っていることがあるか立ち返ります。

Keyword2: ない

「XXの数字が良くない」「XXがない」「XXができない」
これらは一見Problemそのもののようにも見えますがもう一歩深堀りしてみましょう。
もちろん「良くない」状態よりは「良い」状態の方が良いですが、例えばそれが本当に必要なのか、何故必要なのかは改めて考えたいところです。

リソースは有限なので理想に優先順位をつけざるを得ないことが往々にしてあると思います。
そんなときに優先順位付けをするための情報を引き出すきっかけにしたいキーワードです。

「ない」が出てきたら、それによって具体的にどう困ってるか深堀りしてみます。
例えば「XXができない」ことで誰がどう困るのか。
もしかしたら今すぐには困っていないけど「できる"べき"」と思って焦っているのか。

若干逸れますが「具体的に何に困ってる?」という質問は興味深くて、実は自分自身が感じている問題ではなく、無意識に作ってしまった実体のないペルソナを背負って問題提起していた場合に、一回壊して自分に立ち返ることができる効果があるなぁと思っています。
「問題」とか「課題」に比べると「困る」は主観的な視点で考えることになるので、思考の出発点をとらえなおすのにはむしろ良いのかもしれません。
客観も主観も使いどころが大切ですね。

Keyword3: むずかしい

色々と不満を言ったあとに「まぁとはいえむずかしいですよねー」と締めくくることが自分でもよくあります。
普段の雑談であれば会話の切り上げポイントだと思いますが、1on1では踏みとどまって深堀りしたいキーワードです。

1on1の聞き手の役目の一つが問題の切り分けだと思います。
「むずかしい」が出てきたら切り分けチャンスです。
何故むずかしいのか。それはたいてい問題が大きいからです。

切り分け方のひとつとして「コントロール可能な部分とそうでない部分にわける」というものがあります。
不満の核を整理した上で、どこまでは自分たちでコントロール可能な話なのか、コントロール不可能な部分は誰の力があれば対処しうるのか考えてみます。

簡単ではないと思うけれど千里の道も一歩から。
巨大な問題のかたまりをただ見ているよりは、何かできることから行動した方が楽になれることは多いのではないかと思います。

オマケ: 空白の時間を大切にする

オンラインだと特に焦ってしまいそうになりますが、相手が考えこんで発生する沈黙の時間は、1on1の場合、特に大切です。
行き詰まっていそうなら声をかけつつも、内省して言葉を探しているようであればできるだけ待ちます。

ホワイトボードなどに会話メモを書きながらだと、沈黙の時間にこれまでの会話の内容を整理して書き直したりできるので、あまり間が持たない感じにならずおすすめです。

おわりに

今回は1on1をテーマにして書きましたが、KPTなどのProblemのブレークダウンや自問自答の内省でも使えると思います。

1on1の意義は、一人では見落としていた思い込みに気づけたり、一人では行き止まりに思えた思考の先に進めたりした瞬間にあると思います。
そんな瞬間が生まれるきっかけとしてこの3つのキーワードが役に立てば幸いです。

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