かっちんおじさんの日常3話~女の紹介話~
同級生の隆史が帰った後は、仕事の合間に立ち寄るサラリーマンが2~3人コーヒーを飲みにきただけで、今日はちょっと暇なのか? そんなことを思っていると、今度は隆史の奥さんの幸子(さちこ)が近所で仲の良い和代(かずよ)を連れてお店に入ってきた。
和代とは暇さえあれば、お互いの旦那の悪口を言い合ってる仲である。
うちのお店にきては、事あるごとに口から出てくるのは旦那の悪口ばかりだ。
そんな旦那の話ばかり聞かされる身としては、複雑な心境ではあるが、つくづく僕は独り身で良かったと思う瞬間でもある。
好きで結婚したって、何年も一緒に暮らしていれば、お互いに言いたいこともあるだろう!
結婚に対して良い夢ばかりをを求めてるわけではないが、結婚と言う現実を突きつけられている感じで、夢も何もあったもんじゃない。
彼氏彼女の関係で会いたいときに会う。会いたくなったら会う四六時中一緒に居るよりその方が良い関係を保てる気がする。
僕の経験上なんだが。
二年前の55歳の時に分かれた女とは、僕がはっきりせず煮え切らない態度に愛想つかして僕に別れの言葉を言い放って去って行ったのだ。
その別れの言葉とは……
「あなたとの未来が見えない! このままずっと付き合っても時間の無駄だ。私ももう若くはないんだから、だから別れよう! 私達」
僕はグーの音も出なかった。
10歳も年下の若い女と付き合ってみたのだが、やっぱ僕には同世代の女が性に合ってるのかもしれない。
そんなことを考えながら幸子と和代の方を見ると、席に座ったまま話に花が咲いてるようで、メニュー表を見るわけでもなく注文もまだ決まっていないようだ。
これは女性ならではなのか?
いや、それは女性に対しての偏見だよな。
さっと注文できないのではなく、メニューそっちのけで話に花が咲いている。
それは、もうおばちゃんならではなのか?
いや、それもおばちゃんに対しての偏見だよな。
おじさんが頭ん中で何を考えているんだ!?
僕はカウンター内であれこれ考えていたが、流石にここらで注文を取らないといけないと思い二人の席まで注文を聞きに行った。
「幸子さん、和代さん今日は何にする?」
「あっ、かっちんごめんなさいね、ついついうちの旦那のこと和代さんに聞いてもらっていたから。注文まだだったわね」
「あっ、いや……」
僕は二人の前で苦笑いするしかなかった。
「じゃぁ私はミルクティー!和代は? なににする?」
「そうね、私はホットカフェオレで」
そう言うと二人は、また話の続きに花を咲かせていた。
僕が二人に飲み物を運ぶと、急に思い出したかのように幸子が僕に訊いてきた。
「かっちん、そろそろ彼女とか作る気ない?」
「えっ?」
僕は少し目が泳いでしまった。
よりによって、何で片山夫婦二人から同じ日に紹介話が舞い込むんだ!
僕は隆史に紹介してもらう話を幸子に話す。
「女を紹介してもらう話なら、タカちゃんが会社の人を紹介するってさっき言ってきて、今度お店に連れてくるって言ってたんだけど」
「うちの旦那も紹介話を持ち掛けてきたんだ。うちの人が急に居なくなったなぁと思ったらここに来てたんだ。なんか言ってなかった?」
「あっ、いやっ……そうそう、僕に女を紹介する話してきたんだよね」
僕はまたまた動揺を隠せない状況に一瞬焦ったが、紹介話をしたことだけ話してなんとかその場を収めた。
「どんな人を連れてくるか知らないけど、私の方がおススメしたい良い人だから絶対に、かっちんには合うと思うのよね」
「まぁね」
僕は返答に困った後に咄嗟に出た言葉だったが、TVでよく見る女性芸人さんが使ってる言葉だよな~と心の中で思いながら、両方の顔を立てる意味で結局僕は二人の女性と会うこととなったのだ。
僕のその話は、また次回にでも皆さんにお話ししようと思います。
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