題名 「自分日記」
始まりは
いつだろうと
後ろを振り返る。
もう戻らない過去が
足跡と共に
記憶の中で広がっていく。
さまざまな思いを感じ
その心に翻弄されながら
笑って泣いたあの日。
それは今も続いて
道半ばに立っている。
若き姿を思い出し
今日と重なる自分の姿に
時の流れをしみじみ思い
歳を重ねた証が
刻々と残されていく。
見えぬ心を覗けば
数ある傷痕があるだろう。
都度乗り越えて
癒した心の痕となり
今も忘れない
留まる自分の過去。
消えぬなら
時折傷みを感じても
それで良いと
今の自分が呟く。
この先は白紙の夢へ
生きる小さな勲章を記し
ひとつの歳が
流れていく時を
身体は見つめながら
残す日記に
初夏の木漏れ日が煌めく。
紗羅
ふと、手を見つめたら
歳を重ねてきたと感じた。
良く動かし
ずっと使い続けている。
手は視野の中にあり
必ず目にしていて
自分の時が
進んでいるのだと
改めて思う。
体も心も
回転させながら
消耗するように
毎日を繰り返し
生きる間は
歳を重ねていく。
人には
見える傷、見えない傷があり
それは消えることなく
そのまま自分として残り
若いままではいられず
老いは必ずやってきて
今の自分がここに居る。
自分日記のページは
時に文字が軽やかに弾み
煌々と光が差し
どこまでも続いていく時もあれば
疲れやストレスを抱え
さまざまな出来事の中
暗闇のままで
文字が見えない時もあり
その苦しさが嫌で
明かりを灯そうと
必死になった時もあった。
そんな時を経て
今はどちらも望まず
真っ暗なまま
淋しさや悲しさを感じる
切なさではなく
ギラギラと眩い光が
ずっと照りつける
押された忙しさでもなく
優しい光がそっと差し
この日記が見えるくらいの
明るさがあれば充分。
最期は穏やかに日記を閉じたい。
そう思い、そう願っている。
自分の手を
見つめながら書いた詩へ
「ありがとう」と言葉をかけ
「これからも宜しくお願いします」と告げる。
自分と切磋琢磨する日記は
もうしばらく続いていくのかな…
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