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古民家スナック

ここはとある町の一角にある
古民家スナック

古民家憩いのカフェ
おじいちゃんたちが集う場所

夜な夜なよぼよぼのおじいちゃんがやってくる。
たまぁにおばあちゃん♪

おじいちゃんは昔話をよくする。
ひとりのおじいちゃんはイクラが嫌い。
このおじいちゃんのことはジョニーじいちゃんと呼ぼう。
なんでイクラが嫌いかというと戦争でハルピンというところに行って鮭をたくさん取らされて食べ過ぎて嫌いになったそうだ。
なんとも贅沢な話である。
贅沢というかその頃はイクラにそれほど価値がなかったのか?
ハルピンとはそこが中国の場所なんだということはわかるが具体的な場所まではわからない。
とにかくジョニーじいちゃんの話を聞く。
ハルピンはすごーく寒かったんだって。
おじいちゃんの手は第一関節が曲がって固まっていてゴツゴツした優しい手。不思議なのはなんでか左の小指の爪だけ長いのだ。
その手を見ていろんな意味ですごいなぁって思う。
戦争に行って自分が死にそうになったり
仲間が死んでしまうのをみたり
クリクリした可愛い目をしたジョニーじいちゃんからは
想像できない。

ジョニーじいちゃんは若い時は絶対イケメンだったという面影がある。歳をとっていても顔立ちがとてもはっきりしていておじいちゃんなのにカッコいい。しかも髪の毛が無いのにカッコいいのだ。
これは私の偏った考え方かもしれないが、髪が無くてもカッコいいのは究極にカッコいいと思うのだ。

年齢がそうさせるのか、生き様がそうさせるのか…
金歯がキラキラしている。

という事でこのおじいちゃんはジョニーじいちゃん。


もうひとりのおじいちゃんも面白い。このおじいちゃんのことはロビンじいちゃんと呼ぼう。
おじいちゃんは背がとても小さくて牛乳瓶の底のような眼鏡をしている。喋り方はゆっくりで声もとても柔らかい。

ロビンじいちゃんはいつも杖を持っている。背が小さいので杖もコンパクトである。杖の他にもとても大事に持っているものがある。

それはロビンじいちゃんがお気に入りで着ている深緑のベストの右側のポケットにいつもある。前開きで大きなボタンが4つついたそのベストをいつも着ている。

ロビンじいちゃんがいつも大事に持っているもの…

それは胆石(笑!

それも直径4センチほどもある大きな黒っぽい石なのだ。胆石で4センチなんて大きすぎる!!
こんなに大きくなるまで痛くなかったのだろうか?ロビンじいちゃんに聞いてみると痛かったって。だけどここまで大きくなるまでは我慢できたんだって(驚!

我慢し過ぎ!!
昔の人は我慢強いのもある気がする。
ロビンじいちゃんはとても柔らかい喋り方をするのでそんなに我慢強いなんて想像がつかない。

なんて表現したらいいのか?
まったりしているけどくどくないというか耳障りの良いテンポで話すおじいちゃんはとんでもなく我慢強いのだ。

声も尖ってないし喋ってる時の顔もいつもニコニコしている。

2人のおじいちゃんはめちゃくちゃお酒を飲む(笑

私はいつも飲まずに話を聞きながらつまみをつまむ♪

もうひとりのおじいちゃんはお酒を飲んでいないのにいつも怒った感じ。このおじいちゃんはロバートじいちゃんと呼ぼう。
ケンカとかしちゃうわけじゃないんだけど、口調が怒った感じ。
このおじいちゃんは寂しいのだと思う。なんだかそんな感じがする。『うるせーよ』が口癖。だけどお姉さんの話になるととっても穏やか。

お姉さんが大好きなのだそうだ。いつも話してくれるのは、小さい頃によくお姉さんと川に潜って遊んだ話をしてくれる。橋から2人で手を繋いでよく一緒に飛び込んだんだって。すんごい怖かったんだけどお姉ちゃんと手を繋いでいた事で大丈夫!って思ったんだって。

川に2人で飛び込んで一度手が離れちゃうんだけど、どぼーんて沈んでもお姉さんは必ず手を握りに来てくれるんだって。小学生の頃の記憶らしい。
ロバートじいちゃんの大好きなキャシー姉さんの話。

夜な夜なおじいちゃんたちの話を聞くのは同じ話でも面白い。顔はいつも笑っていて楽しそうだから。

今日も営業しています!











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