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【12/6開催】多様性が注目される現在(イマ)わたしたちが知っておくべきこと~L?G?B?T?~

札幌が、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)※1が実現した街になる未来を目指して札幌市と札幌市男女共同参画センターが開催する、企業向けセミナーと市民向けセミナー全13回のオンラインフォーラム「#SAPPORODIVERSITYFORUM」。
 
2021年からはじまり、今年度で3回目の開催となります。
今年度第7回は、ジャーナリスト兼作家の北丸雄二さんを講師にお招きし、「多様性が注目される現在(イマ)わたしたちが知っておくべきこと~L?G?B?T?~」をテーマに市民向けセミナーを開催いたします!
 
↓セミナーの詳細はこちら↓
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市民向けセミナー「多様性が注目される現在(イマ)わたしたちが知っておくべきこと~L?G?B?T?~」
講師:ジャーナリスト/作家 北丸 雄二さん
日時:12月6日(水)19:00~20:30
会場:オンライン(zoom)
(当日参加が難しい場合は、オンデマンド配信をご覧になれます ※いずれも申込必須)
対象:札幌市に居住・通勤・通学する方 /定員30名
   
お申込み:https://www.danjyo.sl-plaza.jp/event_post/sapporodiversityforum-portal2023/
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「LGBTQ」という言葉は、社会的に広まってきたものの、日常生活においての理解度や認知度はその生活形態や人間関係によって様々だと思います。言葉は聞いたことがあるけど、詳しくはよくわからない…、LGBTの人がいるのはわかったけど、自分の周りにはいないからあまり関係ないや、などと考えている方はいらっしゃいませんか?私たちが暮らす札幌は多様なセクシュアリティの人達で構成されていています。そんな札幌で暮らす私たちが知っておくと安心・安全なことについて、『愛と差別と友情とLGBTQ+の著者である北丸雄二さんと一緒に考えていきたいと思います。
 
※1DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)
Diversity(ダイバーシティ/多様性)・ Equity(エクイティ/公平性)・Inclusion(インクルージョン/包括性)の3つをあわせた言葉です。
 
セミナーに先駆けて講師の北丸雄二さんから市民の皆様に向けてコラムを書いていただきました。
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◎LGBTQ+差別の根拠とは?──「とんでもない思い違い」を正すために
    北丸雄二
 
 今でこそ「性的マイノリティ」とか「LGBTQ」とか言うようになりましたが、つい先日まで彼ら彼女らは「ホモ」だったり「レズ」だったり「オカマ」だったり「オトコオンナ」だったり「ヘンタイ」だったりしていました。それがなぜかここ数年で突然「ダメです」となったのか、その理由がわからなくて考えるのをやめてしまっている人も少なくないのではないでしょうか。まずそれを知らないことには始まらない。そういえば昔はよく『潜入・新宿二丁目──薄化粧の男たちの夜の街㊙︎ルポ』なんていうおどろおどろしいテレビ特番までありましたっけ……今から思えば、とんでもないタイトルでした。
 
 どうしてそれらが突然「ダメ」と変わったのか? それは、「彼ら彼女らが可哀想だから」「アメリカやヨーロッパがそうしているから」「どんな人でも人権を大切にする時代になったから」等々の表面的な取り繕いではありません。
 「あの人たちはおかしな人たちだから、からかってもバカにしても差別してもいいのだ」という、その根本にあった「おかしな人だ」という大前提が、実は大きな間違いだったのとわかったからなのです。
 決して、「おかしな人にも人権がある」とか「おかしな人にでも優しくしなきゃダメ」な時代になったから、ではない。
 
 問題は、彼ら彼女らが「おかしな人ではなかったのだ」「それはとんでもない間違いだった」というその新しい気づき=情報が、日本ではほとんど紹介されてこなかったことです。つまり共有されていない=共通認識になっていない。問題はそこなのです。
 
 日本社会では今でもかなりの人が内心では彼ら彼女らを「変な人」だと思っているのかもしれません。だから「自然の摂理に反している」とか「LGBTには生産性がない」とか、もっと極端に「性犯罪者だ」「精神異常だ」あるいはそれら全てを根拠に「生理的に無理」と言う人もまだいたりします。さらには「変な人」だと思うのは「内心の自由だ」から、その「差別意識」も「内心の自由だ」と考えるだけでなく、むしろ「本当は正しい考え方」なのだと信じている人だっているようです。けれど「それを口に出したら差別だと責められるから言わない。言えない。そういう窮屈でおかしな時代になった」と。
 
 違うのです。
 
 「反自然だ」というのも「性犯罪者だ」「性倒錯者だ」というのも、実は大きな間違いだった、とんでもない思い違いだった、とわかった。だから、いじめたりからかったりバカにしたり差別したりすることも「間違い」で、「理由のない、根拠のない、ひどい仕打ちだった」
 犯罪者でもヘンタイでもなく、社会から排除する理由・根拠がないということは「同じ人間だ」ということでした。だとしたら性的多数者と同じ「人権」がなければおかしい、ということ──性的少数者たちの長い長い訴えかけと闘いと運動の結果として、今やっとそういう認識が共有されているわけです。
 
 私はその実に顕著な時代の移り変わりを、1993年から25年間、ニューヨークで目の当たりにしてきました。当初は日本の新聞社のNY特派員として、次に会社を辞めたフリーランスのジャーナリストおよびゲイの当事者として。エイズの時代にあったアメリカは、メディアや司法、立法、教育を総動員してその「誤り」を修正していました。やがてそれは結婚の平等(同性婚の法制化)にまで辿り着きます。とてもドラマチックな歴史の変わり方です。2018年には母親の老いで東京に拠点を移しましたが、今再び、1993年当時のアメリカのあの時代の変化のダイナミズムを、今度は日本で目撃しているような気がしています。そう、日本もここ数年で、何かが音を立てて変わってきている。
 
 本講演では、「LGBTQ+」と言われる性的少数者の「排除・差別」の「理由」と「歴史」を解説しながら、その「排除・差別」の「根拠」が失われていった現代社会の「気づき」についてお話しします。それは欧米の女性たちの人権運動、アメリカの黒人たちの解放運動とも深く関連しています。そしてそれが共通認識になっている世界の国々の現状、さらには日本との彼我の差について紹介しようと思います。ご聴講いただければ幸いです。
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■講師プロフィール

ジャーナリスト、作家。1996年に新聞社ニューヨーク支局長を退任して独立。
在 NY25年を経て2018年から東京を拠点に活動し、東京新聞で毎金曜に『本音のコラム』連載のほか、ラジオやネット番組などでコメンテーターやニュース解説も行う。
近著の評論『愛と差別と友情とLGBTQ+』(人々舎)で《紀伊國屋じんぶん大賞 2022》2位受賞のほか、映画評論や訳書も多数。


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