フリーランス新法の施行に備える

昨年令和5年に成立したフリーランス新法、フリーランス保護法などと呼ばれる「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」は、今年令和6年11月1日に施行される予定です。新法について、ざっくりまとめます。細かいところは、弁護士に相談するなどして確認してください。

社外の事業者に業務委託をする企業は、このフリーランス新法に備える必要があります。
「委託」は注文する側、「受託」は注文を受ける側(フリーランス側)です。

フリーランス新法が適用される委託事業者・受託事業者は限られていますし、適用される取引も限定されていますから、関係ないと考える事業者(特に業務委託を発注する事業者)はいるかもしれません。
しかし、フリーランス新法で規制される内容は、取引相手・ビジネスパートナーの良好な関係を構築するにあたり当然の内容でもありますし、将来的にフリーランス新法が適用される取引をする場合もありますから、社内でフリーランス新法に沿った整備しておく意義はあると考えます。

フリーランス新法に違反した場合、違反の申し出が公正取引委員会・中小企業庁、厚生労働省になされ、調査がされることになります。調査の結果、違反が認定されれば、勧告が出され、勧告に従わない場合は命令が出されて公表されることになります。命令に従わないとか虚偽の報告をしたということになれば、罰則があります。企業としては、役所の調査に対応する負担は小さくないでしょうし、命令が出されて公表された場合の企業の評判・信用の低下のダメージもあります。

フリーランス新法で求められること

  • 取引条件の明示(書面やメールなど)

  • 報酬支払い期日の制限(60日以内など)

  • 政令で定める期間(1月となりそう)以上の業務委託の場合の禁止行為(遵守事項)

  • 募集情報の的確な表示

  • 妊娠・出産・育児、介護に対する配慮

  • セクハラ・マタハラ・パワハラ対策

  • 解除や不更新の予告、理由の開示


上記の政令で定める期間以上の業務委託の場合の委託事業者の禁止行為(遵守事項)は、次の事項です。

  • 受託事業者に責任が無いのに受領を拒むこと

  • 受託事業者に責任が無いのに報酬を減額すること

  • 受託事業者に責任が無いのに返品を受け取らせること

  • 通常の対価に比べて著しく低い報酬額を不当に定めること

  • 正当理由なく、強制的に、物品を購入させたり、サービスを利用させること

  • 委託事業者のために金銭やサービス等の経済的利益を提供させること

  • 受託事業者に責任が無いのに内容を変更したりやり直しをさせること

上記の項目は、フリーランスとの取引に関わらず、法的トラブルの種ですから、これらの項目に引っかからないかどうかについて、社外の事業者に発注をしている企業は、自社の契約書や取引の実情を見直してみるべきです。


フリーランス新法の対象となる受託事業者は、従業員のいない個人事業主か、一人社長(代表者以外に役員がいない)で従業員のいない法人です。
コンテンツの作成の委託は新法の対象となる業務委託に含まれます。
フリーランスのクリエイターの皆さんとその取引先企業には、フリーランス新法のことを知ってもらって適正な取引がなされて、クリエイターが苦しまないようになってもらいたいです。

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