見出し画像

甲状腺機能って生理に関係するの?


はじめに

女性の体はさまざまなホルモンによって調節されています。その中でも甲状腺ホルモンは、エネルギー代謝や体温調節など多くの重要な役割を果たしています。このホルモンのバランスが崩れると、生理周期にも影響を及ぼすことがあります。今回は、甲状腺機能がどのように生理に影響を与えるのかをわかりやすく説明します。

甲状腺ホルモンとは?

甲状腺ホルモンは、甲状腺という喉の前側にある小さな腺から分泌されるホルモンです。主にトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)の2種類があります。これらのホルモンは、全身の細胞に作用してエネルギー代謝を調節する役割があります。T3の方が生理活性が強いですが、血中には主にT4が存在します。
甲状腺ホルモンの分泌は、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されています。このTSHの分泌はさらに視床下部から放出される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)によって制御されています。

甲状腺機能の異常と生理の関係

甲状腺の機能低下症の場合

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が減少する状態です。この状態になると、エネルギー代謝が低下し、全身の機能が鈍くなります。生殖年齢の女性の場合、月経異常や流産のリスクが増加することがあります。
甲状腺ホルモンは卵巣にも影響を与えます。卵巣は卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)によって調節されていますが、甲状腺ホルモンもこれらのホルモンと協力して卵胞の成熟を助けます。甲状腺ホルモンが不足すると、卵胞の成熟が遅れたり、黄体機能不全が起こることがあります。

甲状腺機能亢進症の場合

甲状腺機能亢進症は、逆に甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態です。これにより、代謝が異常に高まり、体重減少や心拍数の増加などが見られます。生理周期にも影響が出て、月経量が減少したり、無月経になることがあります。
過剰な甲状腺ホルモンは、血中の性ホルモン結合グロブリン(SHBG)を増加させ、エストロゲンやテストステロンのバランスが崩れます。これにより、排卵障害が引き起こされ、生理周期が乱れることがあります。

不妊治療で必ずチェックされる甲状腺機能

甲状腺機能異常を持つ女性が不妊治療を受ける場合、まず甲状腺機能を正常化することが重要です。甲状腺ホルモンが正常でないと、排卵障害や受精障害が発生しやすくなります。また、体外受精などの生殖補助医療を受ける際にも、甲状腺ホルモンのバランスを整えることで、成功率が高まります。

まとめ

甲状腺ホルモンは全身の代謝を調節する重要なホルモンであり、そのバランスが崩れると生理周期にも大きな影響を与えます。甲状腺機能低下症や亢進症が原因で生理不順が起こる場合、医師の指導のもとで適切な治療を受けることが大切です。当院では妊娠中の甲状腺機能管理も行なっております。お気軽にご相談ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?