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今一度「自分たちのサッカー」を見つめ直すとき | J1リーグ第11節

首位相手にアウェーで勝ち点1

GW真っ只中の5月3日(金)、敵地でセレッソ大阪(以後、C大阪)と対戦した。前節の手痛いドローから6日後、首位(前節終了時点)相手にどのような戦いを見せるのか。試合運びやチームとしての戦い方に注目が集まる一戦となった。


先週、CBを務めるDF岡村 大八とMF宮澤 裕樹の両選手が負傷したため、今節はDF家泉 怜依が3CBの中央に配置された。家泉にとっては、これがJ1初スタメン。また、左CBにはMF菅 大輝が復帰した。

J1リーグ第11節 フォーメーション

敵地で攻め込まれるも貴重な先制点を奪取

大方の予想通り、試合開始から主導権を握られる展開に。ボール支配率こそ五分なれど、効果的な攻撃を繰り出していたのはC大阪だった。今季の戦力差やチーム状況を考えれば、妥当だろう。

序盤の攻勢をいなしたコンサドーレは前半27分に先制する。ビルドアップの流れからGK菅野 孝憲が前線にロングボールを供給すると、MF青木 亮太が競り合ったこぼれ球をMFスパチョークが回収し、抜け出したMF浅野 雄也にスルーパス。浅野はダイレクトシュートを選択し、相手GKの指をかすめながらファーサイドに流し込んだ。

この一連の流れは数年前の得点パターンを彷彿とさせる。GKからロングボールを供給する1つ前の流れからいい形でボールを動かし、辛抱強くビルドアップをした結果、青木が五分で競り合い、スパチョークが相手のDFラインとボランチの間でセカンドボールを回収する盤面を整えることができた。同時に、スパチョークがフリーでボールを回収したことで相手の守備対応が遅れた隙を見逃さず、浅野が得意の裏抜けを披露した。かつてFWジェイやFW都倉 賢、FWアンデルソン・ロペスらが在籍した頃の攻撃に近い。ロングボールの競り合いに青木ではなく、FW鈴木 武蔵が関与できるようになれば、より再現性の高い攻撃ができるだろう。

先制後に露呈する「自分たちのサッカー」の薄さ

今季はリーグ戦6試合(全11試合中)で先制している。一方、先制した試合の戦績は1勝4分1敗と、勝利にはつながっていない。不安定な試合運びが目立った昨季でも8勝7分2敗(先制17試合中)だった。今季低迷している要因として、先制した試合における勝率の低さが挙げられる。

今節も後半26分、ペナルティエリア内で相手選手を倒しPKを献上、同点とされた。相手はMF香川 真司といった“ゲームチェンジャー”を投入する中で、試合の流れを明け渡した格好に。思い返せば前節も同様の試合展開だった。

今季ここまでの試合で気になることがある。拮抗した展開から先制した後、攻守の強度、スピードが緩くなってしまうように感じる。決して選手が全力を出していない、などという話をしたいわけではない。

昨季までは“超攻撃的サッカー”の看板を掲げ、先制後も果敢にゴールを奪う姿勢を貫いてきた。それゆえに川崎戦(3-4 HOME)のように不安定な試合運びで敗れることもあるが、湘南戦(2-4 AWAY)や柏戦(4-5 AWAY)のように同点、逆転されても勝利をもぎ取る試合が複数あった。それこそがコンサドーレが貫いてきた“自分たちのサッカー”であり、スタイルのはずだ。

気づかぬうちに相手のペースに合わせていないか

今季の最大の課題はここに集約される。試合前のゲームプランか、試合中の意思統一か、はたまたピッチ上での臨機応変な対応か。原因は1つではないにせよ、時計が進むにつれ、“自分たちのサッカー”をする意識は薄れ、相手のペースに合わせてしまってはいないだろうか。また、それが顕在化するのが持てる選択肢が広がる先制した試合なのかもしれない。

メンバー編成や離脱者といった苦しいチーム状況の中で、必ずしも攻め一辺倒の試合運びを期待しているわけではない。時には堅く守り、耐え忍ぶことだって必要だろう。しかし、そこに能動的な意図があり、チーム全体で共有することが重要だと考える。

今一度「自分たちのサッカー」を

大方の見方で言えば、首位相手に敵地で引き分けた今節の結果はポジティブなものだろう。しかしながら、前節はホームで3点リードから、その前の試合でも追加点を奪えないまま追いつかれている。対戦相手に関わらず、同様の試合展開を繰り返しているとも捉えられる。

再三になるが、今こそ“自分たちのサッカー”を見つめ直すときだ。試合の主導権を握ったとき、リードを得たとき、いかにゲームを運ぶか。チームとして何を大切にするかをはっきりさせなくてはならない。

次戦は5月6日(月)、ホームでFC東京と対戦する。GW最終日に駆けつけたサポーターとともに勝利を。

感謝感謝です。

余談:コンサドーレを離れた選手たちに思うこと

今節の対戦相手であるC大阪にはMF田中 駿汰、MFルーカス・フェルナンデス、DF進藤 亮佑ら、元コンサドーレ戦士が所属しています。選手やチームを取り巻く事情は様々で、チームを離れなくてはいけないこともあります。しかしながら、他チームでプレーすることを選択をした選手たちが活躍することは、将来のコンサドーレにとってもポジティブな要素に違いありません。彼らが怪我なく、少しでも長く活躍し続けられることを祈っています。


引用・参考資料
C大阪vs札幌の試合結果・データ(明治安田J1リーグ:2024年5月3日) J.LEAGUE.jp
https://www.jleague.jp/match/j1/2024/050307/live#live (最終閲覧日:2024年5月4日)

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