見出し画像

「裏をとる、ポケットに侵入する」基本に忠実なシンプルな攻撃はリーグ戦にも生きる | ルヴァン杯2回戦

ルヴァン杯初陣勝利、3回戦進出へ

リーグ戦第8節終了後、ミッドウィークで迎えたルヴァン杯1stラウンド第2回戦。J1クラブにとってはこれがルヴァン杯初戦となった。今年から大幅なレギュレーション変更に伴い、Jクラブ全60チームが参加し、1stラウンドはトーナメント方式で開催される。天皇杯に限りなく近しい方式といえる。例年、天皇杯といえば“ジャイアントキリング”が頻発する大会であるが、今年からルヴァン杯でも大物喰いを狙うクラブに注意が必要だ。

  • ジャイアントキリング:フットボールにおいて下位カテゴリーのクラブが上位カテゴリーのクラブを打ち負かすこと。クラブ規模や格、前評判を覆すフットボールの魅力の1つ。

実際、今回相対するアスルクラロ沼津はJ3クラブでありながら、1回戦にてJ2のベガルタ仙台と対戦し勝利している(3-2 HOME)。J3リーグで上位につけているとはいえ、2度リードを許しながら後半アディショナルタイムでの劇的な逆転劇は見事だった。


コンサドーレは直近のリーグ戦(新潟 1-1 AWAY)からスタメンを総入れ替え、ベンチにも若手を含む新鮮な顔ぶれが並んだ。中3日の連続アウェーマッチであることに加え、新戦力のフィット、負傷から復帰した選手の試合勘を取り戻す意図も見受けられる。前半から能動的に試合をコントロールし、一時は同点とされたものの、最終的には1-3で勝利した。

ルヴァン杯2回戦 フォーメーション

「裏をとる、ポケットに侵入する」シンプルな攻めが奏功

両チーム通じて計4ゴールが生まれたこの試合、多くの得点シーンに共通していたのはディフェンスラインの背後を狙う動きとポケットへの侵入だった。前半10分のコンサドーレの先制点のシーンでは、MF原 康介がポケットに侵入しフリーでパスを受けると、冷静にFWキム ゴンヒにパス。キム ゴンヒのシュートは相手GKに阻まれるも、こぼれ球をMF田中 宏武がスライディングで押し込んだ。待望のプロ初得点を記録した。

次に注目したいのは、後半9分の沼津の同点ゴール。コンサドーレのロングボールを跳ね返し、回収後すぐに裏へのパス。抜け出した相手FWがペナルティエリア手前からゴール右隅に流し込んだ。裏への意識が生んだゴールだった。

コンサドーレの勝ち越し点は後半10分。左サイドでボールを受けたMF原からのパスを途中出場のMFスパチョークがポケットで受け、タメをつくって同じく途中出場のMF小林 祐希へパス。小林のダイレクトシュートがニアを打ち抜き、すぐさま勝ち越した。

後半15分の追加点は主力組のクオリティが存分に発揮された。センターサークル付近でボールを受けたMFスパチョークがドリブルで持ち運びペナルティーエリア内に侵入、背後からフォローしたMF小林に柔らかいパスを送ると、エリア外からダイレクトループシュート。美しい軌道を描いたシュートがゴールネットに吸い込まれた。たった2人で最後までやり切った見事な追加点だった。

今季初の複数得点。リーグ戦へ弾み

試合はそのまま1-3で終了。終盤危ないシーンがあったものの、GK中野 小次郎のセーブで守り切った。これで今季公式戦初の複数得点、シーズン2勝目を挙げた。開幕から苦しいチーム状況の中、若手主体の編成で勝利したことは大きい。また、能動的にアクションを起こし裏をとる、ポケットに侵入するといったシンプルな攻撃がリーグ戦でも多く見られることを期待したい。次戦は20日(土)にリーグ第9節、ホームでサンフレッチェ広島を迎え撃つ。

いつも感謝です。

余談:ゴール裏に駆け寄る選手たちの姿がたまらない

この試合の2、3点目を決めたMF小林が得点後、一目散にゴール裏に駆け出し、周りの選手もそれに続くシーンが印象的でした。小林選手はゴール後、サポーターのもとに駆け寄ってくれることが多いような気がします。選手、スタッフ、サポーターが歯がゆい思いを抱いているに違いない最近のチーム状況を踏まえると、このシーンが見れてほっとしました。もっともっと喜びを分かち合いたいですね!


引用・参考資料

「沼津vs札幌の試合結果・データ(JリーグYBCルヴァンカップ:2024年4月17日)」J.LEAGUE.jp
https://www.jleague.jp/match/leaguecup/2024/041711/live#live (最終閲覧日:2024年4月21日)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?