ポケットモンスター すうがく/さんすう

数学 方程式 vs 算数 特殊算

小学生は方程式が禁じ手なので、中学受験キッズは苦肉の策として編み出された特殊な解法を進学塾でたっぷり仕込まれます。つるかめ算、過不足算、旅人算、通過算、流水算、やりとり算、弁償算、ニュートン算、食塩水濃度等々、全てやり方が異なるというバカげた有り様。一つの問題に一つの解法をぶら下げていく、典型問題の解法を全て暗記してそれを組み合わせて未知の問題を解くのが算数のやり方。

一方、中学生になると未知数を文字で置いて、方程式を立てて解く。汎用性こそが数学の利点なので、一つの解法で全ての特殊算が解けるようになります。

そんな方程式の代替品だったはずの特殊解法、中学受験という競技の成熟に伴って高度に発展しすぎて特殊算は算数で解いた方が圧倒的に速いし正確という逆転現象が生じるようになりました。無機質な数式を淡々と変形していくよりも、ビジュアルで見てすぐわかるのも大きな利点です。

就活ウェブテストは平易な特殊算が並ぶ中学受験算数そのものなので、他の受験生が未知数を文字で置いている間に元中受キッズは面積図、天秤、線分図を駆使して瞬殺していきます。中学受験未経験の現役東大生を、中高の数学で挫折して入試に数学がない私立文系に進んだ元中受キッズが圧倒する世界。中受経験がなければ、地方トップ公立高から国立大理系卒業の学力に自信ありお父さんでも子供の算数に勝てない。もはや競技が違うのです。

ウェブテストレベルの特殊算は、デイリーサピックス五年生までを完璧にすれば足ります。市販の対策本は不要。六年生のデイリーサピックスだと難しすぎて一般の大卒者にとってはオーバーワークですね。

どうしても特殊算が苦手な大学生は、SAPIX出身の同級生に代行を頼めば満点とってくれます。実際、「飯奢るから」ぐらいのカジュアルなノリで代行頼んだり頼まれたりはキャンパスではよく見る光景でした。合否はほぼ面接で決まり、テストスコアは足切り程度にしか利用されないので、そうした行為に罪悪感を感じていた人はほとんどいないと思います。ウェブテストが得意な友達に依頼できる「人脈」こそが評価対象と言われていたぐらいです。

今回の京大卒・関西電力勤務ニキは大人数相手に、継続的に、料金をとって、業として行っていたので「見せしめ」で逮捕されてしまった感がありますね。依頼人の女子大生もなぜプロに依頼してしまったのか。同級生に頼るか、その辺のSAPIXキッズを「最新のポケモンあげるから」と甘い言葉で捕まえて代行要員に仕立てておけばこんな悲劇は起きなかっただろうに。

これが「ドーハの悲劇」である⚽️


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