「なんでできないの?」~子供を伸ばす親、潰す親~
先日、自由が丘のカフェで仕事をしていたら、横の席でお母さんがお子様に勉強を教えていました。
「サピの自由が丘校の生徒なんだろうな~」
と思いつつ、なんとなく会話を聞いていると
「分かる!?」
「早く解きなさい!」
「これはこうでしょ!」
と、𠮟りつけるように教えていました。
お子さんのためを思い、一生懸命なのが伝わってくる反面
「その教え方では、成績は上がらないだろうな、、」
と同時に思いました。
自分では一生懸命教えているつもりなのに
その思いがお子さんに伝わらなかった経験は、誰しもありますよね。
私も新人講師時代、上手な勉強の教え方はないものかと、四苦八苦していました。
今回のnoteでは、コーチングの観点から、お子さんへの正しい勉強の教え方のノウハウについて書きました。
家庭学習において、大いに役に立つはずです。
実際の質問例を多く交えているので
「明日から」「誰でも」実践することが可能です。
今回も無料noteですが、出し惜しみは一切なしです。
気合を入れて書きましたので、ぜひ最後までご覧ください!
・子供を伸ばす教え方、潰す教え方
家庭で勉強を教える場合に、どのような方法をイメージしますか?
・解法や知識を伝えてノートを取らせる
・塾の課題の進捗を管理する
・授業で習ったことを反復させる
このような方法になるのではないでしょうか。
もちろん、これが必要な場面もあります。
しかし、親御さんが勉強を教えることには、危険性があります。
お子さんの気持ちやキャパを無視して、無理にやらせてしまうのです。自分の子供だと思うと、ついつい厳しい言葉をかけてしまいたくなるんですよね。
さきほどのお母さんの
「早く解きなさい!」
のセリフはこの典型例ですよね
お母さんの説明では分からないから早く解けないのに、こんなことを言われても困ってしまいます。
とはいえ
「中学受験に受かることだけ」
を目的にするのであれば、この教え方でも成功する可能性は大いにあります。
お子さんの横でひたすら激を飛ばし、勉強時間を増やさせ、無理やり知識や解法を暗記させても、難関校に受かることは可能です。
エクセルで勉強時間を管理したり、お子さんにPDCAを回すことを要求するお父さんなどは、この典型例ですね。
従順なタイプで、かつ地頭の良く、勉強のキャパが広いお子さんであれば、この教え方がハマるかもしれません。
実際に、それで難関校に合格するお子さんもいます。
しかし、このやり方が適さないお子さんも多く存在します。
そういうお子さんに強制的に勉強を強いると、キャパオーバーで潰れてしまうか、親御さんに反発することになります。
反発したお子さんに対抗して、ゲーム機を壊したり、暴力をふるったり、、、という話を聞きますが、それで上手くいったご家庭を見たことはないです。
お子さんは、そんな直接的で感情的な手段しか取れない、お父さんお母さんを尊敬できるでしょうか?
大人と子供が同じ次元で争ってしまって、上手くいく訳がありません。
受験自体は合格しても、自信を喪失したり、親子関係が破綻したり、勉強にトラウマを抱いたり、、、
仮に、お子様がその教え方を受け入れて受験に成功したとしても、自走する習慣が身につかず、詰め込み教育で偏差値が高いだけの指示待ち人間になってしまいます。
この先、一生親御様がお子さんの面倒を見て、学習管理をし続けるつもりならアリでしょう。
しかし、それがお子さんに望む姿でしょうか??
そもそも、中学受験の目的とはなんなのでしょうか?
本当に「受かることだけ」が目的なのでしょうか?
中学受験を通して、お子さんが精神的に成長し、大人へと近づいて欲しいというのが本当の目的ではないでしょうか?
一方的に知識や解法を伝え、与えれたものをこなすだけの手法では限界があります。
「潰す」は言い過ぎかもしれませんが、お子さんの能力を十分に伸ばすことは難しいです。
一方的に解かされた問題と、自分が能動的に解いた問題では得られるものが大違いです。
そこで、コーチングが必要になります。
コーチングは相手の能動的なやる気や行動を引き出します。
お子さんに「自分が」勉強しているんだという充実感を与え、高いモチベーションややる気を引き出すことが可能です。
自己肯定感を高め、自立心を育むことにもつながり、勉強で成果を上げるだけでなく、人間的にも大きく成長を遂げることでしょう。
・中学受験コーチング
中学受験コーチングの理念として、絶対に忘れてはいけないのが
「一緒に歩み、導くこと」です
野球監督のように、激しく激を飛ばしては失敗します。
特に、我の強いお子さんの場合は、反発を招くことになります。
教える側、教えられる側としての上下関係ではなく、共に歩んでいきます。
監督ではなく、マネージャーとして伴走するイメージを持ちましょう。
勉強の前にまずは、アイスブレイクを入れてあげます。
内容は、お子さんが話したがっていることなら何でも構いません。
学校の話でも、習い事の話でも何でも良いです。
勉強を教えるというと、どうしてもお子さんは身構えてしまうのです。
親子であろうと
その場面では「先生」と「生徒」として上下関係が生まれてしまいがちです。
一旦関係をフラットにしてから、勉強のスタートです。
ここからは、コーチングの肝である問いかけ方について解説します。
よくご家庭でやってしまう問いかけとして
「なぜこうなったの?」
「この問題どうやって解くの?」
一見お子さんに問いかけいるので、コーチングのようにも思えます。
どこが悪いか分かりますか?
3つ理由があります。
一度スクロールを止めて考えてみてください。
①すでに自分の中に答えがあり(算数の解法など)それに即した回答を要求しているので「一緒に考えよう」というコーチングの理念とは外れます。
これでは教師から生徒に対する一方的な質問であり、詰めです。
②「なぜ?」という言葉は不安感情を煽るので、極力使わないようにしましょう
子供の頃から遡って思い出してみてください
「なぜ?」
と問われる場面で、プラスの状況はありましたか?
怒られている場合や、少なくともプラスの状況で聞かれることはないはずです
「なぜ?」
という言葉は、マイナスイメージが非常に強いです。
無意識のうちに、お子さまに不安感情を抱かせてしまいます。
心が落ち着いていなければ、できるものもできません。
③質問はなるべく具体的にしてあげましょう
小学生からすれば、抽象度の高い質問をされたところでどこまで答えていいのか分からず戸惑ってしまいます
※成績の優秀な生徒や既にある程度理解している事柄に対して、1から筋道をたてて説明させるためにこのような質問をすることはアリです。
正しい質問の仕方としては
・国語であれば
「なんでこの答えになったの?」
↓
「どこに注目したの?」
・算数であれば
「どういう解法を使えばいいの?」
↓
「どこに線を引けばいいかな?」
質問の仕方として
「なぜ?」ではなく
「なに?」や「どこ?」
といった小学生の目線に合わせた、具体的な質問を意識しましょう。
同じ目線で「一緒に歩み、導こう」と思えば「なんで?」のような抽象的かつ、上から目線の質問は出てこないはずです。
具体的にするだけで、驚くほどお子さんは回答しやすくなります。
どんな科目、どんな場面でも応用がききますので、ぜひ試してみてください。
学習計画の立て方についても同様です。
例えば、国語の模試の結果が悪かったとして
「次はどうするの!?」
「国語を頑張りなさい!!」
のような抽象的で、一方的な話は意味がありません
具体的な行動に落とし込めるよう、質問し、導いてあげましょう
「次のテストは何点くらいとりたい?」
↓
「そのためにどの分野に力を入れればよいかな?」
↓
「この分野をマスターするために、どのテキストを1日何ページやればいいかな?」
お子さんは抽象な指示では理解できません。
自分で計画を立てることも苦手です。
何点とか、何ページとか数字で示し、大人が具体的な話に導いてあげましょう。
ある程度できるようになってきてから
「模試の結果に対して、どうすればいいの?」
のように抽象的な質問をして、自立を促すのは良いでしょう。
・重要ポイント4選
勉強を教える上で、大事なことが沢山あるのですが、今回は特に役立ちそうなことを、4つ紹介します
①沈黙を恐れない
お子さんに質問をしても答えがすぐに返ってこないと、つい教えてしまったり、質問を重ねてしまいたくなりますよね。
お父さんに多いタイプかなと思います。
実際に、塾講師でも発問にすぐに返答がないと、すぐに解説しようとする方を見かけます(時間の都合上仕方ない部分も大きいのですが、、)
殆どの場合、それはお子さんが考えている時間です
お子さんから言葉が出て来るまで待ってみてください
なんとなくは理解できてるんだけど、言語化できないことってありますよね
それを考えることで、思考力が養われます
その機会を奪わないでください
もし自分がお子さんの立場で考えている最中なのに、それを中断されて矢継ぎ早にいろいろ言われたら、理解するどころではないはずです
②褒める
以前書いた褒めnoteを読んで欲しいのですが、
褒めのテクニックとして
「凄いね!できたじゃん!!」
と褒めるのと
「あなたができるようになって、私も嬉しい!!」
と褒めるのと
どちらがお子さんの心に残るのでしょうか?
結果軸の褒めも大事(競争意欲の高いお子さんの場合は、特にワークしやすい)ですが、自分の感情も共有してあげると良いですね。
親が自分と同じ感情になっているというのは、子供にとってとても嬉しいことです。
③相手の言葉を繰り返す
④単純ミスを非難しない
勿体ないミスを見ると
ついつい「ここで4点とれてたじゃない!」
など言いたくなりますよね。
しかし、ミスを非難すると、ミスをしないことに意識を集中することになり、結果として成績は下がります。
模試で点数を最大化するために意識するべきことは、目の前の一問に集中することです。
ケアレスミスを指摘したくなる気持ちは良く分かります。
ただ、お子さんも自分が勿体ないミスをしたことは自覚しています。
保護者の方にまでそれを非難されては立つ瀬がありません。
では、どんなミスなら言っても良いのか、と思いますよね
お子さんが自覚していないミスについては、指摘してあげましょう
(非難ではなく、指摘です)
国語であれば、記述問題の書き方の型を知らない場合には、伝えてあげないと一生解けるようになりませんので、そういうものは親御さんからしっかり伝えてあげてください。
ここまで、色々と方法を紹介しましたが、
一番大事なのは目の前のお子さんにとって、何が必要か向き合うことです。
闇雲に質問をすれば良いというものではないです。
100%コーチングの姿勢のみでも、上手くいきません。
保護者の方が管理して、知識や解法を教えることが必要な場面も、もちろん存在します。
大事なのは中庸です。
・最後に
勉強を教える上で、保護者の方も1人の人間なので感情的になりたくなる場面もあるはずです。
入試が近づいてきたり、お子さんの態度が良くない場合では、特にそうでしょう。
しかし、お子さんに怒りをぶつけた瞬間はせいせいするでしょうが、時間がたつにつれて、必ず後悔することになります。
お子さんによっては
「どうにかしてやんよ!」
という挑戦的な態度で、非難をエネルギーに変えられる人もいます。
しかし、多くのお子さんは、何度も非難されると対処しきれなくなり、自信を喪失してしまします。
親子だからこそ、こんなことも分からないのかとイラついてしまうこともあるかもしれません。
でも、そんな時こそ感情的にならず、一度深呼吸をして、お子さんを1人の人間として見てあげてください。
自分が苦しい時や感情的になりたい時に、どれだけ相手に優しくなれるかが大人としての器です。
少しでも多くのご家庭に、笑顔が溢れることを願っております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?