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私と音楽#2


完全にさよならをしないためにもあえて距離を置く。
まるで倦怠期のカップルみたいだ。
10年以上寄り添い続けてきた夢は恋人なんかよりもずっと大切なものだったのだけれど。

続けていれば、自分の望む未来をてに入れられるだろうとぼんやりと思いながらついにその時は来た。

 「将来どうするの?」

その言葉は唐突にぶつけられた。それから両親の凝り固まった価値観が一気に押し寄せてきて、
とても好きなことで生きていきたいなんて言えなかった。
夢ばかり見つつ何も結果を残せなかった自分にはそれに対抗できる力がなかったのだ。

しかし、目指すべきものが突然消えてしまって生への執着がなくなったからか、
急に肩の荷が降りた心地がした。特別な人生を求める自分に、知らないうちに追い詰められていたのかもしれない。

そもそも私は音楽をどうしたいのか
音楽でご飯が食べたいのか、金を稼ぐための曲を作りたいのか。
答えはノーだ。
私はただ音楽が続けたいだけだった。
音楽を仕事にしてしまえば、いつか音楽を嫌いになる日が来るかもしれない。

そうではない。音楽は私の逃げ場であってほしい。
だから音楽が私を縛ることは許されないのだ。
「おばあちゃんになってもギターを弾く」
それが私の答えだ。

こうして私は夢から醒めた。



読んでくださり、ありがとうございました!
前回投稿した「私と音楽#1」の続きになっておりますので、
よろしければ是非そちらもお楽しみください!