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「夢の話」

穴を掘る
夢を 見た

見覚えはある けれど
名前を忘れた何処かの街の片隅
破れた金網をくぐって

忍び込んだわたしは
穴を掘る
穴を掘る
爪が剝げ、傷む指先にもかまわずに
穴を掘る
穴を掘る
掘る掘る掘る掘る掘る掘る
穴を 掘る

その時、

手応えを感じて
覗き込んでみたら、そこに

君がいたよ

にぃっと歯を剝き出しにして
笑ったまま固まっている
汚れた顔の君が

そんな、

夢を見た
君の隣 で


―――詩集「生活Ⅰ.」より

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