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「骨壺の唄」

カタカタ カタカタ

揺れて揺られて笑ってる
猫の足元 骨壺の中

下弦月夜にぶら下がり
老いた三毛猫が欠伸をすれば
カタ カタカタ
カタタカタ
骨が笑う
骨壺の中
カタ カタタ

他にひとつの物音もしない
静まり返ったこの夜更け

あまりに骨が笑うので
あまりにあなたが笑うので

あたしは喰ってやることにした
一口喰んで しゃれこうべ
二口喰んで 足の甲
三口喰んで 割れた上顎
はぐはぐ はぐはぐあなたを喰って

空っぽになったら ようやく眠れる
いとしい いとしい骨壺抱いて
夜が明けるその前に

―――詩集「三弦の月」より


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