【GS3】設楽聖司 - 記録と感想と考察【ネタバレあり】
今回はわたしのGSシリーズ最愛のキャラクター、設楽聖司について語らせてください。
最初から最後まで全部ネタバレです。すでに設楽先輩を攻略済み、もしくは攻略する予定がない方のみ読み進めてください。
要所要所で設楽先輩の台詞を挟んでいますが、わたしの記憶からの引用なので、一字一句正確ではありません。
■攻略経緯と第一印象
わたしは初めてプレイしたGSシリーズがGS4で、芸術枠の柊夜ノ介くんにすっかり魂を抜かれて、絶対に生涯彼を幸せにすることを心に固く誓っていました。
それからしばらくGS4を遊び倒したこともあり、過去作にも興味が出てきて、なんとなくまずは一作前のGS3を手に取ることに決めます。
プレイ前にキャラクター一覧をとりあえず眺めてみるものの、うーん・・・白ギャル男、ヤンキー、ツンツン頭、黒ギャル男、眼鏡、もじゃもじゃ頭か・・・。
ハマれる気がしない・・・。
ふと、もじゃもじゃ頭の名前「設楽聖司」が目に留まって、「あ、GS4で毎年2月にピアノリサイタルしてた人じゃん」と気づきます。
夜ノ介くんと同じ芸術枠。しかも先輩キャラか。ふーん・・・。
柊夜ノ介の幻影に囚われていたこともあって、この時点でほんのり設楽先輩の攻略に興味を持ちました。
そしていよいよGS3の世界線のはばたき学園に入学。
実際に出会ってみるとW王子・桜井兄弟の引力が強すぎて心を揺さぶられつつも、さっそく芸術コマンドを実行して設楽先輩を出現させます。
放課後に聴こえてくるピアノの演奏。
「設楽先輩また弾いてる!」「賞とかたくさん獲ってるんだって」というモブの声を背に音楽室に向かう主人公。そして出会いスチル(一枚絵)。
目を閉じて演奏する先輩の指先からはイケメンにしか許されないキラキラエフェクトが放出。
ここでわたしは確信します。芸術枠、美しいピアノの演奏、整った顔立ち、色素薄めで色白、華奢な身体のライン、あえて学校指定じゃない上質そうなシャツ。
これはきっと夜ノ介くんのような上品で物腰柔らか、繊細な感性を持つ芸術肌の儚いイケメンに違いない・・・!
ここで主人公に気づき演奏をやめる設楽先輩。
そして伝説のあの一言。
「・・・おまえ誰?」
えぇ~~~~~~~~~・・・。
すっごいしかめっ面。すっごい睨んでる。
うろたえながら自己紹介する主人公に対して追い打ちのように「知らない」。
なんだこいつ。全然夜ノ介くんじゃない。(それはそう)
柊夜ノ介の幻影に囚われ、無意識に彼の面影を求めて彷徨うゾンビと化していたわたしを一瞬で正気に返らせた、二度と忘れられない出会いになりました。
このあと、(気まずすぎて咄嗟に)いつも弾いている曲好きです!と言った主人公に先輩は「そうか、俺は弾けば弾くほど嫌いになる」とか意味深な一言を残して立ち去ります。いやそこで去るのかよ。
こういうフックにわたしはとても弱いので、彼のことがまんまと気になり始めて、設楽先輩をまずは一途攻略してみようと決心したのでした。
言わずもがな、第一印象は「ふーん、おもしれー男・・・」。
■人物「設楽聖司」とシナリオ
未攻略の人もいるかもしれないので、ここで設楽聖司の人物像を紹介して、シナリオをざっくりなぞってみます。
所々わたしの心の声が漏れていますがご容赦ください。
・人物像について
主人公の一学年上の先輩で、放課後の音楽室でよくピアノを弾いています。
技量はプロ並みで、中学までは数多の国際コンクールで輝かしい受賞歴があり負け無し。欧州を中心に10カ国以上を飛び回る日々を過ごすなど、「神童」と呼ばれていました。
そんな設楽先輩ですが、直近はコンクールをはじめ表舞台に出ている様子はありません。
音大付属の中学校に通っていた彼が、なぜ高校は音楽科のないはば学を選んだのか、放課後に弾いている曲はなぜいつも同じショパンのバラード23番なのか。「弾けば弾くほど嫌いになる」のはなぜなのか。何かと謎が多い人物です。
ちなみに彼は運転手付きの車で通学。実家はお屋敷で自家用ヘリを所持。
水族館でイルカを見て「飼う」という選択肢が出てくるなど、嘘みたいなお金持ちです。
家柄に恵まれていることをしっかりと自覚しつつ、それを振りかざすこともなければ謙遜することもありません。
あくまで「家」の力であり「自分」の力ではないことをよく理解していて、家柄を理由に人を見下したり友人を選んだりもしません。
容姿に関しては身長は170cm前半、体重は50kg台と痩せ型。
色白で銀髪くせ毛、瞳の色は赤。
このように突飛な髪色、髪型、目の色をしているにも関わらず、誰が見ても整った容姿をしています。
先述の出会いイベントのように常に不満げ・不機嫌な表情をしている、もしくは不敵に微笑んでいることが多いためか、目元の印象は「切れ長でつり上がっている」印象が強いですが、よくよく観察してみると目は横にも縦にも大きく、表情や角度によっては童顔にも見えることも。(かわいい)
性格は気高く尊大。自分の感情や感性に素直で、相手が誰であっても一切忖度のない物言いが特徴です。端的に言えば偉そう。そして神経質。
かと思えば、他人の偉業や努力、良いところはまっすぐに直球で褒めてくれます。
そして「ありがとう」とか「おめでとう」も言うべき時にすんなり素直に言ってくれます。育ちが良いので・・・。
よく設楽先輩は性格が「歪んでいる」「屈折している」とか言われることがありますが、個人的には真逆だと思っていて、寧ろまっすぐで分かりやすい人だと解釈しています。
歪んでいると思われてしまうのは、彼は自分の感性に正直すぎるのと、それがまっすぐ忖度なく口からストレートに出てしまうからだと思っています。
・シナリオ(出会い~告白)
先述のように設楽先輩と主人公は放課後の音楽室で知り合い、そこから校内での交流やデートを重ね仲良くなっていきます。
デートに誘っても「なんで」と聞かれた上で「俺は嫌だ」とあっさり断られたり、ちょっと選択肢をミスったら「もう帰っていいか?」と隙あらば帰ろうとされたりしながらも頑張って好感度を上げていくと、イベントを通して彼の抱える苦悩や思いがだんだんと見えてきます。
「神童」と呼ばれたほどにピアノの実力を揮っていた彼が音楽科のないはばたき学園に入学した理由は、中学の時の挫折経験にありました。
数々の国際コンクールで賞を総なめにし、神童神童と褒め称えられてきた彼は、ある日のコンクールでとあるロシアの少年の演奏に圧倒され、「あれには勝てない」と悟ります。
その瞬間に彼は怖くなった。物心ついたころから「ピアノといえば設楽聖司」「負け無しの天才」と言われ続けて、無意識のうちに「設楽聖司=ピアノ」という呪いを自らにかけて、ピアノと自分を同一視し、それだけを誇りに自尊心を保って生きてきた。
自分にはピアノしかないのに、そんな自分がここで負けたら?何が残る?周りからどう思われる?自分はどうなる?
結局、彼はそのコンクールで自分の出番の前に逃げてしまいました。
「結果さえ出さなければ、負けたことにはならないと思ったんだ」。
これ以降、彼が表舞台に現れることはなくなりました。
普通科のはば学に入学して、ピアノからも音楽からも離れた生活を送ることを選びます。
それでも、気が付いたらいつの間にか放課後の音楽室に通うようになっていたといいます。
ピアノから離れてみて改めて気付かされたのは、皮肉にも自分にはピアノしかないということ。
いつも弾いている曲は、例のコンクールで弾くはずだった曲。
「飽きるまで弾けば、いつかピアノを捨てられると思った」。
ピアノから離れたいと思って普通科の高校に入ったのに、結局はピアノと自分を切り離すことができない。
弾いても弾いても例のコンクールの時の呪いから抜け出すことができない。
そんなこんなしていたら周りからも悪気なく「ピアノの設楽」として認識され、褒め称えられ、扱われる。何をしていてもピアノと結び付けられる。誰も演奏の良し悪しなんて分からないくせに。
そんな彼が一番孤独で苦しかった時期に、主人公と出会ったのです。
(だからあんなにキレキレに尖ってたし冷たかったわけです)
たまに音楽室を覗きにきたり(「見られてると気が散る」らしい)、何度もしつこく誘ってきて休日一緒に出掛けたり。尖り切っていた設楽先輩の心は次第にほぐれていったのでしょう。
そしてある日彼は決心します。珍しく自分から主人公を音楽室に呼び出し、「1曲弾いてやるからそこで聞いてろ」。
いつもは気が散るって怒るのに・・・と言うと、「コンクールでは何百人って客がいるんだぞ。おまえひとりくらいどうってことない」。
挫折とブランクを乗り越えて、再び表舞台に戻り、本格的にピアノと向き合う決心を語る先輩。
そして数か月後に迎えた国際コンクールの決勝当日。主人公は客席で設楽先輩の本気の演奏を見守ります。
(この時もショパンのバラードGminorが流れるのですが、本気の演奏ということで、ちゃんと以前とは違う音源が使われています。細かい…!)
結果は準優勝。十分すごいけど、彼にとっては「負け」。
考えただけで逃げ出してしまうほど怖かったはずの負けなのに、「今の俺じゃこれが精一杯」と悔しがりつつも素直に相手を称え、「見てろよ。次は俺が笑ってやる」と前を向く設楽先輩。
余談ですが、この時のいつもより髪を丁寧にセットしてタキシードを召した設楽先輩の立ち絵クソカッコいいです。着慣れてそうな感じがまたイイ。
そして主人公より1年先に彼ははば学を卒業し、推薦で一流音楽大学に進学します。
音大に進学するということは、音楽の道に戻り、本格的にピアノと向き合って生きていくことにしたということ。
卒業後は当然校内で会うことはなくなりますが、主人公に時々メールをくれます。サークルの勧誘がうるさいとか、この前ちょっとパリの音楽祭に行ってきたとか(ちょっとパリって何?箱根みたいなテンションで言うじゃん)。
文化祭にもバレバレの変装で遊びに来てくれるし、クリスマスイブには大学のクリスマスコンサートにも誘ってくれます。
そして主人公の卒業の日、設楽聖司は母校はば学の教会に現れます。
このとき、彼のこれまでの心情が彼らしい言葉でストレートに語られます。
(以下台詞もわたしの記憶から引用しているので、一字一句正確ではありません。気になる方は是非攻略してみてください)
大げさな形容詞も脚色も、くらくらするような甘い言葉もないのに、情熱的で胸を打たれる彼らしい告白の台詞です。泣けます。
このあとモノローグがつづられて、設楽聖司ED1は終幕。
モノローグの内容は主人公の選んだ進路によって少し変わりますが、個人的には一緒に音大進学ルートが一番好きです。
何の意志もなく、ただ好きな男と一緒にいたいからパリ行きを検討する受動的な主人公よりも、同じく音大に進学して、自分は自分のために目的意識をもってパリに留学する主人公の方が格好良くて好きだからなのと、モノローグで描かれるエピソードに設楽聖司の良さが詰まりまくってるからです。
また、告白を断るバージョンも見ました。
感想としては、とても良かったです。潔くて、設楽先輩らしくて、「ああ、もうこの人にはわたしがいなくても大丈夫だな」って思わせてくれるような台詞でした。
ただしもう二度と見ることはないでしょう。辛すぎる。先輩ごめん。
■好きなスチルイベントと喫茶店会話
どのイベントも会話も好きすぎてそれぞれについて語っていたら3日くらいかかりそうなので、断腸の思いで一部に絞って紹介します。
・解釈の幅が広い「雨宿り」イベント
臨海公園へのデートで発生するイベントです。なんとも設楽先輩らしさが出ていて、かつ考察の余地が大きいのでわたしは大好きです。
デート中に通り雨に降られて、二人は木の下に避難します。
「先輩、肩濡れちゃってますよ。もっと内側に入ってください」
という主人公に対し、頑なに「いい、いいって」と拒否する設楽先輩。
てっきり「それじゃ距離が近すぎるだろ!」みたいなベタな赤面胸キュン展開を予想しつつ油断していたら、
「おまえが濡れてて俺が全然濡れてないと、俺が嫌な奴みたいじゃないか!」
初見、本当に困惑しました。一体何を言ってるのこの人・・・?
一見、「自分を良く見せたいんだな」「わたしの心配じゃないのかよ!」みたいな感想を抱きがちですけど、ちょっと待ってください。
考察させてください。
設楽聖司は基本的に嘘をつきません。自分の感性感覚にまっすぐ素直です。
これを前提に紐解いていきましょう。
「嫌な奴みたいじゃないか」→嫌な奴でありたくない→良い奴でありたい
では、この場合の設楽的「良い奴」とは何なのか。
恐らく、設楽先輩の頭の中では
おまえが濡れていなくて俺が濡れている=俺が良い奴、理想の展開
おまえが濡れていなくて俺も濡れていない=普通
おまえが濡れていて俺も濡れている=微妙
おまえが濡れていて俺が濡れていない=俺が嫌な奴、最悪な展開
という序列が成り立っていると推測できます。
つまり、彼の中で、このシチュエーションでは主人公が濡れていなければいないほど、そして自分が一定以上濡れているほど理想に近づくわけです。
つまり、多少自分が多めに濡れても、主人公ができるだけ完璧に濡れないように庇うことが、自分が濡れないことよりも重要!となるのです。
「お前が風邪引いたら大変」みたいなありきたりな展開ではなく、まさに設楽聖司からしか出てこない、シンプルかつ気高い動機と発言だといえます。
設楽先輩にとっては当然の行動だからこそ、クリア後のアルバムでのコメント「次は黙って庇われろよ」に繋がるんですね。
それに、スチルを見る限り明らかに主人公を庇うような体勢の設楽先輩ですが、こう言われれば庇われている側の主人公も「わたしのせいで先輩が」みたいな申し訳なさを感じることもないですよね。
どこまで計算で、どこまで天然なのか・・・。恐ろしい男です。
ちなみに設楽先輩、他のイベントを見る限り、不慮の出来事で自分が濡れるのは基本的に嫌いです。
つまり「濡れるのは嫌だ」という感情より、「濡れてでも庇うべき」が勝ったわけですね。なぜ?主人公と一緒にいる自分は「良い奴」でありたいから。なぜ?
・情緒のジェットコースター「卒業式のボタン」イベント
主人公より1年早く卒業式を迎えた設楽先輩。
卒業式後に声を掛けられ、一枚絵とともに先輩が現れます。
なんと、制服のブレザーのボタンが全部ちぎられている・・・。
そりゃそうだよね、有名人だしイケメンだし、ファンだっているだろうし、しかも先輩世間知らずだから絶対ボタンあげる意味とか分かってなさそうだし、押しに弱いところあるし、訳も分からないまま女の子にボタン持ってかれちゃったのかな・・・。いや分かってた。モテるって分かってたけど、やっぱりちょっともやもやするな・・・。何これ、嫉妬心焚き付けイベント?やるな、ときメモGS・・・。
と、初見のわたしは心の中でオタク早口お気持ち表明せずにはいられませんでした。
案の定、設楽先輩は「なんでボタンなんか欲しがるんだ?予備にでもするのか?さすがにそれはないか」とか言ってる。
主人公が「第二ボタンが欲しかったんじゃないですか?大切な人にあげるっていうのが云々」と説明すると「どおりで情熱的に」。
やっぱり分かってなかったじゃん。もういいよ先輩。
ここでわたしのライフは一旦ゼロに。
すると、
「やっぱり、隠しといて正解だったな」
言われるがまま差し出した主人公の手にジャラジャラとボタンが!!!!!
この人、全部自分でボタンむしってたーーーーー!!!!!!!!
そして気まずそうに、
「どれが第二か、分からないんだよ」
でしょうね!!知らなかったんですもんね風習!!!
訳も分からないまま咄嗟に全部もいで、ポケットにでも突っ込んだんでしょうね!!!!(にっこり)
一回しょんぼりさせられた分、とにかくこのイベントの初見時の殺傷力はとんでもないものがありました。
ただボタンを隠しておいてくれただけでなく、そもそも風習自体を知らなかったがゆえにどれが第二か分からなくなって全部くれる、というのが、全然スマートじゃないけど嘘が無くて、大変設楽先輩らしいです。
そのあとの玉緒先輩と三人のやりとりで
「なんだ設楽、ボタン全部とられちゃったのか」
のくだりも最高に好きです。
気まずそうに押し黙る設楽先輩と主人公。満面のニヤつきを押さえられないわたし。
・何度でも聞きたい喫茶店会話
喫茶店会話(追加デート会話)はパターンが限られるので、基本的に周回していると何度も聞いた内容はスキップしてしまうことが多いのですが、設楽先輩の喫茶店会話はどれも面白すぎて未だにスキップできたことがありません。
特に好きなのは「好きなテレビ番組について」「好きなスポーツについて」「よく聴く音楽について」。
テレビとスポーツについては何回聞いても“設楽節炸裂”という感じで、いい感じに腹が立って面白いです。
わたしはたくさん喋る設楽聖司が大好きなので、好きなスポーツについて聞いたときの早口完全詠唱が愛おしくて愛おしくてたまりません。
それでいうと「将来の夢について」も好きですが、背景を知ってから聞くとちょっと切なくなってしまいます。
音楽についての会話は、最初はまぁそう返されるだろうな…からの、主人公がシュンとしているのを見て100点満点の回答をくれるところが優しくていじらしくて大好きです。
会話については、私がここでテキストで紹介したとしても魅力が伝わり切らないと思うので、細かな内容について書くのはやめておきます。
気になった方は実際にプレイする、もしくはYouTubeに全パターン上げてくれている神のようなお人がいたので、ぜひチェックしてみてください。
43分くらいからが設楽先輩です。勝手に貼ってすみません。
■プレゼントから紐解く設楽聖司
ときメモGSでは自分の誕生日を設定することができて、好感度の高い男の子がいればプレイ中に毎年プレゼントをもらえます。
キャラクターによってくれるプレゼントが異なり、それぞれの好みや個性が現れていて、わたしは誰から何をもらえるかでキャラクターの人となりを考察するのが好きです。
誕生日に設楽先輩からもらえるプレゼントは下記の通りです。
※好感度の上がり度合によってもらえる順番は前後します。
1年目:シルクサテンのハンカチ
2年目:ヌメ革のパスケース
3年目:ピンクゴールドのアンクレット
他のキャラクターからもらえるものと比較しても、一般的に男子高校生が同世代の女子に贈るものとして考えても、ちょっと腹が立つくらい、めちゃくちゃ女の子が喜びそうで生意気で素敵なプレゼントをくれる人だな、という感想ですよね。
これは彼が裕福な家に生まれモノを贈り贈られることに慣れていること、経済的に余裕があること、天性の美的センスの良さなどから来るものだと容易に考えられます。
でも、そこで思考を止めるのは非常に勿体ない。
さらに深く設楽先輩からのプレゼントについて考察していきましょう。
結論、わたしはプレゼントから設楽聖司は「自分には自分の、相手には相手の世界があることを尊重する人」であり「徹底した相手目線で贈り物を選ぶ人」であり「策士」であると解釈しました。
まず「自分には自分の、相手には相手の世界があることを尊重する人」について。
より説明をしやすくするために、同じGS3の桜井琥一からもらえるプレゼントを見てみましょう。
1年目:オールディーズのCD
2年目:ビンテージミルクグラスのマグ
3年目:サクラソウの七宝リング
古いロックやビンテージものが好きな琥一らしいチョイスです。
GS男子は割と琥一タイプというか、そのキャラクターの趣味嗜好が大いに反映された「らしい」モノを贈ってきがちです。
この法則で考えれば、設楽先輩からはピアノや音楽関係の品や紅茶関係のもの(ありそうな感じで言えば「ピアノモチーフのオルゴール」とか「ショパン作品集」とか「茶葉とティーポットのセット」とか)を贈ってきても良さそうなのに、ハンカチとかパスケースとか、まったく「らしく」ない、一般的な気の利いた品をプレゼントしてきます。
思い返せば設楽先輩はストーリーのなかで、主人公に対して音楽についての理解や、富裕層の自分の相手としてふさわしい振る舞い等を求めてきたことは一度もありません。
つまり、自分には自分の好きなものや趣味があるのと同じように、相手にも相手の世界があって、「自分の好きなものを理解してほしい、同じものを好きになってほしい」というエゴがほとんど存在していない人なんだと考えることができませんか?
少しメタ的な考察にはなりますが、例えばこれがノベルゲームで、主人公の性格や属性に固定の設定があったら、きっと設楽先輩は主人公の好みを徹底的にリサーチしたプレゼントを贈るタイプの人だと思います。
主人公の進路や個性を自由に選べるシミュレーションゲームだからこそ、ハンカチとかパスケースのような一般的な品をプレゼントしてくれるんでしょうね。
わたしはこの設楽先輩の押しつけがましくないところが大好きです(コウくんが押しつけがましくて嫌だと言いたいわけではない)。きっと同じレベルで音楽談義ができるなんて微塵も思っていないし、別に一生出来なくてもいいとすら思っているはず。
なぜなら、自分には自分、相手には相手の、大切で不可侵な世界があるから。
次に「徹底した相手目線で贈り物を選ぶ人」について。これはすごく分かりやすいです。
2年目にもらえるプレゼントは「ヌメ革のパスケース」。パスケースって要するに定期入れですよね。
さて、ここで思い出してください。
設楽先輩、電車乗らないんですよ。
自分が見ている景色だけで、自分の生活の目線だけでプレゼントを考えていたら、もっぱら車移動の設楽先輩が「パスケースを贈ろう」と思い至るわけがない。
徹底的に相手の生活をイメージして、相手目線で思いを巡らせて考えたからこそパスケースに辿り着いたということです。
普段はあんなに天上天下・唯我独尊みたいな言動をしているにも関わらず、実は自分のことより相手のことを深く強く慮って贈り物を選べる人だなんて、凄まじいギャップだと思いませんか。
そして、このパスケースをもらえるタイミングについて。
誕生日の時期やプレイスタイルにもよりますが、普通に一途攻略をしていると2年目には好感度が上がりきって、2年目にアンクレット、3年目にパスケースをもらう人が多いのではないでしょうか。
どちらにしても、パスケースをもらうタイミングは“設楽先輩が新生活を迎える年”または“主人公が新生活を迎える年”の誕生日なんですよね。
環境(=通学路)の変化を意識するタイミングでパスケースを贈る。自分は車通学なのに、相手や周りのことをよく観察している証拠だと思います。
最後に「策士」について。これこそ設楽聖司ここにあり!な要素だと思います。
まず前提として、これらの誕生日プレゼントをもらう時、主人公と設楽先輩はお付き合いをしていません。
「付き合ってないけど気になる異性の誕生日に贈るプレゼント」ってめっちゃ難しいですよね。
ここで設楽先輩からもらえるプレゼント3つをもう一度見てみましょう。
1年目:シルクサテンのハンカチ
2年目:ヌメ革のパスケース
3年目:ピンクゴールドのアンクレット
共通項は色々ありますが、特に着目してほしいのは「重くない」「友人に見られても変にイジられる心配が少ない」それでいて「毎日使えるor身に着けることができる」点。
これらプレゼントのチョイスには設楽聖司の「策士」な面が窺えます。
主人公が新しいハンカチやパスケースを使いだしたとしても、周りの友達から変に思われることはないでしょう。
そしてアンクレットですが、毎日つけていても高校生なので学校では靴下で隠れる。
主人公に「これはさすがに普段使いできないな・・・」と思わせることなく、違和感もなく、毎日肌身離さず自分が贈ったものを身に着けてもらえる。
怖いくらい完璧なプレゼントのチョイス。まさに策士。
このあたりは先程の「徹底して相手目線で考える」に通ずるところもありますね。
あげて終わりではなく、自分が贈った品がその後どのように、どんな場面で使われるかまで細かくイメージしているのでしょう。
特にアンクレットについて。これはとても良く考えられていて、例えば先程の琥一もそうですが、他のGS男子は大体「リング」とか「ネックレス」とか「イヤリング」とか、分かりやすいアクセサリーを贈ってきます。
どれも目立つものなので、恋人からならまだしも、付き合う前に贈られるとさすがに普段身に着けるのは気が引けますよね。友人からも指摘されやすいし。
そこでアンクレットなわけです。設楽聖司が元からアンクレットなんて代物を知っていたのかどうかは意見が分かれるところだと思いますが、少なくとも明確な意志をもって、「ブレスレット」ではなく「アンクレット」を選んでいる。
さらに「策士」考察の答え合わせとなったのが公式グッズとして発売された「ピンクゴールドのアンクレット(実物)」です。
これには設楽先輩からのメッセージカードが付いてくるのですが、そこに想定を遥かに上回る答えが記されていました。破壊力すごい。
本来は購入者限定で受け取れるカードなので、ネットに出回ってはいけないものだとは思うのですが、普通に出てくるので気になる方は調べてみてください。
相手が細かいことを気にせず気持ちよく受け取れる、かつ毎日使えることでちょっとした独占欲も満たせるwin-winのプレゼント選びができる男、設楽聖司のプレゼント考察でした。
■設楽聖司がチェーホフ「かもめ」を演じるということ
GSシリーズのお約束のひとつ、好感度が最も高い男子との3年目文化祭学園演劇の主演。
キャラによって演目が異なるので、文学や物語好きのわたしとしては毎回楽しみにしている要素のひとつです。
設楽先輩は主人公より1年早く卒業してしまうので、主人公が2年、先輩が3年の文化祭で学園演劇をやることになります。
演目はチェーホフの「かもめ」。
設楽先輩がトレープレフ、主人公がニーナを演じます。
(ここでの「ニーナ」は新名くんのことではなく、戯曲「かもめ」の登場人物のことです。念のため)
主人公演じるニーナが恋仲だったトレープレフの元を去るシーンで、「私は才能に一途に生きるの!さよなら!」的な主人公の台詞に、設楽先輩は苛立ったような表情を見せます。
本来「行かないでくれ」と懇願するシーンであったはずのところを、「才能に一途に生きて、その結果才能に見放されたらどうするんだよ」的な台詞に突然の改変。
戸惑う主人公を尻目に、設楽先輩のアドリブで“才能に縋っても良いことないぞ”演説がスタート。
結果、なんとか演劇はまとまり事なきを得たものの、終演後も「元からここのシーン納得いってなかったんだよ。才能才能って」とか文句言ってる先輩。
さて、ここからが考察です。
チェーホフの「かもめ」がどんな話かを知っていると、より設楽聖司という人物の考察が深まると思います。
主人公が演じていたニーナは恋仲だったトレープレフの元を離れて、別の男のもとへ行き、女優としての自分の才能を追い求めていくことにします。
トレープレフはニーナが自分の元を去ったことで自暴自棄になって、飛んでいたかもめを撃ち落として、これは俺だ!とばかりにそれをニーナに見せつけます。
それから色々あって(長くなるのですみません)ニーナは女優の道で挫折し、好きだった男にも捨てられ、かつてトレープレフが撃ち落したかもめに今の自分を重ねて「私はかもめ」と苦しみます。
そこからニーナは忍耐や信じることが大切だと気付いて立ち直り、トレープレフの元からも去り、再び自分の道を歩き出すことができますが、トレープレフは結局失意のまま自ら命を絶ってしまいました。
チェーホフ「かもめ」の内容を踏まえたうえで考えてみると、主人公が2年生時点での設楽聖司がこの演目を演じることは実に絶妙なタイミングだと思います。
このとき設楽先輩が演じていたのはトレープレフですが、彼はきっと、過去の自分とニーナを重ねたのではないでしょうか。
才能に陶酔し、明るい未来を信じて突き進もうとするニーナに、「才能に一途にって、じゃあその才能に見放されたらどうする?」と、思わず止めてしまいたくなったのかもしれません。
そしてまさに、例のコンクールから主人公に出会うまでの間、誰かに負けることで起こる自分のアイデンティティの死(=かもめのように撃ち落とされる恐怖)という幻影に怯えながらもがいていた設楽先輩。
学園演劇は主人公が2年生の秋ということで、シナリオの進行的には音楽室での決意表明イベントの前にも後にもなりえます。
ただ、時期的に一流音大の推薦はすでに取れていたはず。
腹を括って音楽の道に戻ることを考えつつも、まだ不安や迷いを捨てきれず、デリケートなタイミングだったのかもしれません。
「かもめ」のニーナは最後、撃たれて死んだかもめの幻影に打ち勝ち、拭い去り、信念と忍耐をもって未来に向かって飛び立つことを選びます。
設楽聖司のピアニストとしての人生がニーナとなるか、トレープレフとなるか。彼はこのときまさに岐路に立っていました。
この後主人公の存在もあって、設楽先輩は敗北によるアイデンティティの死という幻影に打ち勝ち、自分とピアノを切り離せたことで、今一度ピアノと本来の意味で向き合うことができて、さらにはGS4の世界線では世界有数のピアニストとして見事に羽ばたいています。
まさに「かもめ」のニーナ。
高校3年生の設楽聖司に「かもめ」のトレープレフを演じさせたKONAMIさんの残酷で粋な計らいに拍手を送りたい。
■その他:まだまだ尽きない魅力たち
ここまでで1万字を超えているのですが、まだまだ設楽聖司という男には語りつくせないほどの魅力があります。
最後に、見出しを設けるほどでもないちょっとした魅力について語って終わろうと思います。
・「手」に着目させる仕掛け
ピアノが得意な彼は公式に「(体格の割には)手が大きい」という設定があります。
それもあってか、彼の「手」を意識させる要素が作品内に散りばめられているように感じます。
たとえば立ち絵。
顎に手を添えている、髪をかき上げている、手のひらで日差しを遮っている、など。各キャラ何パターンかある立ち絵のポーズですが、特に設楽先輩の場合は「手」に着目させるようなポーズが多いです。
そして恐らく彼は手先が器用です。
玉緒先輩と木陰でに座って卒業旅行の話をしているスチルイベントで、設楽先輩は旅行のチラシで、なんか、見たことないすんごい鶴を折っています。
その他にも喫茶店で主人公と手の大きさ比べをするイベントがあったり(これキュンとするよね!)。
・バイト訪問
主人公がバイトしているお店に男の子が立ち寄ってくれるランダムイベントがあるのですが、そこでの設楽先輩の挙動が全体的に面白すぎます。
一番好きなのは洋菓子店。
自活している桜井兄弟が頑張って「今日は余裕あるから、うーん、半分なら買えるか・・・」みたいな感じで買っていてくれたり、玉緒先輩が「家族の誕生日だから」とホールケーキ1つ買いに来たりする中、洋菓子の詰め合わせ(大)30個を淡々と爆買いしていく設楽先輩が面白すぎる。しかも1個くれる。
・端々から感じ取れる育ちの良さ
基本的に偉そうで、気に入らないことは容赦なくぶった切っていく発言スタイルの設楽先輩ですが、誕生日やバレンタインにものをあげると「どうもありがとう」ってちゃんと素直に言えるんですよね。(「どうも」ってついてるのが好きポイント。育ち良~~!)
そして「あけましておめでとう」も。高校生男子が同世代の女の子に「あけおめ!」とかでもなく、照れるでもなく、スッと言えるのって何気にすごいと思います。
そして何気にローズクイーンになったときや期末テストで学年1位をとったときのコメントもすごく好きです。
「並大抵の努力じゃトップにはなれない」と添えて褒めてくれる設楽先輩の言葉には、厳しい競争環境で努力し続け戦ってきた者ならではの説得力があります。
あとこれは育ちの良さっていうか、お祭りの屋台で初めてチョコバナナを見て「要するにチョコレートフォンデュだろ」って言われた時は「いや、まぁ確かに・・・」ってなったわ。
たこ焼きしかり、大人でそれ初見の人いる!?っていう食べ物に対する設楽節に乗せたまっすぐな感想やら食レポやらがどれも新鮮で面白いです。
・玉緒先輩との絡みが尊い
設楽先輩は同い年の生徒会長・紺野玉緒と仲が良く、「友達」とは認めていないものの、休日に待ち合わせをして遊んだり、一緒に卒業旅行に行ったりするくらいには仲良しです。
この二人の絡みがなんというか、尊くて、新しい扉が開きそうになる・・・。
三角関係ルートをプレイしていたとき、三人デートではあまりに二人がわたしを置いてきぼりにしてイチャイチャし出すので、「先輩!!尊いので帰っていいですか!!!」って何度も言いたくなりました。
とはいえわたしは生粋の夢女思考なので、玉緒先輩のことは基本的に恋敵だと思っています。設楽聖司は譲らない。
・その他諸々
校内で主人公をデートに誘ってくるとき、初手「おまえ、日曜、大丈夫か?」とか意味のわからない誘い方してきて主人公に「は?」って言われてるの好き。そのあとの「あぁもう鈍い・・・」も好きだし、「次の日曜日空いてるかって聞いてるんだ!(聞いてない)」も好き。
先輩の「あぁもう!」をいつまでも聞いていたい。
宇宙人やオカルト話をわりと信じてるところが好き。B級映画が好きなところも好き。
アルパカとかコビトカバとか、ちょいぶさでシュールな顔の動物にツボっちゃうところが好き。
犬猫なら猫派、その理由が「犬ってうるさいだろ?」なのが好き。
分かりやすく高級なものより、手作りなど素朴で真心がこもったものを喜んでくれるところが好き。大失敗チョコあげても「俺はこれがいい」って言ってくれるの好き。
琉夏・琥一とは幼馴染で、年上なのに「セイちゃん」って呼ばれて懐かれてるところが好き。
下校時、喫茶店に誘ったときの断り文句が「お茶なら家で飲む」なのが容赦なくて好き。
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