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約束の記憶 第二章 12話

小説です。

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https://note.com/saorin11/m/me6fc5f2a8b10

「ここであってるかな?」

森田一葉は言われたとおりの場所まで来た。
プールがある家の隣。

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屋上に露天風呂があるらしいけど、屋上なんてみえない。
鍵は空いているから、勝手に入っていいと言われたけど、怖くてしょうがない。

「だれか」がいることはないけど、床が抜けたらどうしようと考えてしまう。

冷蔵庫らしきものはあるが、扉は開かない。

言われた通り、外から見えない場所のソファに腰をかけた。見た目は座り心地がよさそうなのに、とても固い。

ほどなくして、遠くから足音が聞こえてきた。

「一葉さん、おまたせ」

何年かぶりに会う彼女は、随分印象が変わっていた。
といっても、姿を見ていたのは園長のときだけだからかもしれない。

「お久しぶりです、中島園長先生」

「その呼び方、懐かしいわね。こんなところに呼び出してごめんなさい」

中島が申し訳なさそうに頭を下げた。

「いえ、こんなこともできるんだと、驚きましたよ」

「見つからないようにしないといけないから、苦肉の策でね。時間がないから単刀直入に聞くわ」

笑顔から急に低い声でささやいた。

「あなたにはどんな未来がみえているの?」

「え?」

あまりにも意外な質問だったので驚いた。

「中島さんあなたもみえる人じゃないですか?」

中島は首を振った。

「予測するだけで未来がわかるわけではないの。今のままだと、どんな未来が待っているの?」

「政府関係者と通じているあなたの方が、よりリアルな未来を知ってるじゃないですか」

中島は再度頭を振った。

「そんな重要事項は知らされないわ。所詮下っ端よ。でも、あなたには未来を読める力があるわ」

「シリウスからの転生は、能力を持ったままの人が多いと聞きますが、私が見えているものはただの妄想かもしれませんよ」

「それでもいい。今わかることだけでも知りたいの。子どもがいない未来はどうなっていくの?」

どう伝えるべきか。しばらく黙ってから、口を開いた。

「中島さん、そんなことを聞きたくて、ここまでして呼び出したわけじゃないですよね。何が目的なんですか?」

中島は目線をずらし、窓の外をみていた。

「今のままでは明るい未来はないわ。一葉さん、あなたは何をしようとしてるの?私はあなたの力になりたいの」

本音なのかわからない。
不用意に答えるわけにはいかない。

「中島さ‥‥」

と、そのとき、女の子の声がした。

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「お母さん、このおうち見てー。中にお人形もあるよ。ねぇ買ってもいい?」

まずい!
慌てて二人とも家の外にでた。

「あれ?お人形がいなくなった。さっきまでいたんだよ。どこにいったんだろ」

家は持ち上げられて、がしゃがしゃ振られている。
間一髪、脱出できて胸を撫で下ろした。

「話の続きはまたにしましょ。私はあなたの味方だから」

そう言い残して中島は去っていった。

二人で会うところを見られると、あらぬ疑いをかけられる。
監視が行き届かないところを探して、このホビーショップにした。

体の大きさを調整できるサプリで小さくなり、ドールハウスで待ち合わせた。

このサプリを使ったのは初めてだったけど、家の中に豪華な城を作って住むのも面白い。

あーだけど、効果があるのは10分だけだから無理だ。

中島のことは信用していいかわからないから、様子見かな。

お城のドールハウスを手にして、家に帰った。

つづく
(次回は5/4にUPします)


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